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暗殺者は今日も女装をする。  作者: 木陰の蛇
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桃木の提案

 ある10階建てのビルの最上階の室から男の怒鳴り声が響く。部屋の中には、40歳位の高価そうな服を着て高そうな椅子に座っている男と、その男に頭を下げている、眼鏡をかけた男の二人だけだった。

 「クソ、何で俺が狙われ無くちゃいけないんだ!。これも、あのバカ猫が依頼を断った所意じゃないか!。クソ、クソ、クソあのバカ猫がちゃんと桃木ターゲットを殺せば報復何かで俺が狙われ無くて済んだんだ」

 男が怒鳴り散らしている間、もう一人の男は頭を下げたまま微動だにしなかった。

 「あ~クソが。で、報復に来る奴が誰だか解ったのかよ?。……まあ、誰でも良いがちゃんと返り討ちに出来るだけの数用意してんだろなぁ?」

 「報復に来る暗殺者は、未だに解りませんが。用心棒を100名、魔導師50名、暗殺者30名、それに、二つ名持ちの暗殺者2名と、元聖騎士を5名雇いました。

 これだけの数なら、万が一が起きてもボスが逃げられる時間は稼げるかと」

 頭を下げていた眼鏡をかけた男がそう言うが。

 「逃げられる時間は稼げる、じゃねえよ。それだけ要るなら確実に殺せ!。殺せないなら自爆でもして道擦れにしろ。………てめえもボーッと突っ立て無いで見回りの一つでもしに行け!」

 眼鏡の男は、ボスと呼んだ男に一礼仕手から部屋を出る。

 「おう、お前の所のボスは何であんなに臆病になって叫んでんだよ。俺らが要るんだから、心配する事何て無いのになぁ」

 ドアを閉めた瞬間、男の声が聞こえる。振り返ってみると、其所には7人の人物が椅子に座っていた。

 「ボスは、少し興奮してるだけだ。臆病になってるんじゃ無い」

 「なら、良いんだ。臆病風に吹かれて金も払わずに逃げられたら、俺らが困るからなぁ」

 鎧兜で顔を隠した人物が叫ぶと、同じ様な格好をした4人が笑いだす。

 「依頼を達成すればちゃんと払う」

 「あぁん?。そんなの当たり前何だよ、俺らが言いたいのは元聖騎士である俺らに見合うだけの額を払えるかって事だよ!」

 一人が立ち上がり、詰め寄ってくる。声からして最初の男だろう、そしてこの聖騎士達のリーダー各でもある男である。

 (聖騎士のくせして、事件と関係無い人物を勝手に犯人した挙げ句。殺した連中が、金金五月蝿いんだよ)

 この5人の聖騎士は、自分達が気に入らない人物を勝手に犯人扱いして、殺した所意で聖騎士を首になったお尋ね者である。だが、

 「ちゃんと払うだけの金はある、あんた達は襲撃を警戒してくれてばそれで良い」

 「なら、良いんだ。止めて悪かったなぁ、さっさと見張りにでも行ってこい」

 ー怒りを飲み込み歩く。

 こんな連中でも、元聖騎士であり実力はかなりある。それに、彼らはどうせ捨てゴマである。

 ボスには言わなかったが、襲撃する暗殺者の目星は着いており。その通りだった場合、元聖騎士連中では足留めが出来れば良い方である。

 (亡霊ファントムもし、本当に奴が来るなら。同じ暗殺者であり二つ名を持つ、この二人意外相手に成らないだろう)

 ちらりと、残った二人を見る。一人は2mを超える大男であり、全身に刺青をしている。そして、もう一人は露出の多いい服を着た色っぽい体の女性だった。

 女性の方が見られた事に気付いたのかウインクをしてくる、一瞬その体に飛び付きそうになるが、事前に調べていた情報を思いだしすぐに目を離す。

 そして、部屋の出入り口に向かって歩く。この部屋は、ボスのいる部屋に続く唯一の入り口の前にある部屋であり、ボスの部屋に行く為にはこの部屋を通らなくては行けない。

 眼鏡の男は、元聖騎士と暗殺者がいる部屋を出て大きくため息を吐く。

 ((先代)のボスには御世話になったが、もう借りは返しただろう。今のボスには付いていけない、襲撃が始まったらここを出よう)

 そんな事を考えながら、階段に向かって歩く。そして、何気無く煙草を加え火をつけた瞬間。

 「………グッ!」

 胸を激痛が襲う、余りの痛みに火をつけたばかりの煙草を落としうめき声をあげる。

 急いで胸を見ると、服が真っ赤に染まっていた。

 (撃たれた?)

 慌てて助けを呼ぼうと、ボスの部屋に続く部屋に振り替える際、窓に穴が空いているのが目につく。

 (まさか、狙撃だと!。馬鹿なここを狙撃出来るだけの高い場所なんて二㎞以内には、無いはずだ)

 困惑と驚きの中、口を開いた瞬間。眼鏡が吹き飛び、壁に赤い花が咲いた。


 「さて、これで残りは8人か」

 頭を撃ち抜かれ、血溜まりに崩れ落ちた男をスコープ越しに見ながら呟く。

 下の階を見ると、誰も気付いていないのか。見える範囲の人物には変わった動きをしている物はいなかった。

 その事を確認し、スコープから顔を離す。そして2、5㎞先から狙撃に使った対物ライフルアンチマテリアルライフルを分解、掃除しながらバックに仕舞っていく。

 全部仕舞い終わった後、無地の黒い仮面を被り白い拳銃を取りだす。仮面から見える唯一の口許には、白い拳銃の黒いドクロのマークの様に笑みを浮かべていた。



 「桃木先生、琴音です。桃木先生?」

 保健室のドアをノックするが、返事がない。不思議に思いドアを開けようとすると

 「御免なさい、ちょっと待ってて」

 中から桃木の声が聞こえ、開けかけたドアをそっと閉める。暫く、中から何かを片付ける音が聞こえてきた。

 「もう入って大丈夫よ」

 失礼します、っと言って入ると。急いで白衣を着ましたっといった感じの、目の下に隈が出来た桃木がいた。

 「桃木先生大丈夫ですか?。凄く疲れてるみたいですけど」

 良く見れば、桃木の顔にはうっすら枕の跡があり。ベットのシーツもシワがついていた。

 「大丈夫よ、ちょっと夜遅くに怖い夢を見て余り眠れなかっただけだから。それに、私は保健室の先生よ。ちゃんと健康管理は気を付けているから、心配しないで」

 笑顔を作って言う桃木の姿を見て、これ以上心配するのはいけないと思い。早々に本題に入る。

 「桃木先生、昨日の約束どうりちゃんと教えてください!。昨日何があったんですか?」

 「教える前に再検査をしましょうか」

 言いながら桃木が琴音の胸に触れる、触れた部分から緑色の光が輝きだし琴音の全身を覆っていく。

 琴音は、何か言いたそうにしていたが桃木の有無を言わさぬ早業に、驚きつつも出来る限り体の力を抜いていく。

 緑色の光の輝きが消え始めた頃、そっと琴音から手を離す。

 「身体、魔力共に特に問題無し。一応聞いておくけど、琴音さんてきには何処か変な感じとかは、あったりする?」

 「変な感じとかは無いです、それより昨日の事を教えてください!」

 「そうね、何から言えば良いか……。簡単に説明するなら、昨日貴女は犯罪の現場に遭遇してしまった。そこで何が合ったかは解らないけど、通報を受けた聖騎士が駆け付け倒れていた貴女を保護。犯人と思われる人物と戦闘するも、逮捕出来なかったそうよ」

 そこで一旦区切り、琴音の顔を見る。琴音の顔には、悔しさと怒りがあった。

 「犯人は以前逃亡中、聖騎士の方は怪我人が多数出たけど殉職者は無し。怪我も命に関わる怪我では無く、一番重傷者でも一週間程度で現場に戻れるそうよ。

 ……あら、納得していない顔ね。怪我人は出たけど死者がでなかったんだから、喜んでも良いんじゃない?」

 「そうですけど……」

 琴音の顔には依然悔しさと怒り、それに困惑が加わった変な顔になっていった。

 「犠牲が出なかったのは嬉しいけど、自分の手で犯罪者を捕まえられ無かったのがそんなに悔しい?。……違うわね、その顔は自分の手で親の敵討ちを出来なかったのが悔しいって顔ね。

 貴女の御両親が暗殺者に殺されたのは知ってるけど、敵討ちなら止めなさい。御両親だってー」

 「桃木先生に何がわかるんですか!!」

 琴音が叫びながら立ち上がる、その顔には明確な憤怒があった。

 「目の前で父と母が襲われているのに、何も出来なかったのがどんなに惨めで悔しいか。僕には魔力(力)があったのに、怖くて恐ろしくてどうすれば良いか解らず、只泣くことしか出来なかった僕の気持ちなんて、僕意外の人になんて解るわけない」

 そう叫んだ琴音の顔を見ながら、桃木が優しく言う。

 「そうね、貴女の気持ちなんて私には解らない。でも、これだけは言っておきます。復讐した所で残る物は虚しさよ、少なくても私の時はそうだった」

 「えっ!」

 琴音の憤怒が薄れ、変わりに驚の感情が増えていく。

 「私の両親と兄、それに妹は犯罪に巻き込まれ、私の目の前からいなくなってしまったの。

 私には復讐する当てがあったから、復讐は簡単に出来たけど。残ったのは、穴の空いた心と、戻らない家族を思う虚しさだけだった…………

 さっきも言ったけど、私には貴女の気持ちなんて解らない。中には復讐する事で区切りをつける人もいるでしょうけど、私は駄目だった……

 余計なお世話だったかしらね。でも先生として貴女を思う一人として言わせてもらいます。

 復讐何て止めなさい、復讐を考える暇があったら。今日をどう幸せに生きるかを考えなさい。大切な人のぶんまで幸せに生きることが、何よりの供養になると。私は思いながら、今を生きてるの」

 ちょっと暗い話で御免なさいっと言って、桃木がお茶を飲む。うつ向いて黙って聞いていた琴音が顔をあげる。

 「でも、僕はそれでも……」

 「そうね。今さら止めなさいって言われて、はい止めます。何て無理よね。……そうね、ならまず強くなりなさい。復讐するにしても、しないに仕手も強くなっておいて損は無いから」

 「でも桃木先生、この学校で僕より強い生徒何て余りいませんよ?」

 琴音は二年ながら相当の実力者である。学校で琴音に一体一で勝てる生徒は、全校生徒合わせてもは10人もいない、そう言って困った顔を浮かべる琴音に桃木が笑いながら答える。

 「確かに貴女は強いけどだから弱いのよ。そうね、上手く言えないけど貴女は強さに心が追い付いてないの。

 もし同じ魔力量、同じ魔法、同じ実力の相手と戦ったなら最後には心が強い方が生き残る事が多いいの」

 「でも桃木先生、そうだとしたら僕は誰に教われば良いんですか?」

 そこまで考えていなかったのか、腕を組んで考える桃木を見ながら、琴音はふと昔の事を思い出す。

 (そう言えば昔、誰かに復讐するなら強くなれって言われたっけ。……誰に言われたんだっけ?)

 昔の事を思い出していると、桃木が大きくため息を吐いた。

 「一人いたんだけど、頼みづらい人なのよね」

 「えっ!。誰ですか?、桃木先生が頼みづらいなら僕が直接御願いしに行きます!」

 桃木先生が珍しく、良いずらそうにしながら言う。

 「影霧 詩音さん、あの子なら実力もあるし、何より心が強いから。でも、色んな意味で心配であり、頼みづらいの」

 影霧 詩音と聞いて琴音が嬉しそうに答える。

 「詩音ちゃん!。詩音ちゃんなら僕から御願いすれば、きっと教えてくれるよ」

 何処からそんな自信が出るのか、満面の笑みを浮かべながら。嬉しそうにしている琴音を見ながら、桃木は小さくため息を吐く。

 (亡霊ファントムに貸しが出来るが、私からも頼むか)

 そんな話がされている頃、影霧 詩音こと、亡霊ファントムは 

 「ハッ、ハクシュ!」

 盛大にくしゃみをしていた、只し死体の山の中で。

 「邪魔だ退け、お前らじゃ相手に何ねーよ」

 そう言いながら、同じ様な鎧兜を着た5人の男が回りの人物を退かしながら出てきた。

 (これで残り3人。さっさと片付けて左腕治しに行くか)

 右手だけで器用に白い拳銃の弾倉を替えた。

 

 


 

 


 

 

 

 


  

 


 

 

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