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暗殺者は今日も女装をする。  作者: 木陰の蛇
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相手はチャシャネコ

 図書資料館は、学園の敷地内にある塔に似たり建物で、十階建ての建物と同じ位の高さがある。

 図書資料館に入ると、図書委員の生徒達や、本を借りに来た学生が大勢いた。

 そんな中、図書副委員長と書かれた腕章を着けた生徒を見つけ呼び止める。

 「すいません。今はの時間は、屋内庭園に行っても大丈夫ですか?」

 屋内庭園に行ける時間は決まっており、時間外での利用は出来無い。

 「すいません、今の時間は屋内庭園は、閉めてますので。また、放課後に開園しますので、その頃に来て貰っても良いですか」

 申し訳ないそうに謝った後、本の整理に戻っていく副委員長を見ながら上に行く階段を上っていく。

 8階迄上がると、上に続く階段に柵と鍵がしてあり、上がれない様にされていた。

 「すいませんね、後で鍵はお返ししますので」

 そう言いながら、副委員長に話し掛けた際に奪った鍵を使い鍵を開けて、屋内庭園に向かう。

 「これは、凄いですね」

 9、10階部分は吹き抜けになっており。透明硬質ガラスの天上から降り注ぐ太陽の光を浴びて、色とりどりの植物達が咲き誇っていた。

 その光景は、何処かの森の中に迷い込んだ様な感覚を覚えるが。獣道の様にひっそりと、それでいて人が歩きやすい自然でありながら、きちんと整備されている道が延びている。

 (魔法か)

 自然の風景を壊さない様にしながらも、人が通れる道は草の魔法を使って出来た物だと推測しながらその道を進む。

 道は詩音が近付くと、歩きやすい様に廻りの木々達が左右に広がる。

 (歩く人を感知して、植物が自動で道を広げる様にしてるか)

 立ち止まり暫く動かずにいると、邪魔にならない程度に木々が元の位置に戻る。

 (かなり難しい魔法だが、何処で管理してる)

 植物達を管理してる魔法に興味を持ち、魔力の流れを追って行くと、廻りに植物が生えていない開けた場所に出る。

 そこには、一本の巨大な樹が生えていた。その樹は天井に届く程の高さがあり、太陽の光を浴びて白く輝いている。

 「精霊樹ですか」

 その樹は、精霊樹と呼ばれる樹で。その名の精霊が宿っており、魔法が使える樹であり、古くから森を守る御神木として崇め奉られている樹である。

 また、魔力を帯びた枝や葉の部分は、魔力を帯びた高額な武器や高級薬に使われる材料になり。滅多に生えていない事からも、かなりの高額で取引されている。

 (懐かしいな)

 昔見た事のある、思いでの精霊樹を思いだし、何気無く触ろうと手を伸ばす。伸ばした手が延びている枝に触れるほんの少し手前で、殺気を感じ飛んで来た物を払い落とす。

 「毒付きの投げナイフですか、随分なご挨拶ですね」

 すぐに、払い落としたナイフを見る。払い落としたナイフは、暗殺者が良く使う毒付きの投げナイフだった。

 そのナイフを拾い、ナイフを投げた人物がいるであろう場所に投げ返す。

 「出てきてくれませんか?。今ので私が貴方の場所を分かってるのに、気付きましたよね」

 投げ返したナイフとは別に投げた、もう一本のナイフを投げた方に向く。

 「……」

 ナイフが刺さった太い枝の後ろから、一人の人物が出てくる。

 「凪茶 雪先輩ですか?」

 出て来た人物の顔を見て呟く。雪を思わせる白い肌に、長い髪を紐で巻いて一本の尻尾の様にしている人物は、桃木に渡された資料の顔と一緒だった。

 「………」

 無言のまま、雪が頷く。

 「始めまして、影霧 詩音と言います。先程はすいません、勝手に精霊樹に触れようとして。

 今日は凪茶 雪先輩にお願いが合って来ました」

 誤りつつ、保健室から貰ってきた茶菓子と、試作のチーズケーキを見せる。

 「お菓子もありますし、何処か落ち着いて話せる場所で話しませんか?」

 「……」

 無言で歩き出す雪の後を着いていく。暫くすると、机や椅子、布団や着替え等が置かれている場所に着く。

 「………」

 無言で雪が椅子を指差す。詩音が椅子に座ると、反対側に雪が座る。

 『私に何の様』

 雪が紙に書いた文字をみせる。

 「先輩に私のパートナーになって貰って、一緒に個人戦に出て欲しいんです」

 『断ります』

 速答…いや、速筆で断る雪の表情は、最初に見た表情から全く変わらない。

 「理由を聞いても良いですか?」

 「……」

 無言で雪が、紙とペンを離し、一枚の札を見せる。

 「拘束札ですか」

 その札は、下級の暗殺者が仕事を放棄しないように、命令以外の事を制限し拘束する札だった。

 『これが有る限り、私は大会に出られない』

 拘束される条件は様々だが、多くは目立つ行為等を禁止する。下級の暗殺者は、数を揃えてで対象を殺す方法をとる事が多い為。目立つ行為をされると、対象が軽快するからである。

 「先輩は、最後に何の仕事を命令されたんですか?」

 『暗殺』

 「ターゲットは、誰です?」

 「………」

 雪が無言で首を横に振る。ターゲットを知ると、逃げ出す下級の暗殺者もいる為。直前迄教えられていない事もあるので、驚きはしなかったが。

 「そうなると、拘束札を解除する方法は限られますね」

 拘束札を解除する方法は、主に3つある。

 1つ目が、命令の成功である。今回の場合は、ターゲットを殺した時点で拘束札の拘束学年解ける。

 2つ目が、本人の死亡である。本人が死んだ場合、自爆するように命令されている場合を除いて、死亡した後暫くして拘束が解ける。

 そして最後の方法が

 「面倒ですけど、実力を貰っての拘束札の破壊しか無さそうですうね」

 拘束札の破壊である。だが、この場合方法を試す人物は、殆どいない。

 その理由は、拘束札が破壊されない様に。腕利きの暗殺者のデータを元にした、術式が込められているからだ。

 これは、下級暗殺者に自由と言うなの希望を持たせる為の解除方法だが。実際は、命令に裏で逆らおうとした物を処分する為に使われる事が多い。

 その為、万が一でも解除されない様に選ばれるデータは、二つ名の暗殺者のデータである事が方法全てである。

 その事を知ってる雪は、解除出来無い、無理だと首を横に振る。

 「まあ、先輩には無理でしょうね。なので、私が変わりに解除しますので、無事に解除出来たらパートナーになってくれませんか?」

 ほんの少しだけ、雪の目が上に釣り上がる。

 「先輩は、渡しが暗殺者だと気付いていた様なので言いませんでしたが。私の二つ名は亡霊(ファントム)です」

 分かり憎いが、先程よりも大きく表情が変わる。

 『証拠は?』

 「ここでは、見せられません。下にいる生徒に気付かれるかも知れませんしね。

 でも、もし先輩が信じて自由を求めるなら、私を信じてくれませんか」

 雪が無言のまま固まる。確かに、複数の二つ名をもつ亡霊(ファントム)なら、拘束札を解除出来る可能性が高いが。

 もし、亡霊(ファントム)が失敗すれば。亡霊(ファントム)の命と一緒に自分の命も無くなる。

 暫く固まっていた雪だったが、そっと詩音に拘束札を渡す。

 『お願いします』

 そう書かれた文字は、手が僅かに震えていたのか、少しだけ歪んでいた。

 「先輩こそ、パートナーになって下さいね」

 そう言いながら、受け取った拘束札にナイフを突き立てる。

 ナイフが刺さった拘束札から、目映い光が出て辺りを包み込む。光が収まり目を開けるとそこは、屋内庭園では無く古びた廃墟が建ち並ぶ場所に変わっていた。

 「昔の廃墟街か」

 詩音の仮面を外し亡霊(ファントム)の仮面を被りながら、自分がいる場所を探る。

 (昔の廃墟街、あそこに元中央センターがあるから、ここは東地区か)

 昔の記憶を元に、自分の居場所を突き止め。廻りの何処にどんな建物があるかを確認する。

 (大体あってるか)

 付近を警戒しながら側に合った高いビルに移り、最上階から辺りを見渡す。

 記憶の中の街の風景と照らし合わせて、余り違いが無いことを確認し終わり。相手が何時襲って来ても良いように、迎撃の準備を始めようと場所を移そうとしたした瞬間。

 ビルの壁を壊しながら突っ込んできた人物を見て、躊躇無く白い拳銃を構え引き金を引く。

 そして、引き金を引きながら手榴弾を投げつけビルから飛び降りる。

 着地の衝撃を逃がす為に地面を転がる、背後で手榴弾が爆発する音を聞きながら、確認せずに近くのビルの中に隠れる。

 そこで大きく長く息を吸い、大きく長く吐き出す。まだ、少し残っていた詩音の人格を完全に無くし、暗殺者の思考に切り替える。

 爆発したビルの一室には、無傷で笑顔を浮かべ佇むチャシャネコがいた。

 

 

 


  

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

登場人物

影霧 詩音…校長の暗殺の為に、学園にいる暗殺者。本来の性別は男だが、薬により少女になっている。

暗殺者としては亡霊ファントムと呼ばれ。複数の二つ名を持つ一流の暗殺者でありながら、魔力が全く無い。

詩音になっている際は、薬の副作用で魔法が使える。魔法ランクは3


凪茶 雪…学年は2年で女

元暗殺者であり、暗殺者を育成する施設の出。かなりの無口であり、拘束札の所意で自由に出来無い。

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