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暗殺者は今日も女装をする。  作者: 木陰の蛇
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悪魔降臨  

 魔方陣の光が輝きを失い、5人組の男達が最初に見るのは、離れた位置に立つメイド服を着たら詩音の筈だった。

 「おい、…彼奴誰だよ?」

 男の一人が廻りの仲間に確認するように呟く。確かに離れたら位置には、メイド服を着た詩音が立っているが。

 メイド服の詩音が男達の方を向いた瞬間、男達から短い悲鳴が上がる。

 「化け物か?」

 詩音を見ながら椿が呟く。そして、それに同意するように日向が頷く。

 「姉さん、化け物って誰がなの?」

 琴音が不思議そうに椿に言う。そして、同じ様に意味が分からない美和や朝実が椿を見る。

 「詩音を見て分からないか?」

 「詩音ちゃん?、怒ってるみたいだけど…」

 琴音達から見た詩音は、怒ってる様に見えるが。それ以外変わった感じはしない。

 だが、椿や日向には違う何かが見えるのか。何時でも勝負に乱入出来る様に椿が炎の槍を魔法で作り、日向が店の電話で何処かに連絡を入れ始める。

 その表情は、有無を言わさない雰囲気を出しており。何を仕様とするのか、確認し様とした琴音や美和の動きを止める。

 「椿はん、今連絡取れてすぐ来るそうやよ。それより万が一の時は、一人で止められんようなら、うちも手を貸すで」

 そう言った日向の手には、何かの文字が書かれた札が数枚握られていた。

 「そうだな、私一人では荷が重そうだ。日向、その時は背中を頼む」

 椿がまだ、始まっていない勝負を見ながら炎の槍を握りしめた。

 魔方陣の中では、男達が戦う前から戦意喪失仕掛けていた。

 店での威勢の良さは微塵もなく、自分の意思では止められない震える身体のまま、メイド服の詩音を見る。

(眼を離すな、離したら殺される)

 もし、詩音から一瞬でも眼をそらしたら、次の瞬間には死んでいる。本能がそう叫ぶ中で、必死に少女を見続けるが。

 (駄目だ、このままじゃどっちみち殺される!)

 確かに、詩音を見続ける間は大丈夫だろうが。それでも、恐怖から、眼をそらしそうになる。

 それは、仲間と一緒に素手で飢えた虎のいる檻の中で、虎を見つ続けるのと似ていた。

 虎は獲物の背後から襲うと言われている、その為虎を見ている間は襲われないらしい。

 だが、相手は飢えた虎である。何時襲われるか分からないか状況の中で、飢えた虎を見続けるのは、違う恐怖を覚える。

 もしかしたら、檻が空いていて、振り返り走れば逃げられるかも知れない。

 もしかしたら、別の場所にいた、違う虎が後ろか迫って来ているかも知れない。

 もしかしたら、仲間が逃げ出し。その所意で自分が襲われるかも知れない。

 そうした、いくつものもしかしたらと言う名の恐怖が襲い続ける。

 (殺らなきゃ…殺られる)

 男の一人が魔法を詠唱しようと、口を開きかけた時。少女が反応し少しだけ動いた、本当に少しだけだったが。

 「うわぁああぁぁぁぁぁぁ!」

 別の男の一人が叫びながら、少女に向かって行く。そして、それに釣られる様にもう一人が続き、残りが慌てて魔法の詠唱を始める。

 普通の人達には、ようやく勝負が始まった様に見えるが。

 「終わったな」

 椿が呟く。そう、この瞬間勝負は終わったのだ。

 最初の犠牲は、以外にも遠く離れていた魔法を詠唱していた一人だった。

 その、男が詠唱して出来た『岩の爆弾(ストーンボム)』が爆発し、男を吹き飛ばす。

 さらに、爆発し無数の石の礫を吐き出す『岩の爆弾(ストーンボム)』の欠片を食らい、側にいた男も被害を受け。完成していた魔法が暴走し男自信を襲い火炙りにする。

 「今の何をしたんですの?」

 一瞬の出来事で、良く分からなかった美和が琴音に聞くが。琴音も首を横に振る。

 唯一『岩の爆弾(ストーンボム)』が暴発した理由が分かりそうな椿と日向の二人は、戸手も話かられる雰囲気では無い。

 「多分石を蹴り飛ばしたんだと思うって、葵と蒼が言ってるよ」

 朝実がそう言うと、琴音と美和が双子を見る。説明を求められた葵と蒼が、交互に話始める。

 「私達も確信は、ありませんが」

 「一瞬ですが、詩音さんの足元に土埃があがり」

 「何かが高速で飛んでいったので」

 「武器の使用が禁止なので」

 「石を蹴り飛ばしたんじゃないかと」

 「「そう、思ったんです」」

 最後だけ二人同時に言いつつ、詩音の戦いを真剣に観察している。

 「そっか石か、確かにそれ以外考えられないね」

 「そうですわねって、もう残り一人ですの?」

 琴音と美和が、葵と蒼を見ている間に立っているのは残り一人になっていた。

 最後の一人になった男は、驚愕しながらも必死に考える。

 (魔法で攻撃を、…駄目だ詠唱している間に殺られる)

 なら、接近戦をと考えるが。最初に飛び掛かった仲間は、顎に一撃を食らいふらついた所を喉に一撃を貰った後に投げ飛ばされ。

 その隙をつき背後から襲ったもう一人は、左り後ろ蹴りを顔に食らい動きが止まった所を、駒の様に回転しして襲ってきた右足で後頭部を蹴られ地面で寝ている。

 「くそ、この化物が!」

 男が必死の思いで、魔法の詠唱を始める。詠唱が始めると同時に、男の廻りに石が浮かび上がり、男の身体を覆って行く。

 「ほお、『石の鎧(ストーンアーマー)』か」

 椿が男の唱えた魔法の名前を呟く。

 『石の鎧(ストーンアーマー)』は、名前のとおり石で出来た鎧であり。敵の攻撃を受けると、石を飛ばして反撃をする攻守を兼ね備えた鎧である。

 「でも、無断やね」

 日向が首を横に振った。

 (これで時間を稼いで、別の魔法で攻撃を……!?)

 『石の鎧(ストーンアーマー)』を唱える事に夢中になりすぎて、詩音の接近に気付かなかった男が驚く。

 だが、自分を守る『石の鎧(ストーンアーマー)』を思いだし叫ぶ。

 「攻撃してみろ、その瞬間お前を石の反撃が襲うぞ!」

 「そうですか、それが?」

 詩音がそう言いながら、『石の鎧(ストーンアーマー)』ごと男を殴る。

 余りの衝撃に意識を失いかけた男は、続く激痛で意識を取り戻し詩音を見る。

 「嘘だ!、何で無傷何だ!?」

 攻撃を仕掛け反撃を受けた筈の詩音は無傷であり、激しい攻撃を繰り返してくる。

 一撃一撃を食らう度に、激痛が全身を襲うが。攻撃を受け場合、反撃をする筈の石の鎧は何も反応もしない。

 「何で、何で反応しないんだよ!?」

 叫びながら、詩音をから離れようとする男だったが。

 「さあ、何で反応しないんでしょうね?」

 詩音がそう言いながら男の右腕を掴むと、反対の手でそのまま手刀を叩き込む。

 男の腕から嫌な音が鳴り、男の口から悲鳴があがる。

 「腕を折られても反対しませんね?、では次は足でも折りますか?」

 「やめてくれ!、俺達の敗けだ!!」と、男が叫ぶより先に詩音が男の喉を手刀で潰す。

 絶妙な力加減で、意識を失わないが声を出せなくさせると。詩音は男の左足を掴み叩き折る。

 「ァーーーーーーーーーーー!!!」

 男の声にならない悲鳴があがる、残った左腕と右足を指差しながら詩音が男に尋ねる。

 「残すのはどっちが良いですか?」

 その顔を見ながら、男は心の中で神に祈る。目の前にいる、悪魔をどうにかして欲しいと。

 だが、男の願いは無情にも叶う事は無い。怯えて答えない男に、詩音は笑みを向けつつ悪魔の取引を持ち掛ける。

 「自分のが嫌なら、お仲間のを選んでも良いですよ?」

 その一言を聞いた男の目線が、倒れている仲間に向けられる。そして、折れていない左腕で仲間の一人を指指そうと持ち上げた瞬間、持ち上げた腕を折られる。

 「嘘ですよ。貴方達も嘘をついたのでこれで合い事ですね」

 そう言いながら、魔法を維持できなくなった男を見ながら。

 「では、終わりにしますか」

 そう言いながら男の顔を目掛けて拳を振り下ろす。

 「そこまでだ」

 魔方陣の外から女性の叫び声が聞こるが、すこし遅く拳が男の顔に当り頭の後ろの地面を砕く。

 全員が殺したと思い、静寂が辺りを包むなか。

 「桃木先生ですか、どうしたんですかそんなに慌てて?」

 顔をあげた詩音が、汗を浮かべている桃木を見る。

 「日向さんから連絡があったから来たのよ。…で、まさか殺しては無いでしょうね?」

 桃木が顔を殴られた男を指差す。それを見て、詩音が拳をどけると涙や鼻水で汚れているものの原型を留めている男の顔があった。

 「大丈夫ですよ、食い逃げ位で殺しませんし。それに、腕や足も折ってませんから」

 詩音がそう言いながら、有り得ない角度に曲がっている男の腕を掴むと、外していた関節を嵌め治す。

 「まあ、多少の怪我はしているでしょうけど。桃木先生治療をお願いしますね」

 「わかりました、怪我人は放って措けませんから。…………ちゃんと治療費を貰っておけ、後で請求しに行くぞ」

 すれ違い様、最後の部分だけ詩音に聞こえる様に言いながら、桃木が怪我人の元に向かう。

 桃木とすれ違う様に、琴音達の元に向かうと対称的な出迎えが待っていった。

 琴音や美和に朝実は、詩音ちゃん凄いと良いながら、詩音の勝ちを喜んでいるが。

 椿や日向は、敵を見る様な目で詩音を見ていた。

 「ねえ、詩音ちゃん。どうやって『石の鎧(ストーンアーマー)』の反撃を防いだの?」

 「そうですわ、どうやったんですの?」

 琴音と美和が詩音を捕まえながら尋ねると、詩音が首を横に振る。

 「防いでませんよ。鎧には攻撃してませんから、反撃されてませんので」

 頭の上に?を浮かべる二人だった。

 「鎧通しやね。まさか、魔法の鎧にやるなんて。そんな高等技術何処で覚えたん?」 

 日向がそう言いながらも、警戒した顔で詩音を見る。

 「鎧通しって、確か鎧い越しに相手にダメージを与える技だよね?」

 「そうやよ。まあ、昔の技らしいやけどね。だからこそ、何処で覚えたんか知りたいんやけど……教えてくれん、詩音はん」

 日向の瞳には逃がさないという、強い意思の光があった。

 (誤魔化しは無理そうだな)

 拷問と尋問のプロである日向を前に、誤魔化す事を諦める。

 「一応他の人には言わないで下さいね。まあ、調べれば分かるんですけど」

 そこで一旦句切り、廻りを確認した後声を落として言う。

 「私は暗殺者を育てる施設の出ですから、鎧通し等はその時に覚えさせられた技ですよ」

 そう言いながら、日向を見る。

 (嘘はついてない様やね)

 詩音の目を見て、嘘や隠し事をしていないと判し謝る。

 「そらぁ、悪い事を聞いてしまったな。すまん堪忍してな」

 そう言いながら、何処からかチョコレートを取り出すと、詩音の手に握らせる。

 「えっと、ありがたく貰っておきますね。それより、そろそろ目を覚ます筈ですけど」

 「ちょうど、目を覚ましたら様だぞ」

 炎の槍を消しながら、椿が桃木の治療が終わった男達を指差す。

 力無く立ち上がる男達を見ながら、詩音と日向が二人で話して始める。

 「さて、有り金とポイント全部で足りますかね?」

 「足りんんかったら、身ぐるみ剥がすだけやで」

 「それでも足り無かったら、どうするんですか?」

 「そら、全額払うまで馬車馬の如く働いて貰うで」

 「でも、メイド喫茶にあの人達は要らないんですけど」

 「大丈夫や、メイド喫茶やなくて。うちが所有する別の場所で働いて貰うからな。

 その前に、頼まれてもあんな連中をうちのメイド喫茶で働かせる事は、あり得んよ」

 そう言い合う詩音と日向の二人を見た男達は、心の中で後悔しながら、笑顔で賭けの賠償金等を話す詩音と日向の事を悪魔だと思った。

 

 


 

 


 

  


 

 

登場人物

影霧 詩音…校長の暗殺の為に、学園にいる暗殺者。本来の性別は男だが、薬により少女になっている。

暗殺者としては亡霊ファントムと呼ばれ。複数の二つ名を持つ一流の暗殺者でありながら、魔力が全く無い。

詩音になっている際は、薬の副作用で魔法が使える。魔法ランクは3


紅 琴音…ボーイイッシュな少女。学年は詩音より上であり、琴音先輩と呼ばれている。

学園でも屈指の実力者であり、魔法ランクは聖騎士見習いになれるランク7

過去に両親を暗殺者に殺されている過去を持っている。


三條 美和…学園に入学生した詩音に勝負を吹っ掛け負けた少女。学年は琴音と一緒で詩音より上。

自己申告の魔法ランクは5だが、本当は3種類の属性魔法が使えランクは6である

勝負に負けてから詩音に興味を持ち、御近づきになろうと努力をしている。


薄紫 朝実…詩音の正体を知っている数少ない生徒。極端な人見知りであり、普段は葵と蒼と言う双子と一緒にいるが。双子がいない時は琴音の後ろに隠れている事が多い。

家柄暗殺者に命を狙われる事が多かったが、偶然正体を知った詩音と取り引きをして守って貰う事で引きこも生活に別れを告げた過去がある。

占い時など、人格が変わった様になる事がある。

こう見えて魔力ランクは7


葵と蒼…朝実の護衛である双子の少女。学年は詩音や朝実より下で中等部の生徒。

 ランクはどっちも5である。葵が姉で蒼が妹、


紅 椿…紅 琴音の姉で3年生でありながら、聖騎士の仕事の手伝いを任されるほどの実力者。ランクは10であり、生徒会長。


薄紫 日向…薄紫 朝実の姉で、紅 椿と同学年。違法魔術師の拷問等を代々なりにしている薄紫家の当主であると同時に、学園にあるメイド喫茶の店長

 風紀委員長でありランクは10

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