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日ノ本高校のミツナリ君  作者: GOAT
大型連休編
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58話 勝ち鬨、成長。

「生徒陣営に一点! って事は……やった! 私達の勝ちよ!」


 ロキ先生の拾い上げた球は、ネットを越える事なく、先生側のコート内に落ちた。マリーの喜ぶ声が響く。勝った……僕達が……?


「え、勝っ……え? か、勝った、の……?」

「もっと喜びなさいよ! アンタが今回の軍師だったのよ!? ホラ、笑う!」


 マリーが僕の肩を揺さぶって、周りからは勝ち鬨が上がっている。そうか……勝ったのか……勝った!?


「勝った! 勝ったんだ! 僕の! 作戦で! 秀吉! ねえねえねえ! 僕……僕さ! 戦下手じゃないよね!? ね!?」

「うぉっ!? いきなり興奮しないでくれるかい!?」

「ぃやったーーっ! 脱・戦下手! さよなら、小田原の陣の汚名!」


 やっぱりさ、もう過去は吹っ切れたって言ってもさ、気になるものは気になるじゃん!? 汚名って、返上したいじゃん!? もう宴だね、コレは! 佐和山城でどんちゃん騒ぎをするしかないよね!


「三成? おーい、三成ぃー? 聞いてるかい?」

「……聞いてない……」

「三成ッ!」

「うひゃぁっ!? ……え、信長?」


 何々!? いきなり信長に肩を叩かれたんだけど!?


「三成オマエ、興奮しすぎだぞ」

「ご、ごめん……僕の考えた作戦が通用したのが嬉しくて、つい……」


 それに、治部様みたいに詠唱破棄はまだできないけれど、僕を狗神から守ってくれた技を再現できたから、やっぱりテンションが上がってしまうんだ。でも、はしゃぎすぎは流石にダメだったなぁ。

 冷静になって周りを見ると、みんなは片付けにはいっていた。それもそうか。もうすぐ、帰る時間だもの。


「くぅ〜悔しい! ワシ、いい線いってたと思ったのに……こうなったらヤケ酒なのじゃ! 家に帰っていっぱい呑む!」

「お、おぉ……程々にするのだぞ……」


  そして、ネットを挟んだ隣では、ロキ先生が年甲斐もなく喚いていた。……もしかして、僕もあんな感じだった? うっわ恥ずかしい! 今度からは気をつけないと……。


「皆の者! おめでとう! では、これから十五分で荷物を持って駐車場に集合だ! それ以上かかると、飛行機に間に合わなくなるのでな!」

「は……はぁーーッ!? ウソだろ!?」


 先生から号令がかかったのはいいんだけど、時間が無さすぎる……! 足の遅い僕と吉継は特に無理だよ……。


「……三成の分……余達……取ってくる……」

「がうがう、がおぉっ(吉継のは俺と正則で持ってきてやるよ)」


 困っていると、家康と清正が助け船を出してくれた。本っ当にありがたいや! そういえば、前世だと、こういうのって、あまり無かったなぁ。


「……三成。お前、今、清正の言葉を理解してたのか……?」

「あれ? そういえば、確かに……今まで、虎の咆哮にしか聞こえてなかったのに、なんでだろう……?」


 吉継に言われて、初めて気がついた。最初は正則の通訳がないと理解する事ができなかった清正の言葉が、すんなりと理解できていた。不思議だなぁ……。


「三成はまた、何か大きな事に巻き込まれるのか……?」

「ん? 吉継、よく聞こえなかったけど、なんて?」

「……いや、三成は成長したな、とおもっただけさ」

「フフン! そりゃあ、僕だって成長するよ! ……身長は伸びてくれないけど」


 吉継がまた、独り言を言っていた。何か、誤魔化された気がするけど、成長したって言われて悪い気はしないね。

 僕がもっと成長すれば、吉継達も、隠してる事を教えてくれるかな? どちらにせよ、もっともっと、頑張らなくちゃ……!



――



「まさか、ミスティルテインを再現する実力を身に付けるとは、いくら勉強熱心な生徒とはいえ、想定外であったな……しかし、人格の入れ替えに神の加護……これでは、まるで……」


 ――石田に、権現の地位を与えようとしているみたいではないか。

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