学園交流・聖道学園②
狭い隠し通路を罠に気を付けながら奥に進む、暫く進むと通路を塞ぐ様にドアがあった。
ドア越しに耳をすますと、数名の人物の話し合う声が聞こえる。その声と気配から、ドアの内側の部屋に7人の人物がいる事が分かった。
「哭け黒姫」
黒姫を抜き、ドア越しに構える。亡霊の意思を汲み取り、黒姫がほんの数秒だけ哭き、すぐに哭き止む。
「ありがとう黒姫」
鞘に戻す前に黒姫にお礼を言う。黒姫は、一度震えて素直に鞘におさまる。
黒姫を鞘に仕舞いドアを蹴破ると、部屋の中では気を失っている男達が7人いた。
その内の一人に近付き、当て身を喰らわせ目を覚まさせる。男が何かを言う前にナイフを首に当て、廻りの様子を見せる。
「質問の答え以外の事を喋れば殺す、お前以外にも質問出来る奴がいるからな」
男が無言で頷くのを確認し、質問を始める。
「最初に仲間は、上に来た二人とここにいる7人で全員か?」
男が縦に頷く。
「二つ目、化物は何処にいる?」
化物と言うと男が驚いた様に目を見開く。そして、一瞬だけ部屋の奥の壁に目をやる。
(隠し部屋か。気配が感じないって事は、魔法か何かで擬装してるな)
「隠し部屋に魔法がかかってる様だが、解除出来るか?」
男が迷った様に目を泳がす。その様子から、解除出来ると踏んで強めに脅す。
「別にお前じゃなくても良いし、あの程度なら俺でも解除出来る」
ナイフを首に強く押し当てると、男が迷った末に頷く。
男を立たせ隠し部屋の魔法を解除させる為に、後ろでナイフを構えながら魔法を解除させる。
ガゴンと言う、何か重い物が開く音がすると同時に壁が横割れる。直後割れた壁から何かが凄い勢いで出てきて、魔法を解除した男を捕まえる。
「ぎゃぁああぁぁぁぁ…あ………あ……ぁ………」
男を捕まえた何かが、男を縦に引き裂く。男の悲鳴が挙がり、直ぐに途切れ途切れになる。
「これは、確かに化物だな」
男を引き裂いた物を見ながら、亡霊が呟く。男を引き裂いた物は、人の形をしていたが。異様な迄に上半身が膨らみ、肌の色は灰色で所々ひび割れていた。
男を引き裂いた化物は、辺りを見回すと唯一立っている亡霊を見つけ醜悪な顔に笑顔を浮かべる。
(さて。実力を調べるのが優先だが、何処までで止めれば良いか分からないな)
化物を殺すのは簡単だが、出来れば生きたまま聖騎士と戦わせ、聖騎士達にも対応出来る様に仕手貰いたい。
ただ、何処まで痛め付ければ良いか考えていると。化物の後ろから、次々と同じ様な化物が出てくる。
「そう言えば、朝美が化物達って言ってたか」
新たに出てきた化物達は、側にいた気を失っている男達を殺し始める。
「おいおい、折角の生き証人を殺すなよ」
わざわざ生かしている男達を殺し始める化物達に殺気を浴びせる、殺気を向けられた化物達が亡霊の方を一斉に振り向く。
そして、最初に出てきた化物が亡霊に襲い掛かるが。擦れ違い様にナイフで首を切り落とされ崩れ落ちる。
「何だ、以外と脆いな」
首を切り落とされだけで動かなくなった化物を見ながら、亡霊が呟くが。
「何だ動けるのか」
首を切り落とされ動かなかった化物が、首が無いまま立ち上がりる。そして、太い異様な腕を振り回しながら亡霊に襲い掛かる。
化物の腕をかわしそのまま化物に肉薄すると、人間なら心臓がある位置に掌底を叩き込む。
鎧通しにより、肉体の内部を破壊された化物の首から大量の赤い血が噴き出す。
今度こそ動かなくなった化物を見ながら、次の化物に向かう。
辺りに化物を死体が散らばる中、亡霊がナイフについた血を振り落とす。
「心臓付近に何かあるな」
二匹目は一撃目から心臓をナイフで貫いたが、死なずに暴れまわる化物を殺す為に何度も心臓付近を刺し貫き、心臓付近の何かを貫いた瞬間に化物が全身を震わせ倒れ動かなくなった。
その後は、全身を切り裂いたり、首を閉めたり、近距離で爆発物を爆発させたが。化物達は、どれ程傷付こうと心臓付近の何かを壊されない限り動き続けた。
「それに仕手も数が多いな」
既に数十体化物を殺したが、後から後から出てくる化物達を見ながら亡霊が一枚の札を取り出す。
札に込められた岩の槍が、化物達を貫こうと迫るが。岩の槍は、化物に当たる直前欠き消える。
欠き消えた岩の槍の変わりに。今度は、風の弾丸が込められた札を使うが。風の弾丸も岩の槍同様に、化物に当たる直前に欠き消える。
「魔法を吸収してやがるのか?」
二つの魔法を吸収したのか、化物の一体の体が更に巨大かする。
(これは、魔法をメインで使う魔導師や、剣何かの近接武器で戦う者にとっては、厄介な相手だな)
ここでは、高威力の魔法や広範囲魔法を使うのは、危ないので使わないが。余程の高威力の魔法で無い限り、化物を倒すのは不可能そうであり。
剣士などの近接魔導師等は、正確に心臓付近の何かを壊さなけらばならない。下手な攻撃を仕手も、すぐに反撃を受ける事になる。
(まあ、聖騎士達が使う封印魔法をかけたうえで、上級聖騎士達が相手をすれば余裕で勝てるレベルだけどな)
聖騎士達が実力がある犯罪者によく使う方法で、相手を封印魔法で閉じ込め。実力がある聖騎士達が連携しながら、相手を弱らせ仕留める。
今の所化物達の体力の底は分からないが、上級聖騎士の実力なら一体一でも勝てるレベルである。
封印魔法で逃げられない様にした後、複数の上級聖騎士が相手をすれば、何れ化物の弱点に気付き勝てる筈である。
弱点さえ分かれば、下級の聖騎士達でも倒せるが。
(この数全てを相手にしたら、流石に聖騎士達でも手を焼くか)
いまだに出てくる化物達を見ながら、亡霊が黒姫を抜く。
「5匹だけ残して、哭け黒姫」
鞘から抜き放たれた黒姫が哭く。黒姫の声を聞いた化物達は、聞いた者達から口から血を吹き出しながら死んでいく。
亡霊のお願い通り、5匹の化物以外を哭き殺した黒姫が哭き止む。
残った5匹の化物達は、黒姫の哭き声を聞いて口から泡を吐き動かない。
働きのお礼に、刀身部分に口付けをされた黒姫が、満足げに震えて鞘に仕舞われる。
黒姫を仕舞った亡霊が、ナイフで気を失っている化物の一体の胸を切り裂き。化物の胸に手を突っ込み、心臓付近の何かを掴み出す。
手を引き抜くと、血に濡れた手の中に小さな赤い石が握られていた。その石を地面に置き、黒い拳銃で撃ち抜き壊す。
そして、化物達に幻惑の札を貼り。聖騎士達の駐屯地を襲う様に幻惑をかけると、隠し部屋の生き残った男達を縛り上げ隠し部屋を出る。
隠し部屋を後にした後、通路に仕掛けた罠を解除し雪に合図を出す。返しの合図を雪があげたのを確認し、亡霊が電話を取り出し何処かに電話をかける。
「……化狸か。石を狙う者がいる可能性が高い、いざの時はあれを使っても良い。
これを、スラム街に流して欲しい」
情報収集や暗殺者同士の連絡等に、携わることが多い暗殺者に智莉に連絡を頼む。
化狸が仕事を引き受けるのを確認して、電話を切る。そして、詩音の仮面を被りホテルに戻る。
ホテルでは、意識を取り戻した朝実が詩音の帰りを。琴音と美和に質問攻めに合いながら、今か今かと待っていた。
登場人物
影霧 詩音…校長の暗殺の為に、学園にいる暗殺者。本来の性別は男だが、薬により少女になっている。
暗殺者としては亡霊ファントムと呼ばれ。複数の二つ名を持つ一流の暗殺者でありながら、魔力が全く無い。
詩音になっている際は、薬の副作用で魔法が使える。魔法ランクは3
紅 琴音…ボーイイッシュな少女。学年は詩音より上であり、琴音先輩と呼ばれている。
学園でも屈指の実力者であり、魔法ランクは聖騎士見習いになれるランク7
過去に両親を暗殺者に殺されている過去を持っている。
三條 美和…学園に入学生した詩音に勝負を吹っ掛け負けた少女。学年は琴音と一緒で詩音より上。
自己申告の魔法ランクは5だが、本当は3種類の属性魔法が使えランクは6である
勝負に負けてから詩音に興味を持ち、御近づきになろうと努力をしている。
薄紫 朝実…詩音の正体を知っている数少ない生徒。極端な人見知りであり、普段は葵と蒼と言う双子と一緒にいるが。双子がいない時は琴音の後ろに隠れている事が多い。
家柄暗殺者に命を狙われる事が多かったが、偶然正体を知った詩音と取り引きをして守って貰う事で引きこも生活に別れを告げた過去がある。
占い時など、人格が変わった様になる事がある。
こう見えて魔力ランクは7
凪茶 雪…学年は2年で女
元暗殺者であり、暗殺者を育成する施設の出。拘束札を詩音に解除して貰い、詩音を我が主マイロードと呼んでなついている。
黒姫…妖刀であり。死を知らせる者バンシーの名前があるが、その名前で呼ばれる事を嫌う。
全体的に黒い色であり。刃紋は朱殷色で、鎬の部分は紺色。
恐ろしく鋭い切れ味で、普通の鞘だとおさめられず。口付けでご機嫌にした後、精霊樹の鞘におさめている。
詩音が大好きで、かなりの焼き餅焼き。




