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第2話 破壊的な重力





 

 とにかく交番か警察署に行こうと思った。






 散歩している老人に道を尋ねる。






 「すいません、近くに交番か警察署ってありますか?」






 「あー?」






 「あの~、近くに交番か警察署はありますか?って聞いてるんですけど!」






 少し声を荒げてしまった。






 「ほー」






 ダメだ、異世界にでも行ってるのか全然話にならない。







 大通りに差し掛かり、空を見上げると頭上には、たくさんの配達用ドローンやタクシー、バス、エアカーが慌ただしく飛び交っていた。






 手を上げ、タクシーを呼び止めた。






 後部座席に乗るや否や、目の前のモニターに大きなアラーム音とともにエラーマークが点滅表示された。






 ドアも閉まる事なく、エラー音が鳴り響きタクシーは一向に走り出さない。






 恐らく、この顔をモニターでスキャンされた際、タクシー専用アプリの口座残高が初乗り料金の金額を下回っていたんだと思った。







 「もうっ!役立たず!」






 タクシーを降り諦めて歩くことにした。






 犬を散歩している人型ロボットを見つけ駆け寄った。






 息を切らしながら道を尋ねた。






 「す、すいません。警察署はどっちですか?」






 「オハヨウゴザイマス。ケイサツショハ、ドチラノケイサッショニナリマスデショウカ?」






 「もぅっ! 一番ここから近いとこよっ!」






 パニックと焦りから苛立っていた為、ロボットにも少し当たってしまった。






 「ココカライチバンチカイケイサツショハ、〇〇ケイサツショになります。ジュウショハ」






 「早く、地図だしてよ!」






 「ソレデハ、ジュウショ、チズ、サイタンルートヲ、ヒョウジイタシマス。」






 人型ロボットが空気中に投影した地図によると、もう、すぐそこだった。






 「ありがとう!」






 「イエ、レイニハオヨビマセン」






 「オキヲツケテイッテラッシャイマセ」







  警察署の場所がわかった途端、とにかく思いっきり警察署がある方へ走り出した。






 けどニ、三十メートルもしない内に息があがり、サンダルがはだけ一瞬で力尽きた。






 乱れた呼吸を整えようと中腰になり両手を曲げた膝の上にのせ、前のめりになるとTシャツからはみ出た大きな腹が、今にも地球の重力に吸い寄せられそうになっていた。






 「なんて腹なの」 






 しかも、よく見ると着ていたTシャツが、おへそを隠しきれていない事に気づいた。






 思わず羽織っていた上着のチャックを閉めようにも、はみ出た脂肪が邪魔で閉まらない。

  





 ますます、死にたくはない死への願望が強くなってきた。






 とにかく急いで警察署に向かった。



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