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暗殺者は今日も女装をする。  作者: 木陰の蛇
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学園交流・聖道学園①

 聖通学園へようこそ、聖騎士魔導学園の皆さん。と、書かれた垂れ幕が出迎える駅に魔導列車が止まる。

 迎えの生徒なのだろうか、青い制服を着た生徒達が十数名駅のホームにいる。

 「一名だけランクが8の人がいますね。後は、全員ランク6と言った所ですか」

 駅のホームにいる生徒を見ながら、詩音が呟く。

 「ランク8の人って、あの真ん中に立ってる眼鏡の女の子?」

 琴音が眼鏡をかけて、生徒達の真ん中に立っている女子生徒を指差す。

 「そうですけど、琴音先輩の知り合いですか?」

「知り合いって言うか、去年の聖騎士を決める大会で戦ったんだよね」

 「へえ、それでどっちが勝ったんですか?」

 「勿論僕だよって言いたいけど、正直普通に戦ってたら負けてたよ」

 詩音と琴音が話していると、眼鏡の女子生徒が近寄ってくる。

 「お久しぶりですね琴音さん。それと、始めまして詩音さん。私は、生徒会書記をしています。本能寺 奏多(ほんのうじ かなた)と言います」

 「本能寺さんですね、此方こそよろしくお願いします」

 その後、本能寺が一通りの生徒に挨拶をした後、今回のホテルまでの案内をした。

 着いたホテルは、絢爛豪華で高そうなホテルだが。今日と明日の二日の間、聖騎士魔導学園の貸し切りである。

 着いた生徒が早速部屋を決め、荷物をホテルマンに預けて。街に買い物や、遊びに行くなか。

 「詩音さんちょっと良いですか?」

 本能寺に呼ばれた詩音は、本能寺と二人でホテルの庭園に向かう。途中着いて来ようとした琴音や美和の二人は、本能寺に何かを言われロビーで待っている。

 庭園の中程迄歩き、廻りを見渡した後。本能寺が呟く

 「ここで良いですね」

 言いながら、振り返り様に魔法を詠唱するが。行動を詠んでいた詩音が距離を詰め、腹部に軽く掌底しょうていを食らわせる。

 「………大丈夫ですか?」

 「……だ、大丈夫で………うっぷ!…………大丈夫です」

 軽めといえ鎧通し付きの掌底を腹部に喰らい、お腹と口を押さえながら本能寺が何とか答える。

 「すいません、不意打ちで実力を試す様な真似をして」

 少し休み、幾分顔色が良くなった本能寺が頭を下げる。

 「別に気にしてませんよ。でも、理由を聞いても良いですよね」

 詩音学園がそう言うと、本能寺が頷き理由を説明しだす。

 「詩音さんの実力は、メイド喫茶に行った人達から聞きました。

 本来なら私も行って戦いたかったのですが、聖通学園の生徒会書記が食い逃げなど出来ませんからね。

 それに、書記の仕事も忙しくて行く機会がそもそも無く。どうすれば良いか悩んでいた所に、丁度良く詩音さんが学園交流に来るのを知ったので。

 学園交流の間は、他の生徒達が大勢勝負を挑みに行くでしょうから、先にほんの少しだけお相手して欲しかったのものですから」

 最後にもう一度謝り、本能寺が庭園を出て行こうとする。

 「本能寺さん、明日もう一度勝負をしましょうね」

 寂しそうな本能寺の後ろ姿を見て、思わずそう声をかける。本能寺は、驚いた表情で振り返り、詩音を見て笑顔を浮かべる。

 「はい、次は負けませんから」

 最後にそう言って本能寺が、お腹を押さえながら庭園を出ていく。

 本能寺と入れ替わる様に庭園に雪が来る。ただ、その姿は全身黒色の忍び装束だった。

 『ホテルの警備は、聖通学園の教員と生徒がやってる様です。一応ホテルの側に聖騎士の駐屯地があり、訳50名の聖騎士が常駐しています』 

 ホテルに着いて直ぐに、ホテルの警備体制や周辺を見て来た雪が報告をする。

 「その分なら、此方でも仕事(暗殺)が出来そうですね。雪先輩ありがとうございます」

 詩音が雪にお礼を言うと、雪が頭を少しだけ傾ける。雪が頭を撫でて欲しい合図なので、詩音が頭を撫でる。

 「黒姫、仕事(暗殺)後で、丁寧に手入れをするから。雪先輩に嫉妬するのを我慢しなさい」

 雪に体して殺気と敵意を剥き出しに、震えていた黒姫に詩音が優しく言う。詩音に優しく言われ、黒姫の敵意と殺気が無くなる。

 「そう言えば、あげたアイテムは、役に立ちましたか?」

 『かなり役に立ちました、ありがとうございます詩音』

 雪に渡したアイテムは、全部で五つになるが。全て魔法が込められた道具であり、安い物でも一つ100万ユースする。

 『でも、本当に頂いて良いんですか?』

 雪が詩音の目を見ながら聞く。もし、少しでも迷いの色があったら返すつもりだったが。

 「ええ、それはもう雪先輩の物ですよ」

 迷いの色など一切無く、詩音が言い切る。雪が詩音から貰ったアイテムの一つを手に握りながら、口を開く。

 「ありがとうございます。我がある(マイロー)………痛いです。」

 「前に一度警告はしました、我が主(マイロード)で無く詩音です」

 拳骨を喰らい頭を押さえる雪と、雪に拳骨を落とし呆れた様に言う詩音だったが。

 誰かが来る気配を感じ、雪が姿を眩ます。雪が姿を眩ました後、庭園に来たのは、以外にも朝美一人だった。

 「どうしたんですか、朝美さん一人で?」

 詩音の質問に答えないまま、朝美が詩音に近付く。

 「明日の学園交流際の最中に、大勢の死人が出ます。詩音さんお願いします、その原因を排除してくれませんか」

 普段と違う空気を纏った朝実が、詩音の腕を掴みながら言う。腕を掴んでいる手は、微かに震えていた。

 「朝美さんの事は、約束通り必ず守ります。それに、他の生徒の事も、桃木先生からお願いされてますからね。

 その原因を教えて貰っても良いですか?」

 「聖通学園の側にある施設から怪物達が出てきて、聖通学園を襲うんです。怪物達には、魔法が効かなくて。

 聖騎士がいる駐屯地も同時に襲われていて、増援の聖騎士が聖通学園に到着する頃には、殆どの人が…」

 朝見がそこまで言い下を向いて俯く。

 『雪先輩、私が合図をしたら、聖騎士の駐屯地に襲撃があると通報して下さい。

 通報する時は、正体を隠したままでお願いします』

 何処かの物陰で今の状況を見ているであろう雪に、暗殺者が使うハンドシグナルで指示を出す。

 「朝美さん、もう少し詳しく聞いても良いですか。出来れば化物達がいる場所のヒントになる様な場所などを占えないんですか?」

 朝美が首を横に振る。

 「そうですか。なら、学園の側の施設を調べる必要がありますね」

 そう言うが、今もロビーで待ってる二人を思い出す。どうやって説明仕様か悩んだ末に。

 「後の事は、任せました」

 朝美に其だけを言うと、庭園を飛び出す。一人残された朝美が、状況を理解して悲鳴をあげる。

 「え?、えぇぇぇぇぇぇ!?」

 朝美の悲鳴を聞き付けて庭園に来た、琴音と美和の二人を見て朝美は、考える事を諦めて意識を手離した。

 ホテルを抜け出し、聖通学園付近にある施設らしき建物を一つずつ確認していく。

 何個目かの施設に入った時、違和感を覚える。その施設は売りに出され、今は無人の筈だが。

 (人が出入りしてるな、それもかなりの人数。しかも、出入りしてるの形跡を擬装してる)

 普通の人が見ても、誰も出入りした形跡が無いと思う程。部屋の中は、埃や蜘蛛の巣等で飾り付けられているが。

 亡霊(ファントム)が、蜘蛛の巣の近くにいた虫を巣にくっ付ける。巣にくっ付けられた虫が暴れ、巣の糸が揺れるが蜘蛛が獲物を襲いに来ない。

 亡霊(ファントム)が顔を上げ揺れる蜘蛛の巣以外の巣を見ると、全ての蜘蛛の巣が微かに揺れていた。

 (偽物の蜘蛛の巣。それに、その巣を繋ぐ糸。ここで辺りだな)

 暗殺者や盗賊が使う方法に、蜘蛛の巣に似せた物を隠れ家の入口等に設置し。誰かが巣の一つに触れると、蜘蛛の巣を繋ぐ糸が反応して全ての蜘蛛の巣が震える。

 仕掛けた人間は、その震えの大きさから人かそれ以外かを見分ける。埃に見える物は、魔力を感知するセンサーであり。此方は、何れくらいのセンサーに同時に反応したかで、対象の魔力量を大まかにだが知る事が出来る。

 今回は、仕掛けに気付き虫をわざと着けただけなので。仕掛けた人間は、虫が間違ってくっついただけだと思い、虫を取りに来る筈である。

 案の定隠れて待っていると、奥にあった棚が横に擦れて出来た隠し通路から、二人組の人相の悪い男達が出てくる。

 「おい、何れだ虫がついてるの」

 「入口付近のだ、間違って他の巣に引っ掛かんなよ」

 二人の内一人が虫を取りに行き、残った一人が隠し通路の出入り口を見張っている。

 (殺すか)

 虫では無い可能性があるにも関わらず、危険な場所に送られる二人が重要な情報を持っている可能性は低い。

 気付かれない様にしながら、隠し通路の出入り口を守ってる男の上にたどり着くと、糸を垂らし男の首に掛かった糸を引く。

 「ーーーー!?」

 声を出す暇も無く首を絞められ、そのまま首の骨を折られた男の体が力無く垂れ下がる。

 異変に気付いたもう一人が振り替えるが、振り替える男の首に棒手裏剣が刺さり貫く。

 男の首を貫いた棒手裏剣には糸が着いており、棒手裏剣が壁に刺さると男の死体は倒れる事無く首の糸に支えられる。

 「これで、蜘蛛の巣に引っ掛からないな」

 手に持っていた糸を側の突起に結び着け、男の死体が倒れない事を確認し。最後に糸にくっつき暴れている虫を、ゴムで出来た小さな珠をぶつけて糸から外した。

 虫が糸から外れ、逃げるのを確認した後。隠し通路の出入り口に罠を仕掛け、誰も出られ無い様にし亡霊(ファントム)は奥に進んだ。

 

 

 

 

  

 

 

登場人物

影霧 詩音…校長の暗殺の為に、学園にいる暗殺者。本来の性別は男だが、薬により少女になっている。

暗殺者としては亡霊ファントムと呼ばれ。複数の二つ名を持つ一流の暗殺者でありながら、魔力が全く無い。

詩音になっている際は、薬の副作用で魔法が使える。魔法ランクは3


紅 琴音…ボーイイッシュな少女。学年は詩音より上であり、琴音先輩と呼ばれている。

学園でも屈指の実力者であり、魔法ランクは聖騎士見習いになれるランク7

過去に両親を暗殺者に殺されている過去を持っている。


三條 美和…学園に入学生した詩音に勝負を吹っ掛け負けた少女。学年は琴音と一緒で詩音より上。

自己申告の魔法ランクは5だが、本当は3種類の属性魔法が使えランクは6である

勝負に負けてから詩音に興味を持ち、御近づきになろうと努力をしている。


薄紫 朝実…詩音の正体を知っている数少ない生徒。極端な人見知りであり、普段は葵と蒼と言う双子と一緒にいるが。双子がいない時は琴音の後ろに隠れている事が多い。

家柄暗殺者に命を狙われる事が多かったが、偶然正体を知った詩音と取り引きをして守って貰う事で引きこも生活に別れを告げた過去がある。

占い時など、人格が変わった様になる事がある。

こう見えて魔力ランクは7


紅 椿…紅 琴音の姉で3年生でありながら、聖騎士の仕事の手伝いを任されるほどの実力者。ランクは10であり、生徒会長。


薄紫 日向…薄紫 朝実の姉で、紅 椿と同学年。違法魔術師の拷問等を代々なりにしている薄紫家の当主であると同時に、学園にあるメイド喫茶の店長

 風紀委員長でありランクは10



凪茶 雪…学年は2年で女

元暗殺者であり、暗殺者を育成する施設の出。拘束札を詩音に解除して貰い、詩音を我がマイロードと呼んでなついている。


本能寺 奏多…聖通学園の生徒会書記。眼鏡をかけており、学年は2年。魔法ランクは8


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