vol.11-diary6 ミニトーク
思いつきで書いたくだらない話です…
「あっ、翼君だ。」
明奈が講義を終えて、学食に行くと、翔の親友、翼の姿があった。
「やあ、明奈ちゃん。次、空きコマ?」
「うん。」
「俺もそうなんだ。」
「そっか。じゃあ、ここ座っていい?」
「もちろん。」
明奈は翼の向かいの席に座った。
しばらく、とりとめもない話をした後、明奈が口を開いた。
「ねぇ、翼君。ずっと、気になってたことがあるんだけど…」
明奈の声のトーンも少し低くなる。
「何?」
翼が明奈に聞き返すと、明奈は日頃の疑問をぶつけた。
「翔って…よく大学に入れたよね。」
「あっ、ああ…」
「だって、計算とか漢字とかさ…」
「うん、言いたいことは分かる。」
翼は話を続ける。
「漢字はさ、正直理系だったら、センター試験の時だけじゃん。だから、受験の致命傷にはならないだろ。けど…計算に関してはな…、運としか言いようがない…。」
「運?」
「普段はあの通り、間違ってばっかりだけど、『テスト』という名の付くものをする時は、驚異の正確さを発揮するんだ。」
「ふーん。…あっ、わかった。計算の方法は分かってるけど、計算するときの注意力が普段はどうしても欠けちゃうんだね。」
「詳しいことは分からないけど、まあ、そんなところかもな。ちょっと変わったヤツだけど、バカではないと思うよ。」
「なるほど。…この前もね、一緒に鍋したんだ。その時に一緒に材料買ったんだけど、ちょっと離れた所から『スイサイいる?スイサイ?』って聞いてくるの。スイサイって何だろうって思って見たら、水菜だったの。スイサイって聞いたことないから違うってわかると思うんだけど… それとも、最初は誰でも間違えるのかな?」
「翔らしいな。アハハハハッ…!!」
爆笑する翼。
「私、たまに翔の頭には脳みそじゃなくてカニみそが詰まってるんじゃないかって思ったりするんだ。」
「ハハハッ、あながち間違ってないかもな。そう言えば、カニみそってカニの脳みそだっけ?」
「違うと思う。確か内臓じゃなかったかな。」
「そっか。俺はカニみそというよりは、アイスクリームが詰まってると思うぜ。」
「アイスクリーム?」
「翔、たまに甘くてカワイイことしたり、言ったりするだろ。この前、映画見て、『風船付けて飛んでみたい!!』とか言ってたし、ほら、明奈ちゃんの誕生日プレゼントだって…。」
「なるほどね…。アハハハハ…!! そっちの方が当たってるかもっ!」
「アハハハハ…!!」
明奈と翼が笑っていると…
「2人とも、何、盛りあがってるの?」
講義を早めに終えた翔がやってきた。
「あっ、翔、あのね…昨日のお笑い番組の話してたの!!」
「そうそうそうそうそう…!!」
明奈と翼は慌てて取り繕う。
「えっ、お笑い番組は昨日は入らないでしょ?」
翔の表情は不審そうだ。明奈が慌てて口を開く。
「あぁっ、違う!昨日じゃなくて、一昨日だよ、一昨日。」
明奈の言葉に何度もうなずく翼。
「ああ、ピンクカーペットね。」
翔は納得したようだ…。
* * *
その日の帰り道…
「明日は弟の誕生日なんだ。」
翔が口を開く。
「そうなんだ。おめでとう。プレゼントは買った?」
明奈が尋ねる。
「うん、前からほしがってたカードゲームセットにしたよ。」
「そっか。喜んでくれるといいね。」
「うん。…また、いつものごちそうが食べれるぞ~」
「良かったね。お母さんが作ってくれるの?」
「うん、ケーキも手作りなんだ。それといつも、カニとアイスの盛り合わせが出るんだよ。」
翔がそう言うと、明奈の表情が固まった。
「えっ!?」
「僕は普通にチョコレートケーキが好きで…、お兄ちゃんはカニが好きで…、弟はアイスが大好きだから、誕生日にはそれが出るのが恒例になったんだ。…変かな?」
翔の話を聞いた明奈は、気になる質問をすることにした。
「ううん、全然そんなことないよ。それで…カニって…、カニみそもたべたりする…??」
「うん、僕は食べるよ。弟はちょっと苦手みたいだけどね。」
「そっか…。」
明奈は何かを理解したような気がした…。
「……」
不意に翔が小さな声で言う。
「明奈…手つないでもいい?」
「…うん。」
お互いの手の温かさを感じながら、どこか恥ずかしそうに歩く二人…。
…明奈はやっぱり翔が大好きなのだった。
くだらない話ですみませんでしたm(__)m ちなみに、「スイサイ」と電子辞書で調べたら、ミズナと同じ漢字で載っていて「食用の水草」とありました。でも、野菜の水菜とは、やっぱり違うみたいです…。