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vol.8-diary3 キミのトモダチ

翔の友達の顔を初めて見た明奈は…?

明奈は大学の正門の前で翔を待っていた。


この日は明奈も翔も3限で授業が終わるので、その後、一緒に遊びに行くことにしていたのだ。


明奈が正門に着いてから5分後、現れたのは翔…ではなく、見知らぬ青年だった。


「やあ、明奈ちゃんだよね。俺、翔の友達の上原翼って言います。」


「…は、はい・・・」


明奈は翼の姿を見て愕然とした。明るい茶髪に銀色のピアスとネックレス…「チャラ男」「不良」といった言葉が明奈の頭の中を駆け巡る。


(…こ、こんな男が翔の友達!?)


高校時代の友達の中に翼という人がいるということは翔の話を聞いて知っていた。だが、こんなチャラ男だったとは…


「あ、あの…本当に翔の友達なんですか!?」


明奈はちょっと威嚇ぎみになって確認する。


「ほ、本当だよ…。(俺、何か怒らせるようなことしたかな…。)」


明奈の態度に戸惑う翼。


「そうですか…。で、何の用ですか?」


明奈は依然として不愉快そうだ。翼はゆっくりと口を開く。


「えっと、俺と翔、3限は同じ授業なんだけど、プログラミングの授業でさ、終わった人から帰れるんだよ。でも、翔まだ終わってなくてちょっと遅れるってさ。伝言頼まれたんだ。」


「…そうですか。教えてくれてありがとうございます。」


「そういうことだから…。それじゃあ、さよなら…。」


明奈は一瞬、申し訳なさそうな表情になったものの、早く帰れオーラが漂っていたので、翼は足早にその場を去った。


その5分後、明奈のもとに翔からメールが入る。


>>明奈、今課題終わったよ。すぐ行くから!遅くなってごめん(>_<)


(翔…何であんな人と友達なんだろう…。翔って本当は…悪い……いや、そんなことない!)


もうすぐ翔に会えるというのに、明奈は翼のことが引っかかっていた。



* * *



「明奈、どうしたの? 今日は何だか元気ない気がしたけど…」


「えっ!ううん、そんなことないよ!」


デートを終えて、明奈の家への帰り道、翔と一緒に歩いていてもなんだか落ち着かない。目の前の翔はいつもと変わらない優しくて穏やかで天然な男の子だ。それなのに、どうして…。長らく男性不審だったため、明奈は男性に対して人よりかなり疑り深い。今まではそれで良かった。その方が良かった。…だが、今は友達の印象だけで自分の恋人を疑ってしまう自分が悔しかった。


「明奈、そういえば、翼と会うの初めてだった?」


「あっ!…うん、そうだよ。」


いきなりその名前を出されて驚く。


「その…大丈夫だった?」


「えっ…(なんでそんな聞き方するのかな…)…正直、怖かったかな…」


すると、翔はクスッと笑った。


「やっぱり。」


「…(何で笑うのさ!!)」


「あのね、実は…僕も初めて会った時、全く同じこと思ったんだよね。」


「えっ?」


「だけどね…」


翔はあるエピソードを話し始めた。



* * *



高校の始業式の日…教室で翔の隣に座っていた少年が翼だった。


服装はやはり明るい茶髪に銀色のネックレスとピアス…


(何か怖い子だな…友達になれそうもない…)


翔は翼と関わろうとしなかった。


そのオーラを感じたのか、翼も翔に話しかけてくることはなかった。


…その1週間後


「ただいま…どうしたの?」


「優也が帰ってこないの。」


翔の家では、幼稚園に通っている弟、優也が帰ってこないと母が心配していた。


母の話によると、帰りのお迎えに行ったところ、「遊びに行ってくる」と言って、そのまま友達と走り出してしまったらしい。


翔も不安になった。


「もう日も沈んでるし、帰ってこないとおかしいよね。僕、ちょっと探してくるね!」


「あっ、ちょっと…」


翔が家を飛び出そうとしたと同時に、玄関のチャイムが鳴った。


翔がドアを開けるとそこにいたのは、翼だった。


(ど、どうして…!)


しかし、目線を下にするとそこには頬に涙の跡がついた優也がいた。


「優也!大丈夫だった!?」


翔はしゃがんで優也と同じ目線で優しく尋ねる。


優也は大きくうなずく。それを確認した翼が、口を開く。


「そうか、長瀬って…隣の席の…まあ、いいや。この子、カバンについてたピカチュウのキーホルダーあっただろ。それ落としちゃったみたいで、探してたら迷子になったらしいんだ。カバンの中の幼稚園手帳見たら、ここの住所が書いてあったから…」


「そうだったんだ…」


翔が安堵の表情を浮かべる。


「そう。このお兄ちゃんが助けてくれたの。これもくれたんだよ! お兄ちゃん、ありがとう。」


優也が翼に向かって嬉しそうに笑う。手には、なくしたキーホルダーよりも一回り大きいピカチュウのマスコットがあった。


「こんなものまでもらって…本当にありがとう!」


翔も笑顔でお礼を言う。


「いや、ゲームセンターで一発で取れたヤツだから気にするなよ。優也君、今度から気をつけるんだぞ。」


翼が裕也の肩をポンポンとたたく。


「うん!」


「じゃあな。」


優也と翔の顔を一瞥すると、翼は帰って行った。



* * *



「…そういうわけで、翼はすごく良い子だったんだよ。次の日から学校でも話すようになったんだけど、全然普通の子で…。人は見かけによらないってまさにこのことだね。だから、明奈も安心して。」


翔の話を聞いて、明奈の心から不安が消えていった。



* * *



その5日後…


明奈と翔と翼の3人は学食で食事をしていた。


「翼くん、この前はあんな態度取ってごめんね。見た目で人を判断しちゃいけないって反省したよ。」


「僕も翼のこと先に詳しく話しておけばよかったね。」


明奈の隣に座っている翔がそう言うと、その向かいに座っている翼が口を開いた。


「いや、いいよ。やっぱり、俺の見た目って、アレなんだな…」


「ううん、もう大丈夫だよ。翔に翼くんの良いところいっぱい教えてもらったから。ねぇ、翔♪」


「うん、あまり言ってなかったけど、僕も実は初めて翼見たとき、怖くて絶対友達になれないって思ったんだ。でも、翼は本当は優しいってことちゃんと明奈に伝えたから。」


「そ、それはどうも…(結局、俺の見た目についてはフォローしてくれないのね… それにしてもゆるいカップルだなあ…)」


翼がそう言うと、翔が突然あくびをした。


「ふぁぁ、眠いや。」


隣の明奈もあくびをする。


「私も…。朝まで一緒だったもんね。」


明奈がそう言うと、


「あ、朝まで…」


翼が一瞬戸惑う。


(…そ、そうだよな。カップルだもんな。そういうこともあるよな…。うん…。)


「うん、僕我慢できなくてさ…」と翔。


「私も…」と明奈。


「え…(は、はい~? 突然なんだってんだよ!)」


翼はさらに戸惑う…。ゆるくてかわいいカップルだと思っていたのに…


「頼む!それ以上その話を進めないでくれ!君たちの口からそんな話を聞きたくないっ!」


翼は必死に静止する。…が、明奈が口を開いた。


「えっ、朝までジグソーパズルするのってそんなにいけない?」


「…ジグソーパズル?」


翼の体から力が抜ける。


「うん。デパートですごくカワイイ『となりのトトロ』のジグソーパズル見つけてさ、明奈の家でやってたんだよ。ちょっとずつ進めるつもりだったんだけど止まらなくて…。結局朝までやっちゃってさ。…眠かったけど、楽しかったし、全然平気だよ。」


翔が嬉しそうに話す。


「そうか、それは良かったな…(良かった!かわいいカップルで本当に良かった!)…ところで、明奈ちゃん、これからよろしくな。」


翼がそう言うと、


「うん、よろしく!」


明奈が心からの笑顔でそう答えた。


お粗末さまでした…。最後のネタ…何かごめんなさいm(__)m まじめな友達 or 私のことをまじめだと思っている友達には見せられないな(笑) 

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