vol.4 翔の過去 ※番外編
明奈に思いを寄せる翔ですが、彼にも実は暗い過去がありました。vol.5で、告白を思いとどまろうとする原因が描かれています。
こちらも番外編とさせていただきます。
高校2年生の春…
「好きです!僕と付き合って下さい!」
「ごめん。翔君のことは良い友達だと思ってる… だけど、恋愛対象にはならないって言うか… 翔君って優しいんだけどさ…やっぱり付き合うなら強くて男らしい人が良いんだよね。」
翔は振られてしまった。
しかも過去にも同じ理由で2回振られている。
翔に似て穏やかな性格である父親と、ポジティブで明るい母親は、いつでも翔の個性を尊重してくれた。だから翔は、その穏やかさゆえに一部の心ないクラスメートにからかわれても、自分を嫌いだと思ったことは一度もなかった。
だが、3回も振られるとさすがに自信をなくす…。自分には何か足りないのだろうか…
* * *
「僕はどうしたらいいんだろう…」
放課後、翔は親友の翼に告白に失敗した件を話した。
「そう気にするなよ。俺は翔みたいな男だって絶対必要だと思うぞ。」
「でも、3人連続で振られてるんだよ。」
「たったの3人だろ。それに、親しみやすいからって翔に話しかける女子は割といるけど、俺なんてこの見た目だけで女子から敬遠されるんだぞ。もしかして、その中に翔のことが好きって人いるかもしれないだろ。」
「そうかな…っていうか、いっつも思うんだけど、その格好やめる気ないの?」
翼の見た目は、一言で言うとチャラい。明るめの茶髪で、常にピアスとネックレスをしている。
「ん?やめるなんて考えたことないな。まあ、やめない理由もないけどな。でもさ、これが俺っていうか…俺がこの格好やめたら何か変な感じしないか?」
「ああ確かに…」
「何か翔にもないか?そういう感じのこと…」
「あ~何かわかるかも!」
翔は人から穏やかだとか物腰が柔らかいだとか言われることが多い。周りの男子と比べると、確かに自分でもそういう人間だと思う。だからと言って、周りの男子と同じになろうとは思わないし、ならなければならないとも思わない。いや、なれない。強くて…とか男らしくて…とか今ひとつピンと来ないのだ。
「よし!翔、今から傷心カラオケにでも行こうぜ!他の奴も誘ってさ。いつか絶対、翔じゃなきゃダメだっていう女の子が現れるって俺は信じてる!」
「ありがとう。本当にそうなると良いな。…さて、カラオケで何歌おう?」
そして、2年後、本当にそんな女の子が現れるのだ…。二宮明奈という女の子が…
本来のこの章の出来が、あまりにもひどすぎたのでお話をほぼリニューアルしました。少しはマシになったかな…。




