チャシャネコと智莉の譲れぬ戦い②…勝者は……
「兄様、お風呂の準備が出来ました」
智莉が地下室にいる亡霊を呼びに行く。地下室には、沢山の出来上がった武器に囲まれ。汗だくの亡霊が、熱心に槌を振るっていた。
「兄様、お風呂の準備が出来ました」
智莉がもう一度大きな声で言うと、亡霊が片手をあげて答える。
「兄様、ちゃんとそれで、終わりにしてくださいね」
最後に智莉がそう言って地下室を後にし、子供達を相手にしているチャシャネコの元へ向かう。
「待って~チャシャネコ~」
「ネコちゃん待って~」
部屋のドアを開けると、子供達が笑顔でチャシャネコを追い掛けており。たまにチャシャネコが子供達に捕まると、耳や尻尾を撫でられおり。ある程度撫でられると、またチャシャネコが逃げて追い掛けっこが始まる。
「皆遊びはそこまでです。ご飯の準備をしますよ」
智莉が手を叩いて言うと、子供達がチャシャネコを追い掛けるのを止め。チャシャネコにお礼を言って、智莉の隣を通り台所に向かって行く。
「チャシャネコさん、子供達と遊んでくれて有り難う御座います」
「お礼なんて良いよ、チャシャネコさんも楽しかったから♪」
子供達にグシャグシャにされた毛並みを直しながら、チャシャネコが智莉の側に行く。
そして、何も言わずに智莉を抱き締める。突然の事に、智莉が固まるなか。チャシャネコは、無言のまま暫く智莉を抱き締め続けた。
「あの、そろそろ離してくれませんか?」
智莉がそう言うと。チャシャネコは智莉を一度強く抱き締めてから、智莉をそっと離す。
「智莉っち、何かあったらチャシャネコさんに言ってね。もう智莉っちは、チャシャネコさんの家族だから」
チャシャネコが何時もと違う、自然な笑みを浮かべる。
「家族って。私の家族は、兄様と廃協会にいる子供達だけで十分です」
智莉が突き放す様に言うが。
「うん。智莉っちが守る家族は、その人達だからね。チャシャネコさんは、チャシャネコさんが決めた、チャシャネコさんが決めた家族を守るよ」
チャシャネコはそう言って智莉の隣を通り、部屋から出ようとするが。一瞬早く智莉が部屋のドアを閉めると、鍵をかける。
「兄様のお風呂の邪魔は、させませんよ」
「何の事かな。チャシャネコさんは、お外に遊びに行きたいだけだよ」
「なら、そのタオルと石鹸は何ですか?」
智莉がチャシャネコの隠しているタオルと石鹸を指差す。魔法を使って隠しているタオルと石鹸を見破られ、チャシャネコの目が左右に泳ぐ。
「な、何の事?。チャ、チャシャネコさん何も隠してないよ」
何とか誤魔化そうとするチャシャネコだが。智莉の前に魔方陣が浮かび上がり、チャシャネコの隠蔽魔法が解かれ。タオルと石鹸が落ちると、力ずくでドアを破壊して開けようとするが。
智莉の隣に現れた大きな盾を構えた騎士の盾に、ドアの破壊を阻まれる。
「ドアを壊そうとするなんて、悪い猫さんはお仕置きですよ」
智莉の声に反応するように数個の魔方陣が浮かび上がり、魔方陣から剣や槍を構え鎧で全身を覆った騎士達が表れ、チャシャネコを取り囲む。
騎士達に取り囲まれたチャシャネコは、観念して両手をあげる。
「降参、チャシャネコさん降参だよ」
「なら、ここで大人しくしていて下さい」
智莉がそう言って手を叩くと、魔方陣が浮かび上がり騎士達が消えていく。騎士達が消え他のを確認して、チャシャネコは大きく息を吐き出す。
「智莉っち、あのゴーレムは亡霊っちの作った物だよね?」
チャシャネコの質問に、智莉はドアの前から動かずに答える。
「そうですよ。兄様の作ったゴーレムで、主にここの防衛に使ってます。それより、よく兄様が作ったって分かりましたね」
智莉がそう言うと、チャシャネコが自分の鼻を指差す。
「あの騎士達からは亡霊っちの匂いがしたからね。チャシャネコさんのお鼻は、誤魔化せないよ。
それに、全身を魔法を込めた武器で固めた挙げ句。個々でも魔法が使える高位のゴーレム何て、チャシャネコさん昔の亡霊っちが使った以外知らないもん」
チャシャネコが昔を思い出すように、目を暫くの間瞑りゆっくりと開ける。智莉も昔を思い出しているのか、何も喋らない。
暫くの間、ただ静けさだけが部屋を包み込んでいたが。突然チャシャネコが何かを思い付いたのか、智莉に話し掛ける。
「ねえねえ智莉っち、チャシャネコさんと取り引きしない?」
智莉が一瞬で警戒の色を示すが、チャシャネコは気にせずに話続ける。
「取り引き内容は、チャシャネコさんが亡霊っちと一緒にお風呂に入る許可。
報酬はチャシャネコさんが知ってる、亡霊っちの秘密」
「却下です」
智莉が即答で却下するが、チャシャネコは一枚の魔力を込めた写真を智莉に渡す。
目が見えない智莉でも、写真に込めた魔力を感知して写真の風景を確認する。
「メイド服を着た女の人ですか、これが兄様と何の関係が?」
智莉が首を傾げる。写真に写っているメイド服の女性は、見たこと無い人物だからだが。
「その女の人は、亡霊っちだよ」
「この女の人が、兄様!!!」
何度も確認する様に、智莉は写真の魔力を確認する。
「そうだよ。今亡霊っちは、仕事で聖騎士魔導学園に潜入してるんだけど。
何とメイド喫茶でメイドのバイトをしてるんだよ。それに、ちゃんと体が女になってて。始めて合った時チャシャネコさんも驚いたもん」
「兄様が女の人の体。それに、メイド服でメイドさん」
智莉が困惑と驚きで、思考が正常に働いて無いなか。チャシャネコが畳み掛ける。
「そこで、チャシャネコさんとのさっきの取り引き。亡霊とお風呂に入る許可を智莉っちが許してくれるなら。
亡霊っちが、メイド服で働いてるメイド喫茶に連れてってあげる」
「………きゃっ、却下です。兄様と二人きりでのお風呂何て、絶対に許可しません!」
一瞬悩んだ智莉だが、今だ正常とは遠いい思考のなかで何とか判断し却下するが。
「チャシャネコさん別に、亡霊っちと二人きりって言ってないよ」
「え?」
「チャシャネコさんは、亡霊っちとお風呂に入れれば良いだけだもん。一度も二人きりって言ってないよ?」
智莉が混乱しながらも会話を思い出す。確かにチャシャネコは、亡霊と一緒にお風呂に入りたいと言っているが。二人きりでとは言っていない。
智莉の思考が絡みに絡まり、何が何だか分からなくなっていくなかで。自分が唯一分かる事を叫ぶ。
「そ、それでも兄様とのお風呂は駄目です。兄様は武器作りで疲れてるんです、疲れをとる邪魔はさせません!」
そう智莉が叫んだ瞬間、チャシャネコが会話をすり替える。
「なら、智莉っちが亡霊っちをマッサージして疲れをとってあげなよ」
「私が兄様の疲れをとる?」
「そうだよ。智莉っちがお風呂の中で亡霊っちをマッサージしてあげて、疲れをとってあげるんだよ」
チャシャネコの言葉に、智莉がその光景を考え顔を紅くする。
「だ、駄目です!。兄様と一緒にお風呂何て!!」
智莉が取り乱しながら叫ぶが。
「何で駄目なの?。家族なら一緒にお風呂に入っても平気だよね」
「兄様と二人っきりなんて。は、恥ずかしいです……それに、マッサージ何て、どうすれば良いか分かりません」
智莉が何かを諦めた様に最後に小さく呟いた。
「二人っきりで恥ずかしいなら、チャシャネコさんも一緒にお風呂に入るよ。
それに、マッサージもチャシャネコさんが教えてあげる」
「でも、兄様の迷惑になりませんか?。上手く出来るとは、限りませんし」
智莉が不安そうに言うと、チャシャネコが止めを刺す。
「そんなこと無いよ。亡霊っちだって、可愛い妹の智莉っちが一生懸命マッサージするのを迷惑に思うわけ無いよ。
それに、智莉っちが思いを込めたマッサージをすれば、亡霊っちだって疲れなんて吹き飛んじゃうよ。チャシャネコさんが保証するよ」
チャシャネコがそう宣言すと、何かが吹っ切れた智莉がチャシャネコに頭を下げる。
「チャシャネコさん、兄様の疲れをとるマッサージを教えて下さい」
「うん任せて、チャシャネコさん一押しのマッサージを教えるから。そうと決まれば、亡霊っちがお風呂体をでるまえに行かないと」
「そうですね、急がないと兄様がお風呂からあがって仕舞います」
智莉が慌ててドアの鍵を開けている間に、チャシャネコがタオルと石鹸を拾う。
「智莉っち、チャシャネコさん準備完了だよ」
いつの間にか智莉の分までタオルと石鹸を持ったチャシャネコが叫ぶと、タイミング良くドアの鍵が開く。
「お風呂場は一番奥です」
「チャシャネコさん了解、じゃあ行くよ智莉っち」
タオルと石鹸を渡した智莉を、チャシャネコが抱き抱えて。亡霊がいるお風呂場まで、チャシャネコが走って行く。
「兄様待ってて下さいね」
智莉が願うように言う。今、智莉の中では亡霊にマッサージをして疲れをとる事しかなかった。
登場人物
影霧 詩音…校長の暗殺の為に、学園にいる暗殺者。本来の性別は男だが、薬により少女になっている。
暗殺者としては亡霊ファントムと呼ばれ。複数の二つ名を持つ一流の暗殺者でありながら、魔力が全く無い。
詩音になっている際は、薬の副作用で魔法が使える。魔法ランクは3
チャシャネコ…暗殺者の少女で、猫耳と猫の尻尾が特長。自称亡霊ファントムの恋人を名乗り、亡霊にいつか愛して、犯して、殺して欲しいと願っている。
自分自信の事をチャシャネコさんと呼び、それ以外の二つ名で呼ばれるのを極度に嫌う。
智莉…亡霊の義理の妹。孤児院とかしてる廃協会に住んでいて、子供達の面倒を見ている。賢者の石と何かしらの関係がある。




