学園交流・聖道学園⑤
「もらった!」
一人の学生が詩音の背後から持っている剣で切りかかるが、直前まで引き付けてかわした詩音の裏拳を顔に喰らい倒れる。
「不意打ちで声を出したら意味無いですよ」
鎧通しを込めた裏拳を喰らった生徒は、気を失っているが。一応注意してその場を後にする。
「はぁ」
溜め息を吐きながら自分の胸の位置に着いている赤いリボンを見る。そして、さっき倒した男子生徒が、着けていた青いリボンをポケットの中にいれる。
不意打ちや、複数で襲ってくる生徒を返り討ちにしては、青いリボンを奪っていく。
殆どのポケットが、青いリボンで一杯になった時。
「やっと見付けました」
胸に青いリボンを着けた本能寺が、息を切らしながらも詩音に剣を構える。
息を切らしながらだが、その剣の構えは隙が無い。
「出来ればこんな形で無く、一対一の勝負をしたかったですね」
詩音がそう言うと、本能寺も頷く。お互いに一度こんな事をさせている人物を思いだした後。
「では、行きますね」
詩音の言葉を合図にして、本能寺との戦闘が始まった。
本能寺との戦闘が始まる数時間前
「無事に着きましたね、ここが私達の学園。聖道学園です」
本能寺が指差した先には、聖騎士魔導学園より大きな敷地と建物を持つ、聖道学園が広がっていた。
始めて聖道学園に来た生徒が、学園の大きさに驚いているなか詩音の目には、違う者に向いていた。
(ここにも聖騎士達がいるのか、それもかなりの人数だな)
学園の正門や高い塀や校舎の屋上等には勿論。魔法で上空を飛んでいる聖魔導騎士達が、全員姿を隠しながら何かを警戒している。
(大袈裟過ぎるな、亡霊意外の何かも警戒している様だな)
仕切りに情報を聖騎士達に報告している、一人の聖隠騎士の口の動きを詠む。
(今の所、あれに動きはありません。……了解した。引き続きあれの監視と警護を……了解しました。動きがあり次第、報告します。以上定時報告です………)
そう言って、聖騎士から離れる聖隠騎士を目で追う。聖隠騎士が、校舎の一つに入った所意で目で追えなくなった。
(後で隙を見て、あの校舎を調べるか)
これだけの聖騎士達が守る。あれ、と言われる物が何なのか気になり、後で調べようと思いながら聖道学園の正門を潜る。
「ようこそ、見目麗しい聖騎士魔導学園の皆様」
そう言いながら、女子にモテそうな顔の男子生徒が。先頭にいた本能寺の隣に立つと、その手を軽く握り口付けを落とす。
「お帰り本能寺、怪我は無かったかい?」
一部の聖騎士魔導学園の女子生徒から、黄色い悲鳴が上がるなか。呆れた様な顔のまま、本能寺が「大丈夫でした」と言い、握られている手を振り払う。
「そうか、それなら良いんだ。綺麗な女性が傷付くのは、いけない事だからね」
そう言いながら、女子にモテそうな顔の男子生徒が、自己紹介を始める。
「始めまして、戸野頭 英雄。この、聖道学園の生徒会副会長をしている者さ」
何処から取り出したのか?。いつの間にか手持った花を、生徒一人一人に配りながら再度自己紹介をしている。
「生徒会副会長の戸野頭 英雄と言います。太陽な様な輝きを放つ、見目麗しい貴女のお名前を聞いても良いですか?」
花を渡された琴音が、笑顔で答える。
「僕は、紅 琴音です。学園交流の間お世話になります」
「紅 琴音さん、貴女の声はまさに琴の様に心に響き渡る。もし、よろしければ、この後お茶でも飲みに行きませんか?」
戸野頭 英雄が琴音を口説きにかかるが、背後から拳骨が落ちる。
「無理に口説かない、お姉様と約束しましたよね」
拳骨を落とした人物は、一撃で延びている本城 英雄をほおって、自己紹介を始めた。
「生徒会会長の戸野頭 秋子と言います。馬鹿な弟が、ご迷惑お掛けしました」
深々と頭を下げる、戸野頭 秋子を見て。琴音が慌てながらも、大丈夫だと伝えると。
「姉さん、拳骨はいけない。姉さんの手が傷付いて仕舞うだろ」
タイミングよく意識を取り戻した、英雄が立ち上がる。ただ、余程ダメージがあったのか。ふらつき詩音の方に倒れ詩音に支えられる。
「ありがとう、女性に支えられ………」
詩音の顔を見るなり、英雄の動きが止まる。そして、意気なり叫びだした。
「おぉー!。貴女はあの時の、天使ではないか。ここで会えたのは、きっと運命の女神が導いて下さったに違いない。
私の天使、どうか結婚してください!!」
意気なりの告白に全員が固まるなか、雪だけが動く。詩音の手を握っている英雄の手を素早く払い落とすと、文字を書いた紙を英雄に叩き付ける。
「詩音は、私の大切な自由をくれた人。貴方には、絶対に渡さない!……そうか、私の天使貴女は詩音と言うのか」
「あの、初対面何ですけど。何処かでお会いしました?」
名前を呼ばれ、固まりが溶けた詩音が何処であったか訪ねる。英雄はそんな詩音の質問にたいし、一枚の紙を取り出し詩音に渡す。
その紙は、詩音がバイトをしているメイド喫茶の、常連さんにだけ渡している割り引き券だった。
暫くその割り引き券と、英雄の顔を見ながら考えると。
「思い出しました。毎週一回は、必ず来る。ヒーローさんですか」
「思い出していたくれた様だね。そう、ヒーローと呼んばれてる者さ」
英雄がそう言いながら、笑顔を浮かべるが。拳骨では無く、秋子の木刀が頭を襲う。
「最近やけに、ポイントが減ってるし。休みが多いと思ったら……詩音さん、すいませんね。馬鹿な弟が、ご迷惑お掛けしまくりで」
「いえ、大丈夫ですか。まあ、お店の子を口説こうとするのは、止めて欲しいですけど」
詩音と秋子が話していると、本能寺が近寄ってくる。
「秋子先輩、学園交流会の時間が無くなってしまうんですが」
「あら、そんなにお喋りしてましたか?」
秋子が時計を見る。時計が差す時間は、本来なら聖道学園の案内を終えている時間になっていた。
「このままだと、勝負にかける時間が短くなります」
時間を調整する為には、生徒同士が行う勝負の時間を削るしかないと、本能寺が言うと。
「なら、学園の生徒全員参加の勝負にしましょう。そうすれば、時間を削らなくても大丈夫です。
それに、面倒ですし。学園の案内もなしで、今から勝負を始めましょうか」
そう言った秋子が一人の生徒に話かけると。その生徒が校舎に入り、すぐに学園内に勝負の説明が放送される。
「ルールは簡単。聖騎士魔導学園の生徒の人達は、赤いリボンを胸に。私達聖道学園の生徒は、青いリボンを胸に着けます。
リボンを奪われた生徒は、その時点で失格。失格になった生徒は、何故失格になったかのお勉強を仕手貰います。
なお、制限時間は3時間で。生き残った人には、豪華商品を用意しときます。では、張り切って行きましょう」
(無茶苦茶だなこの人)
多分、秋子意外の全員が思っただろう。ただ、誰も止める事無く全員参加の勝負の準備が終わり。後は、開始の合図を待つだけになっていた。
(まあ、聖道学園の生徒からしてみれば。一対一でも短い時間しか戦えないより、こっちの方が良いし。
聖騎士魔導学園からしてみれば、普段とは違う勝負が出来るから、良い経験になる。
無茶苦茶だけど意外と考えてるな)
そう考えながら、気配を消して木の上から廻りの様子を伺う。
(聖騎士達がいなくなってるな。勝負の邪魔にならない様にか)
姿を消していた聖騎士達が、全員学園の廻りの警戒に変わっていた。
(誘いか?。まあ、ある程度リボンを集めたら、あれとやらを見に行くか)
そう思った直後、開始の合図の花火が上がる。
(出来れば、本能寺を最初に見つけたいな)
そう思いながら、気配を戻し木からおりた。直後、詩音の突然の気配に驚いた、聖道学園の生徒達が一斉に詩音に襲いかかった。
登場人物
影霧 詩音…校長の暗殺の為に、学園にいる暗殺者。本来の性別は男だが、薬により少女になっている。
暗殺者としては亡霊ファントムと呼ばれ。複数の二つ名を持つ一流の暗殺者でありながら、魔力が全く無い。
詩音になっている際は、薬の副作用で魔法が使える。魔法ランクは3
紅 琴音…ボーイイッシュな少女。学年は詩音より上であり、琴音先輩と呼ばれている。
学園でも屈指の実力者であり、魔法ランクは聖騎士見習いになれるランク7
過去に両親を暗殺者に殺されている過去を持っている。
三條 美和…学園に入学生した詩音に勝負を吹っ掛け負けた少女。学年は琴音と一緒で詩音より上。
自己申告の魔法ランクは5だが、本当は3種類の属性魔法が使えランクは6である
勝負に負けてから詩音に興味を持ち、御近づきになろうと努力をしている。
薄紫 朝実…詩音の正体を知っている数少ない生徒。極端な人見知りであり、普段は葵と蒼と言う双子と一緒にいるが。双子がいない時は琴音の後ろに隠れている事が多い。
家柄暗殺者に命を狙われる事が多かったが、偶然正体を知った詩音と取り引きをして守って貰う事で引きこも生活に別れを告げた過去がある。
占い時など、人格が変わった様になる事がある。
こう見えて魔力ランクは7
本能寺 奏多…聖通学園の生徒会書記。眼鏡をかけており、学年は2年。魔法ランクは8
戸野頭 英雄…聖道学園の生徒会副会長。学年は2年。女子にモテる顔をしており、あって早々に琴音を口説いている。
詩音がバイトをしているメイド喫茶の常連であり、通称ヒーロー(自分で、そう読んでくれとお願いした)と呼ばれている。
魔法ランクは9
戸野頭 秋子…聖道学園生徒会長。学年は3年。戸野頭 英雄の姉で、たまにぶっ飛んだ考えや、無茶苦茶な事を言うが。意外と利に叶ってる事が多い。
魔法ランク9




