脳スキャン系ロリ科学者ミミ、合法的に襲来
「じゃ、ネオくん。君の脳ミソ、ちょっとだけ借りるね?」
──何を言っているのか、最初は理解できなかった。
でも理解したときにはもう、俺の頭に謎のメカ触手が直撃していた。
「ちょちょちょちょまっ……!? なんでこんな初対面でアタマ開かれそうになってんの俺!!」
「大丈夫。開けるだけだし、閉じるから。ちゃんと接着剤で」
「その“接着剤”って単語で安心できるやつ誰もいないからな!?」
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名前:ミミ・クロックワーク
年齢:外見9歳、中身120歳超えのロリ科学者。合法。すべてが合法。国家認定の合法。
肩まである白髪、スチームパンク風のゴーグル。声は可愛いけど、言動が完全に脳味噌にしか興味ないタイプ。
白衣は着ているが前ボタン全開で、お腹が見えている。ロリなのに腹筋が割れてるのが怖い。あと背中にスチーム噴射装置ついてる。なにそれ。
「ほら、評価ゼロって……普通、死んでるじゃん?でも君、生きてる。おかしいよね。だからちょっと、観察させてね?」
「“おかしい”って言われるの、今日もう何人目だよ俺……」
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──というわけで、俺はいま、合法ロリに頭を開けられそうになっている。
ちなみに場所は、聖王国の地下ラボ。さっきのリュシアが「コイツ見てるとイライラするから地下送りにして」って言って俺を丸投げした。
で、その結果がこれ。
完全にホラー。地下室×ロリ×脳スキャンって、タグの暴力か?
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「ネオくんの脳波、面白いよ。これ、普通の人間が持ってる“評価システムの受容体”が──欠損してる」
「欠損って……俺バグなん?」
「うん。超バグ。存在してるのがデバッグ前のテスト個体みたい」
「やめろその言い方ァ!! 人間に対して“テスト個体”って言うなァ!!」
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ミミは興味津々で、俺の周りをくるくる回って観察する。完全にモルモット扱い。
でも、途中でふと手を止め、真顔で言った。
「──ネオくん。君、“見えない声”とか聞こえたりしない?」
「……え?」
「たとえば、“この物語はつまらない”とか。“評価がないやつは主役じゃない”とか。“もっと派手なスキル出せ”とか──」
「うわぁ……それ、すっげえリアルに来るやつ……」
「それ、読者の声かもしれないよ」
「読者て誰!?」
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言ってることがメタい。怖い。怖すぎる。
でもその時、メルティアがラボに入ってきた。
「ミミさん、そろそろやめてください。ネオくんが壊れます」
「うーん、まだ壊れてないけど……まぁいいや」
唐突に機械をオフにし、俺の頭から触手を引っこ抜くミミ。いやその外し方怖いから!!
頭にビリビリきながら、俺はつぶやいた。
「……俺、転生してから今のところ……痛い・怖い・変な女しかいないんだけど」
「大丈夫ですよネオくん。次に会う人は──優しい聖女ですから」
メルティアがメガネをクイッとしながら微笑む。
が、その笑顔の奥に、なぜか「地獄の門」のビジョンが見えた気がした。