表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/34

ツンデレ筋肉騎士長リュシア、登場(物理)

人は誰しも、人生で一度は思うだろう。


 **「馬に蹴られて死にたい」**と。


 俺は今、そのフラグを現実に食らっていた。


「おらああああッ!!!」


 ドガァッッッ!!!


 何が起きたかというと──目の前の美少女が全力で俺をぶっ飛ばした。拳で。地面ごと。


 あのね? 普通、ファンタジー世界って、出会って5秒でバトルしないんですよ? もうちょっとこう、自己紹介とか挨拶とか、あるじゃないですか?!


 でもこの女、容赦ゼロ。愛想もゼロ。筋力だけMAX。



「なにが“評価ゼロ”だ……不審者かと思って近づいてみれば……ッ、こんな顔で……チビで……ッ、無防備で……!」


「うるせえ!褒めてんのかそれは!」



 リュシア・ブレイカー。


 聖王国の騎士団長。若干17歳。筋肉がドン引きレベルで発達した女の子。ツインテールでゴリラ系。


 銀の甲冑をバッキバキに着こなし、背中にはハリボテじゃなくガチの大剣を背負っている。あと顔は美少女。美少女なのに、顔に泥ついてるし、すぐ人をぶっ飛ばす。


「“評価ゼロの男子を保護しろ”って命令だったけど……まさか……こいつが……っ」


 あからさまに動揺していた。


 そして次の瞬間、なぜか真っ赤な顔で叫んだ。


「ちょっとだけ……かわいい顔してんじゃねーか……!!」


「なんで怒ってんの!? 褒めた!? 褒めた今!?」



 はい、意味不明。


 完全に脳筋ツンデレタイプ。昔のギャルゲーでよくいた「なによあんたなんか好きじゃないんだからね!」ってやつ。


 てか、「評価ゼロの男子を保護しろ」って誰が命令したんだよ。あっ、絶対メガネだ。


 ──そう。背後から、冷静かつ恐ろしくなめらかな声が届いた。


「ご紹介しましょう。彼女が、聖王国騎士団長にして“物理防御評価ランキング1位”の──」


「その二つ名やめろマジで!!!」(byリュシア)


「──リュシア・ブレイカーです」


 白鐘メルティア、完全に笑ってる。笑ってるけど目が笑ってない。あとリュシアに対して“評価システム”のスコア出すのやめて。やめろって。


「だいたいね! こんな評価ゼロの雑魚! 聖王国で保護する意味あります!?」


 リュシアが俺を指差して叫んだ。


 うん、知ってる。俺、雑魚だよ。地面にめり込んでるしね今。お前のせいで。


 ──しかし、ここで、メルティアが一言。


「ありますよ。彼の存在は、**“評価社会にバグをもたらす者”**ですから」


 ピクッとリュシアの眉が動いた。


「バグ……?」


「そう。彼の評価はゼロ……にも関わらず、世界が彼を“排除”しようとする反応を示している。つまり……」


「“存在してはいけない存在”?」


「ご名答。ですから我々は彼を保護し、監視し、そして──」


 そこで、メルティアは俺のほうを向いて、優しく微笑んだ。


「──肯定してあげる必要があるんです。彼が“生きていてもいい”という事実を」


「……………………あの……本当にナンパじゃないんですよね?」


「ナンパではありません。監査です」


 メガネキラーン(2回目)。



 というわけで、俺・佐々木ネオ。評価ゼロの無職(15歳ショタボディ)。


 筋肉ゴリラの美少女と、自己肯定押し売りメガネ美人に連れられて、まさかの聖王国行きとなりました。


 「評価ゼロが世界にバグを引き起こす」──


 いや、まだ俺、何もしてないんだけど!?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ