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暗殺者は今日も女装をする。  作者: 木陰の蛇
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焼き餅を焼く刀

 学園から遠く離れ、人が殆ど来ること無い木々深い森の中。一ヶ所だけ木々が生えておらず、太陽の光が降り注ぐ場所に黒い仮面をつけた亡霊(ファントム)が一人で佇んでいた。

 亡霊(ファントム)の目の前には、小さな精霊樹が植えられており。精霊樹の側には、一本の刀が地面に突き刺さっている。

 「姉さん。姉さんに預けた()を借りていく。姉さんが生きているなら、今度こそ約束を果たす為に」

 そう言いながら刀を地面から引き抜く。その刀には鞘も鍔も無いが、剥き出しの刃は全く汚れていなかった。。

 「()け」

 亡霊(ファントム)が刀に囁きかける様に言うと、刀から苦悶の哭き声があがる。

 愛する者を失った者の嘆きにも、永遠の苦しみの中で愛する者を探す声にも、全てを呪い恨み壊そうととする叫びにも聴こえるその哭き声は、聞くもの全てに消えぬ呪いを与え命を奪う呪詛の声だが。

 「哭き止め、死を知らせる者(バンシー)

 呪詛の声を気にせずに、哭き止ます為に声をかけるが。そのまま哭き続ける死を知らせる者(バンシー)に、溜め息を吐きながら呟く。

 「……哭き止め、黒姫」

 黒姫と言われた瞬間、刀が哭くのを止める。哭き止んだ黒姫を持ってきた鞘に仕舞おうとするが、刃が鞘に触れた瞬間鞘を切り裂く。

 無言のまま違う鞘に仕舞をうとするが、全て同じ様に切り裂かれてしまう。

 「……はぁ」

 溜め息を吐きながら黒姫の刃に軽く口付けをする。口付けした黒姫を、精霊樹を削って亡霊(ファントム)が自分で作った鞘に仕舞う。

 今度はすんなり鞘に仕舞う事が出来た黒姫を腰に差し、持ってきた水を精霊樹にかけ、黒姫が刺さっていた場所に買ってきた花を置いて森を後にした。


 「はぁ、何時ものメンバーですか」

 最初に向かう事が決まった聖道学園に向かうメンバーを見ながら、詩音が思わず愚痴を溢す。

 「そうだね、何時ものメンバーだね♪」

 「ええ、何故か何時ものメンバーですわね」

 琴音が嬉しそうに言い、美和が呆れた様に言うなか。側に葵と蒼がいない朝実が、琴音の後ろに隠れながら少しだけ顔を見せる。

 「朝美さん、大丈夫ですよ。雪先輩は、無口ですけど優しい人ですから」

 『朝美さん、文字で失礼しますが。よろしくお願いしますね』

 「こ、此方こそ。よろしく、お願いします」

 片や無表情のまま、もう片や琴音の背中で半分隠れたままの挨拶が終わった。

 「以外と多いんですね」

 廻りに集まっている数十名の同じ様に、聖道学園に行く生徒を見ながら言うと。

 「学園交流だからな、誘われた生徒以外も何人か実力がある生徒も、他の学園の実力をその身で知る為に送り出すからな」

 「そやで、違う学園の違う事を学んでいる生徒達と沢山交流して、色々な事を盗んで来るんやで」

 椿と日向がそう言いながら、お見送りにくる。二人は、交代で来る聖道学園の生徒の面倒を見るために学園に残るのだ。

 「琴音はん、うちの可愛い朝美を任したで!。もし口説こうする不届き者がおったら、消し炭にしてええで………っ!。いたいわ、なにも殴らんでええやろ!」

 椿に拳骨を落とされた日向が、頭を押さえながら抗議をするが。

 「日向の言うことは、無視して構わん。ただ、もし変な事をされそうになったらすぐに連絡しろ。

 すぐに聖道学園側に確認させた後、何らかの罰則を与えて貰うからな」

 「わかったよ姉さん」

 琴音が笑顔で頷くのを確認した椿が詩音を見る。そしてその隣にいる雪を見て、一瞬眉間に皺をつくる。

 「二年の凪茶 雪か」

 『一度屋内庭園でお会いした以来ですね。生徒会長の紅 椿さん』

 「おお、ほんまや!。図書資料館の主と言われている、凪茶 雪はんや!!」

 二人の会話。と言うより、椿が言った凪茶 雪の名前に反応して日向が驚く。

 「雪先輩、図書資料館の主って言われてたんですね」

 『はい、詩音。一応図書委員長ですし、屋内庭園内で生活していたので。

 いつの間にかその様な名前で呼ばれる様になりました』

 何時も通り無表情のまま紙を見せる雪だが、ほんのり頬が紅くなっているので、照れているのが詩音にだけわかった。

 「まあ、雪はんが外の世界に出て、色々な事を知るのはええんやけど。雪はんって刀使っとたっけ?」

 日向が雪の腰に差している、精霊樹で出来た鞘の刀を指差す。本当は詩音の刀だが、詩音に廻りに聞かれたら、自分の物だと言うように言われている雪が無言で頷く。

 「日向それくらいにしておけ。そろそろ聖道学園向かわないと行けない時間だからな」

 聖道学園迄は、魔導列車を使っても1日半かかる距離がある為。魔導列車に乗って聖道学園近くのホテルに泊まり、2日目の朝に聖道学園との学園交流が始まる。

 なので、向こうで充分休息をとる時間を多くする為、学園を早くに出発するのだ。

 その出発時間が迫っているので、いまだに雪の腰の刀を見ている日向を椿が引き離す。

 「聖道学園は、前回の団体戦優勝学園であり。生徒一人一人の実力も高い、学ぶ事が沢山あるだろう。今回の学園交代にでは、何か一つでも自分の為になるこ事を見付けて欲しい。

 全員健康には気を付ける様に」

 集まった全員に聴こえる様に言った椿が、日向を引きずる様に学園に戻っていく。

 椿の後ろ姿を看ていた生徒達も、椿の姿が見えなくなると、其々数名のグループになり魔導列車がある駅まで向かう。

 「聖道学園って確か、全てに置いて頂点を目指す。を学園の生徒全員が目指す目標にしていてる学園ですよね」

 詩音がそう言うと、琴音が頷く。

 「そうだよ。後付け加えるなら、男女共同学園でもあるね。まあ、僕達の学園と幻影女学園の二学園だけが女子だけの学園何だけどね」

 琴音がそう言いながら雪の刀からを見る。それに、つられる様に美和と朝美の視線も刀に向かう。

 「どうかしたんですか、全員して雪先輩の刀を見て」

 確かに精霊樹を鞘に使う刀は、無いに等しいが。無いわけでは無く、魔力が宿った刀にも使われる。 

 ただ、かなり高価になるので持っている人は少ない。その所意で見てるのだと思って聞いたのだが、返ってきた答えは

 「何かその刀、変な感じがするんだよね。拗ねてるっていうか、詩音ちゃんに持たれたがってる?」

 「そうですわね。まるで、私は、詩音さんのですわ。って言ってる様な感じをさせてますわよ」

 「さっき、お姉ちゃんが見たのも。詩音ちゃんが持ち主だと、感じたからだと思うよ」

 3人にそう言われ雪を見ると、雪も3人に同意するように頷く。仕方なく、黒姫を雪から受け取り腰に差す。

 そのまま、暫く何事も無く駅に向かっていたのだが。

 「ねえ詩音ちゃん、何かその刀怒ってるんだけど」

 黒姫を指差しながら、琴音がそう言う。すると美和までもが、同じ事を言いうが。朝美と雪は、何も感じないのか首を横に振る。

 暫く理由が分からなかったが、朝美に飲み物を渡した際、朝美が何かに驚いたいた様に辺りを見回す。

 そして、雪にも飲み物を渡した際に、同じ様に雪が一瞬だが廻りを確認する。

 そして、その二人の様子を見ていた美和が叫ぶ。

 「わかりましたわ、その刀は嫉妬してるんですわ!」

 「刀は、嫉妬しないと思うよ?」

 琴音がそう言うが、詩音が刀を見て何故か溜め息を吐く。

 「なら、琴音貴女一回詩音さんに抱きついて見てくださいな」

 美和に言われた琴音が、笑顔で詩音に抱き付くが。すぐに詩音に抱き付くのを止めると、美和の方を見て頷く。

 「詩音ちゃんに抱き付いた瞬間、凄い殺気が刀から飛んできたよ」

 「やっぱりですわ、その刀は詩音さんと仲良く仕様とする人間には、殺気や敵意を飛ばして来るんですわ!」

 琴音に朝美が驚いた表情のまま、詩音を見る。

 「詩音さん、その刀は何ですの?」

 美和が刀を指差しながら、詩音に尋ねる。

 「妖刀ですよ。皆さんが感じた通り、本来の持ち主が私なんで。まあ、殺気を飛ばす以上の害は、させませんから安心して下さい」

 「出来れば殺気も押さえて欲しいですわ……ひぃ!!!」

 多分刀から殺気を飛ばされたのだろう、美和が悲鳴をあげて後ずさる。

 「黒姫、止めなさい」

 できる限り優しく叱ると、謝る様に黒姫が一度小さく震えた。

 「もう、大丈夫だと思いますよ」

 そう言いながら、黒姫の柄を優しく撫でる。その様子を見ながら、琴音が呟く。

 「何れだけ詩音さんの事を好きな妖刀何ですの」

 美和に同意するように頷く、琴音と朝美と雪の三人を見ながら、黒姫が勝ち誇った様に大きく震えた。


 

 

 

 

 

登場人物

影霧 詩音…校長の暗殺の為に、学園にいる暗殺者。本来の性別は男だが、薬により少女になっている。

暗殺者としては亡霊ファントムと呼ばれ。複数の二つ名を持つ一流の暗殺者でありながら、魔力が全く無い。

詩音になっている際は、薬の副作用で魔法が使える。魔法ランクは3


紅 琴音…ボーイイッシュな少女。学年は詩音より上であり、琴音先輩と呼ばれている。

学園でも屈指の実力者であり、魔法ランクは聖騎士見習いになれるランク7

過去に両親を暗殺者に殺されている過去を持っている。


三條 美和…学園に入学生した詩音に勝負を吹っ掛け負けた少女。学年は琴音と一緒で詩音より上。

自己申告の魔法ランクは5だが、本当は3種類の属性魔法が使えランクは6である

勝負に負けてから詩音に興味を持ち、御近づきになろうと努力をしている。


薄紫 朝実…詩音の正体を知っている数少ない生徒。極端な人見知りであり、普段は葵と蒼と言う双子と一緒にいるが。双子がいない時は琴音の後ろに隠れている事が多い。

家柄暗殺者に命を狙われる事が多かったが、偶然正体を知った詩音と取り引きをして守って貰う事で引きこも生活に別れを告げた過去がある。

占い時など、人格が変わった様になる事がある。

こう見えて魔力ランクは7


葵と蒼…朝実の護衛である双子の少女。学年は詩音や朝実より下で中等部の生徒。

 ランクはどっちも5である。葵が姉で蒼が妹、


紅 椿…紅 琴音の姉で3年生でありながら、聖騎士の仕事の手伝いを任されるほどの実力者。ランクは10であり、生徒会長。


薄紫 日向…薄紫 朝実の姉で、紅 椿と同学年。違法魔術師の拷問等を代々なりにしている薄紫家の当主であると同時に、学園にあるメイド喫茶の店長

 風紀委員長でありランクは10



凪茶 雪…学年は2年で女

元暗殺者であり、暗殺者を育成する施設の出。拘束札を詩音に解除して貰い、詩音を我が主(マイロード)と呼んでなついている。

詩音に怒られ、今は紙に書くときは詩音と書いている。


黒姫…妖刀であり。死を知らせる者(バンシー)の名前があるが、その名前で呼ばれる事を嫌う。

全体的に黒い色であり。刃紋は朱殷色で、鎬の部分は紺色。

恐ろしく鋭い切れ味で、普通の鞘だとおさめられず。口付けでご機嫌にした後、精霊樹の鞘におさめている。

詩音が大好きで、かなりの焼き餅焼き。


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