学園交流・聖道学園⑥
本能寺が、鋭い斬撃を繰り出すなか。詩音は、斬撃を鎧通しつきの拳底で叩き落としていく。
「くっ、風よ目の前の全てを吹き飛ばせ…『突風』」
全てを吹き飛ばす突風により、詩音が吹き飛ばされるが。糸を着けた投げナイフを木や建物に突き刺し、すぐに体勢を立て直す。
「少し遅かったですね」
詩音がそう言うと、本能寺の剣が粉々に砕け散る。本能寺が砕け散った剣を見ながら、溜め息を吐く。
「また、私の負けですか」
「すいません、隙があったので」
詩音の手には、青いリボンが握られており。本能寺の胸には、さっきまであった青いリボンが無くなっていた。
残念そうにしながら、本能寺が勉強部屋に向かう。
(この廻りには、もう誰もいないな)
気配を一旦消し、廻りの反応を伺う。自分がいる場所から、近くても800m以上離れているのを確認する。
そして簡易的な警戒魔法を張った後、聖隠騎士が入った校舎に浸入した。
(凄い警戒魔法の数だな)
校舎の中は、普通の校舎と変わらない造りだが。至る所に浸入者を感知する警戒魔法や、浸入者を撃退する防衛魔法が張り巡らされている。
それらの魔法に触れない様にしつつ、制服の上に違う服を一枚羽織り。顔を布で隠しながら、奥に進んでいく。
何個か目の角を曲がり、階段を見付けるが。そこには、聖騎士達が睨みを聞かせ階段を塞いでいる。
(厄介だな)
見える聖騎士は二人だけだが。階段上に見えない様に聖魔導騎士や、聖隠騎士が数名警戒している。
その配置は、全ての聖騎士達が同時に攻撃されないように、適度な距離を開けられており。数名の聖隠騎士は、すぐに校舎の外に出て援軍を呼びに行ける位置にいる。
「哭け黒姫」
詩音が黒姫に囁く。黒姫が哭いた瞬間、階段に向かって全力で走り出す。階段を守っていた聖騎士達は、黒姫の哭声を聞いて気を失っていた。
一瞬で階段にたどり着き、一番下の地下まで飛び降りすぐに姿を隠す。黒姫の哭き声を聞いて、意識を失っていた聖騎士達が意識を取り戻すが。一瞬の間、それも全員が意識を失っていたので、誰も詩音の事には気付かなかった。
「よくやった黒姫」
黒姫の柄を撫でる。柄を撫でられた黒姫が、気持ち良さそうに震える。階段を降りた先には、真っ直ぐな道が続いている。
道の先には、扉があるが。その扉の前には、二体のゴーレムが扉を守る様に立ち塞がっている。
「さて、こいつらは倒すしか無いかな?」
ゴーレムの一部の感知に特化したゴーレムは、人間の魔力や体温。空気の動き等を感知し、姿を消している人物ですら見つけ出す事が出来る。
見た目は、ゴーレムを造る人間次第なので。見た目で感知系なのかは、分からない。
一応気配を消しながら、何時でもゴーレムを破壊出来る様に黒姫の柄に手を軽く添える。
そのままゴーレムに近付くが、ゴーレムは何の反応も示さない。
(感知系では、無かったか)
感知系では無いが、警戒したまま扉にナイフ当てそっと押す。扉が少し開いた瞬間ゴーレムが反応するが、それより先に詩音が扉を閉める。
ゴーレムは、扉が閉まると何事も無かった様に元の格好に戻る。詩音は、そんなゴーレムと溶けたナイフを見る。
(扉に仕掛けた魔法が本命か。しかも、扉とゴーレムは連動してる。ちっ、面倒だな)
扉の魔法を解錠すれば、ゴーレムが襲いながら聖騎士達に警報を鳴らす。もし、先にゴーレムを倒した場合。警報が鳴り響き、扉の魔法により通路一体が火の海に飲み込まれる。
(扉を開けて、ゴーレムが動き出す前に中に入る。まあ、普通は無理だな)
人が通れる程の隙間を開ける前に、普通なら警報が鳴り響くが。さっきと同様に、気配を消しながら扉の前まで行くと、ナイフで扉を開ける瞬間に黒姫が哭く。
黒姫が哭き声をあげると、動き出そうとしていたゴーレムの動きが固まる。詩音は、ナイフが溶けきる前に扉の隙間から部屋の中に入る。
扉の外では、扉が閉まりゴーレムが元の格好に戻る。魔法を欠き消した黒姫を、優しく撫でながら部屋の中を見渡す。
部屋の中は広いが薄暗く、奥の方まで見渡せないが。部屋の中央と思われる場所に、何かの装置が置いてあり。その装置に繋がれる様に、赤い小さな石が光っている。
「賢者の石……この大きさ、あの化物の石か」
永遠の命を与える奇跡の石。全ての傷を癒す癒しの石。魔法を無効かし、自信の魔法に変える魔法の石。様々な名前で呼ばれている、賢者の石を見ながら詩音が黒い拳銃を構える。
そして、賢者の石を撃ち抜こうと引き金に指をかける。
「それを、壊さないでくれるかしら?」
背後からの突然の声に、振り替えらずに跳んで距離を取る。
(聖騎士?。いや違う、この声は!)
詩音が黒い拳銃を構えながら振り替える。振り替えった先にいたのは、フードと白い仮面で顔を隠した人物がいた。
その人物を見た瞬間、拳銃の引き金にを引くが。弾はフードの隙間から出た蝶々に辺り、下に落ちる。
「意気なり撃つなんて、酷い人」
フードの人物がそう言うなか。フードの人物の声を聞いた詩音は、黒姫を抜いて叫ぶ。
「哭け黒姫!」
黒姫が哭くのを聞きながら、一瞬で距離を喰らい黒姫を振るう。首を狙った一撃は、フードの人物がかわし仮面を切り裂くだけだった。
仮面を切られたフードの人物が少し後ろに下がり腕を振るうと、無数の蝶々が詩音に迫る。詩音は、片手で一枚の札を取り出し込められた魔法を解放する。
目の前を大きな炎の壁が上に吹き荒れ、迫っていた蝶々を一瞬で焼き払う。炎の壁が蝶々を焼き払ったのを確認して、炎の壁を切り裂きフードの人物を探すが。
フードの人物の姿は無く、二つに切られた白い仮面だけが落ちていた。詩音は、仮面に仕掛けが無いのを確認してから白い仮面を拾い上げる。
木を削って造ってあるその仮面の裏には、一匹の蝶々が小さく描かれていた。
無言で仮面を見ている詩音を気遣う様に、哭くのを止めた黒姫が震える。
「悪い黒姫、少し考え込んでた。…さて、後始末をどうするか」
フードの人物は、逃げる際に扉を開けっ放しにしており。その扉を壊せれていないゴーレムが、警報を鳴らしながらくぐり抜けてくる。
詩音は二つに切られた白い仮面を顔に当てると、落ちない様に紐で縛る。そして、黒い拳銃で賢者の石を撃ち抜くと。黒姫を鞘に戻し、見えない様に服を脱いで包み隠す。
「さて、これでばれないか」
そう言って、自分の姿を確認した後。迫り来るゴーレムの脚を拳銃で撃ち抜き、転けさすとすぐに煙玉を投げつける。
魔力を阻害する鉱石を粉末にして混ぜた煙幕の影響で、部屋に入ろうとしていた聖騎士達の脚が止まる。
動きを止めた聖騎士達を、煙幕の中から黒い拳銃で狙撃していく。
「ぐぁ!」
「がぁ!」
脚や手の間接を撃ち抜かれた聖騎士達が、悲鳴をあげながら倒れていく。ただ、聖騎士達も黙って撃たれていない。
魔法が煙で遮られるのが分かると、すぐに弓矢を持った聖騎士が集まり。大きな盾を構えた聖騎士達の後ろから、矢を煙の中に放っていく。
さらに、数名の聖騎士が攻撃を受けると、自動で反撃をする魔法で覆われた冑を着て煙の中に飛びこんでいく。
数分後煙が晴れた中には、倒された聖騎士と壊されたゴーレムだけがいた。
「くそ、襲撃犯は何処にいる!?」
「それより、賢者の石は無事か?」
聖騎士達が砕かれた賢者の石を見つけ、倒れている聖騎士達をつれて部屋から出ていく。
暫く仕手から、壊れたゴーレムの下から詩音が這いずり出る。辺りに聖騎士がいないのを気配で確認してから、服の汚れを払い落としながら部屋から出ていく。
そのまま聖騎士達がいない校舎を出ると、丁度良く学園全体に勝負の終了と生徒を集める放送がかかる。
報告を聞いて集合場所の第一体育館に向かう生徒を見つけてから、廻りに聖騎士達がいないのを確認し白い仮面を外す。
外した白い仮面を、土の魔法を込めた札で粉々に破壊した後。体育館に向かう生徒達に混ざり、体育館に向かう。
途中で琴音達にあって、何事かと話し合う中。詩音は白い仮面の人物の事を考える。
(気配と蝶を模した魔法にあの声、それに仮面の裏の蝶の模様といい。お前は、姉さんなのか?)
白い仮面を切り裂いた際に、一瞬見えかけた顔を思い出そうとするが。顔の形にならずに霧散していく。
(まあ、どっちでも良い。賢者の石を狙っているなら、どのみち戦う事になるか。
それより、智莉の心配だな。もし姉さんなら、智莉では部が悪い。後で対応策を考えとかないといけないか)
「詩音ちゃんどうしたの?、難しい事を考えてる顔をしてるよ」
琴音に言われ、今考えても何も出来ないので考えを中断する。
「何を考えてたんですの?」
美和が考えていた事を聞いてくるので、適当に豪華景品の事だと言うと。美和と琴音が何だろうねと良いながら、大量のリボン見せてくる。
二人には、少し足りないが。琴音の後ろから、朝美もリボンを見せる。
「詩音ちゃんとの個別指導のお陰で、集団にも対応出来る様になったよ」
「私は、魔力を余り使わずに倒せましたわ」
琴音と美和が自慢気に勝負の内容を話すなか、雪が琴音と美和より少し多いリボンの束を見せる。
無表情プラス無言だが。何処か勝ち誇った雰囲気を出している雪を、琴音と美和が睨むなか。詩音がさらに大量のリボンの束を見せ、全員を黙らせている間に体育館に着き、準備されていた椅子に座った。
登場人物
影霧 詩音…校長の暗殺の為に、学園にいる暗殺者。本来の性別は男だが、薬により少女になっている。
暗殺者としては亡霊ファントムと呼ばれ。複数の二つ名を持つ一流の暗殺者でありながら、魔力が全く無い。
詩音になっている際は、薬の副作用で魔法が使える。魔法ランクは3
紅 琴音…ボーイイッシュな少女。学年は詩音より上であり、琴音先輩と呼ばれている。
学園でも屈指の実力者であり、魔法ランクは聖騎士見習いになれるランク7
過去に両親を暗殺者に殺されている過去を持っている。
三條 美和…学園に入学生した詩音に勝負を吹っ掛け負けた少女。学年は琴音と一緒で詩音より上。
自己申告の魔法ランクは5だが、本当は3種類の属性魔法が使えランクは6である
勝負に負けてから詩音に興味を持ち、御近づきになろうと努力をしている。
薄紫 朝実…詩音の正体を知っている数少ない生徒。極端な人見知りであり、普段は葵と蒼と言う双子と一緒にいるが。双子がいない時は琴音の後ろに隠れている事が多い。
家柄暗殺者に命を狙われる事が多かったが、偶然正体を知った詩音と取り引きをして守って貰う事で引きこも生活に別れを告げた過去がある。
占い時など、人格が変わった様になる事がある。
こう見えて魔力ランクは7
黒姫…妖刀であり。死を知らせる者バンシーの名前があるが、その名前で呼ばれる事を嫌う。
全体的に黒い色であり。刃紋は朱殷色で、鎬の部分は紺色。
恐ろしく鋭い切れ味で、普通の鞘だとおさめられず。口付けでご機嫌にした後、精霊樹の鞘におさめている。
詩音が大好きで、かなりの焼き餅焼き。
本能寺 奏多…聖通学園の生徒会書記。眼鏡をかけており、学年は2年。魔法ランクは8
謎の仮面の人物…蝶を模した魔法を使う。亡霊の姉なのか?。




