8話 駐輪場の馬
始まりは些細な疑問からだった。
「そういえば、ずっと気になってたんですけど、何で駐輪場に馬が居るんです?」
僕が疑問を口にすると皆が顔を青ざめた。(何と、あの佐々木殿も!)
あらら? 僕、また何か地雷を踏んじゃった感じか?
「三成、それは触れてはいけない。絶対に、だ」
「よっ吉継? どうしたんです?そんな慌てて……」
「そーだよー! なんでそんなにあわてるんだよー」
「えっ誰です? 近くから声がするんですけど?」
「したみて、した。みさーげてーごらんー」
下を……!?
「――っ! 〜〜〜〜〜〜!?」
「あはっびっくりした?」
生首!?
何々!? 怖いんだけど! 僕は基本的に超ビビりなんだよ!
「あー、どうたいきたー」
謎の生首は呑気に胴体と首をつなげてるし、周りは全力で目を逸らすし……何なんだよ……
「きみが、てんこうせいの、いしだみつなりくん? おれねーたいらのまさかどっていうんだーよろしくねー」
平……将門……!? マイペースが過ぎるし、何なら軽くホラーだ。
「みつなりくんが、きにしてる、ちゅうりんじょうにいる、うまはねーおれのうまなんだー」
この人があの馬の……
「いいこなんだー」
「はぁ、そうだったんですね」
「うん。それじゃあ、またねー! あさってくらいに、おしゃべりに、くるよー!」
あ、嵐のようだった……
「三成! 無事か!?」
「えっあっハイ。嵐のような人でしたね?」
「それだけ……?」
「そうですけど……えっ僕、何かマズいことしちゃいました!?」
どうしよう!? 僕って昔から無意識に誰かの地雷を踏みまくってたからなぁ……
「いや、マズくはない。ただ、将門公は曰く付きだったりすることが多くて普通に対応できる人が少なかっただけだ」
なるほど、そうだったのか……
でも、それって……
「僕から見れば将門公も普通の人でしたよ。そもそも、僕らって前世とか死後とかで色々言われて悪評がついてたじゃないですか。ソレと同じと思えばどうってことありません」
そう、僕だってよく実際に会ってみれば噂と全然違うと言われてきた。他のみんなもそうだ。噂は結構外れていた。それなのに、将門公だけ噂をあてにするのはおかしいんじゃないか?
「三成……おまえは相変わらずだなァ……だからこそ、僕はおまえの友になった。そうだ、そうだったな……ありがとう、三成」
「えっえぇ? 何でいきなり感謝するんです?」
「いや、な。おまえがおまえで良かったな、と思っただけさ」
「ええぇー……ちょっと、よくわからないです……」
「それで構わないよ。三成は三成なんだから」
うぅっ……吉継の話は時々すごく難しいな……人の心は本当によくわからないよ……
今後、僕に懐いた将門公が毎日のように僕のクラスに突撃してくるとはこの時は思ってもみなかった。
――
今回の初出人物
平将門
関東で新皇を名乗って平将門の乱を起こした人。
転生したら首が着脱可能になった。
毎日、馬に乗って登校してくるため生徒会と生徒指導担当の頭痛の種。