幕間 織田信長
歩き慣れた通学路を早足で歩く。周りのヤツらには言ってないけれど、オレ――織田信長は、転生してから、コンビニスイーツの虜になっていたんだ。
今日も、オレがよく行くコンビニのファンキーマートが、金平糖を使った新作を出す日だ。
新作が楽しみで、今にも雨の降りそうな空模様とは違って気分が高揚していた。
「……二百五十円になります!」
「オウ、あんがとな! あ、レジ袋は要らねェから!」
「ありがとうございました!」
手短に会計を済ませてニヤける頬を抑える。やっと食べられるぜ……待ちに待った新作・金平糖の星空プリン……!!
「――、――っ!」
「――……、……!!」
「――ッッッ!!!!」
早く食べたいと思いながら店から出ると、何か言い争う様な声が聞こえてきた。あー……そういえば最近、鳴鹿の連中がブイブイ言わせてるんだっけか?
面倒事に巻き込まれるのはゴメンではあるけど、転生者が非転生者に手を出すところを見逃す方が大問題だしな……。仕方ない。ちょっと様子を見に行くか!
「――だからっ! 言いがかりはヤメテよ!」
「あぁ!? 言いがかりだァ!? テメェ、オレら神獣への態度がなってねェぞゴルァッ!!」
建物の影から見ると、鳴鹿高校の制服のブレザーを着て、鹿の角の生えた生徒数人が、安土高校の学ランをきたヤツに集っている。
「うぅ……転生者って、石田君みたいに優しいヤツばかりじゃないのかよ……っ!?」
「オイ、オマエら! 非転生者に手ェ出すのはご法度だって知らねェのか! ……それとも何か? 畜生風情にゃあ人間サマの法律は分かりませんってか?」
気づいた時には、安土高校のヤツを庇っていた。何でかはオレにも分からんが、たぶん、そうだな。恐らく三成の友達であろうコイツに、転生者を……三成を嫌いになってほしくなかったからだな。
「オマエ、大丈夫か?」
「大丈夫だけど……君は?」
「オレは織田信長。オマエの友達の、友達だ! そら、今のうちに逃げろ! んで、徳川総合病院の、徳川家康を呼んできてくれ。オレの名前を出せばすぐに呼びだせるハズだ」
「あ、ありがとう、信長公!」
……格好つけて庇ったけど、こりゃァちょっと、数の差的にキツイかもな。でもまあ、やれる事はやりますかってな!
「テメェ……せっかくのカモを逃しやがって……許さねェぞ!!!!」
「オレらは神の使いたる神聖な鹿だぞ! 貴様の様な無礼者には天罰をくれてやる!!」
「だから何だってんだ! オレこそは神をも恐れぬ第六天魔王・織田信長様だぜ! テメェら鹿畜生なんざボッコボコにしてやるよ!」
不安を吹き飛ばすために少々誇張して叫ぶ。
いつのまにか、雨が降りだしていた。




