十年後の私のために、私は物語を紡いでいる
私が一番最初に小説を書いたのは……たぶん、中学生か、高校生ぐらいの頃だったと思う。
歳がばれるから「何年前」と口には出さないでおく。
ちなみに、書き上げることはできていなかった。
起承転結の『起』が終わるぐらいまで書かれたものを見つけることはできたけど、どうやらそのあたりで諦めたらしい。
そんなだからそれは、当然どこに投稿もしていない。
読み返しても、鳥肌が立つぐらい痛々しい話だったから、今更公開しようなどとも考えない。
誰でも最初は、そんなものだと思う。
そしてもしかすると、今私が書いているこれらも、数年後に読み返したら同じように感じるのだろうか。
だけど多分言えるのは、
その当時のその駄作があったからこそ、今の私があるのだということ。
目に見える成長があったわけではないけれど、だけど多分それを書いていなければ、次を書こうとは思わなかった。
結局のところ人は、一つ一つ積み上げていくしかない。
攻略法は、あるようで存在しない。
あるのかも知れないけれど、あまり興味がない。
試行錯誤を繰り返す。
これがだめなら次はこれを試す。
だめな理由を考えて、結局は運だと割り切って。
成功体験にとらわれすぎず。
目先の利益に釣られぬように。
未来の私が今の作品を見たときに
「ああ、この頃はこんなことを考えていた」
と笑えるように。成長を実感できる証跡を残すために。
十年後の私のために、私は物語を紡いでいる