59話 帰還後/マフラー
「……って事があって、みっちゃんは絶賛、筋肉痛なのよね」
「あら残念。アタシの新作を着てもらおうと思ってたんだけどねェ……」
「ねー。新しいお洋服でお出かけしたかったけど、今回はお預けだわ」
……どうも、筋肉痛がヤバい石田三成です。自分で思ってた以上に疲れが溜まってたみたいで、筋肉痛の痛みのダメージもあって、帰ってすぐにベッドに沈んだんだ。
僕の記憶はそこで途切れてるんだけど、気づいたら、何やら母上と巴御前が、僕の頭上で話し込んでいた。
「母上……?」
「あら、みっちゃん。おはよう。筋肉痛はどう?」
母上が、オレンジがかった明るい色味の赤毛を揺らして僕を覗き込む。
僕、前世では、あまり母上の記憶が無かったから、こういう母子の関わりって新鮮でいいね。前世を思い出す前は何も考えてなかったけど。
「うーん、まだ、痛い……けど、たぶん大丈夫だよ」
「そう、よかったわ! あ、そうそう。みっちゃんに渡したい物があるのよ」
母上がニコニコしながら僕に小包みを渡してくれたんだけど、中身はなんだろう?
「みっちゃん、開けてみて」
「うん」
小包みを開けてみると、中から出てきたのは僕が普段から使っている水色のマフラー。……いや、ちょっと違うな。僕のマフラーにしては、なんだかひんやりとしているような……。
「夏用のマフラーよ。首を出してるの、苦手なんでしょ?」
「ありがとう、母上! ……でも、気づいてたんだね。首の事」
そう。僕の首には、生まれつき縫った跡のような痣がある。前世での僕の最期が斬首だったから、と今の僕は考えてるんだ。でも、記憶が蘇るまでは何も分からなくて、僕のコンプレックスでもあった。
今、マフラーをしてるのは、単にマフラーがお気に入りってだけなんだけどね。
「そりゃそうでしょ。何年あなたの母親やってると思ってるのよ」
えへへ、母上には敵わないや。僕の事、お見通しなんだから。……うん、巻き心地も抜群! 兄様やうた達に自慢しにいこうかな。
「母上、このマフラー、自慢してきていい?」
「ええ、いってらっしゃい」
最初に自慢するのは……兄様にしようかな。部屋も近いし。
「じゃ、行ってきま……あ痛っ!? 痛、いたたたたっ!? やっぱ立てない! きっ、筋肉痛が……っ!!」
思わずうずくまるんだけどさ! どう動いても痛すぎるんだけど!? ちょ、ヤバいってコレ。思ってたより痛い!!
「アッハハ! こういう時は無理は禁物だよ、三成!」
巴御前、途中から居ないと思ってたら、ちょっと離れたところに居たのか……ってそうじゃない! 笑ってないで助けてよぉ〜っ!!




