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日ノ本高校のミツナリ君  作者: GOAT
大型連休編
62/69

57話 リベンジ・バレー

 カッと照りつける太陽。陽光を反射する白い砂浜。

 昨日の雨がウソのようなプライベートビーチに作られたコートで僕ら学生と、先生方が睨み合う。


「今回は時間の関係で特別ルール。学生チームは一点を取れば勝利。先生チームは五点取れば勝利。……皆々様、準備はよろしくって? 試合開始よ!」


 審判を引き受けてくれたマリーの合図で試合が始まる。先攻は僕ら、生徒陣営。サーブは、一昨日と同じく、秀吉。不安は大きいけれど、きっと大丈夫だ、と信じたい。


「そぉれっと!」


 今回は、秀吉の放ったボールは先生陣営のコート内に吸い寄せられる。先生が動く気配も無いし、これなら勝てるかも……!


「『出よ! 神槍・グングニール』!」

「せっ、先生陣営に一点! ……何よコレ……こんなのに勝てっていうの……!?」


 え……えぇっ!? オーディン先生が声を上げると、光の槍が地面から湧き出てボールを押し返したんだけど!? どういう事!? こんなの勝てっこないよ……!


「まずは一点……我らが手を抜くなどと考えないことだな」

「じゃあ、サーブ行くのじゃ〜『幻影再現、雷槌・ミョルニル』! そぅれっ!」


 ロキ先生が大きなハンマーでボールを打ち出すと、ドガァンッと轟音を響かせながらコートに落ちた。……もう、乾いた笑いしか出ないな。


「……三成、コレはかなりやばいんじゃないのか? あの作戦はできそうか?」

「吉継……アレは、かなり厳しいかも。あのボールを取るか、サーブ権があれば……」

「なるほど……とりあえず、こちら側にボールがあればいいんだな?」


 確認を取るように聞く吉継に、軽く頷く。でも、あの豪速球を取るなんて無理だよ……。仮に取れたとしても、きっと怪我人が出る。僕は、そこまでしてまで勝ちたい訳じゃないんだ。


「話は聞きましたよ」

「が、鑑真! シッダッダも!」

「私達の能力は、バリアを張るものです。なので、そのバリアで球の勢いを削ぎましょうか?」


 ありがたい申し出だ……うん。そうだ。そうだった。コレはチーム戦なんだ。鑑真とシッダッダも味方なんだ。


「では、いきますよ……『悟り、開け、守りたまえ……菩提樹の加護』!」

「『正き教えを日、出る国へ……唐招提寺、守護結界』!」


 二人が先生の球の対策に、バリアを張ってくれたけど……鑑真のアレって、お寺だよね?


「鑑真、ヤバいかも。唐招提寺、燃えたらごめん」

「それは、どういう……?」

「信長の能力、寺とか神社が火事になっちゃうんだ」

「なっ……!? ……いいでしょう。燃えるのが早いか、我々が勝つのが早いか……これは私への試練ですね」


 もしかして鑑真、負けず嫌いなのかな……? でも、そこまでやってくれるなら、意地でも勝たなくちゃいけないね。


「ふひひ、結界を張ってもワシの球は反射できんぞ! 『幻影再現、神槍・グングニール』!」


 今度は槍と一緒にサーブをする。確かに、二人のバリアだけじゃ、ボールを弾き返す事はできない。でも、僕らの狙いはそこじゃないんだ……!

 二重のバリアに当たったボールが減速して、目で追える速さになる。うん、チャンスは今しかない!


「『擬似再現、魔矢・ミスティルテイン! 射抜け、ヤドリギ』!」

「な、その矢は……!?」


 僕の発したヤドリギの矢に、オーディン先生とロキ先生が動きを止めて目を見開く。

 ふふ、そうなると思ったよ! ミスティルテイン……ヤドリギの矢は、ロキ先生がオーディン先生の息子、バルドルを殺した時に使われたモノ。つまり、二人にとってのトラウマだろうからね。この動揺を狙ってたさ……!

 この作戦、体育祭の時の治部様を参考にしたんだ。治部様に比べれば、数も威力も足りないけれど、今回は攻撃する訳じゃないし、これでいいんだ。


「で、麒麟先生にはこっちを向いてもらおうかねぇ……『輝け! 太閤秀吉』! そして、そぅら、ニンジンだよぉっ!」

「ブルルルルンっ!? ひひぃぃぃんっ!(ニンジンですって!? 是非、是非! 私にください豊臣君!)」

「最後に、先生方には悪いが、転んでもらうか。『呪いあれ、呪いあれ、呪いも食べ物も三秒ルールだ! 向かい蝶紋の呪い』! ……小ゴリ! 後は任せた!」


 秀吉の能力とニンジンで麒麟先生が陥落して、隙を見せたオーディン先生、ロキ先生、根来先生は吉継の能力で顔面から転倒する。そう、吉継の能力は、自分の不幸体質を、一定時間だけ誰かに押し付けるものなんだ!


「スゴいのは転生者だけじゃねェぞ! オラァっ、くらいやがれ! そんでもって、オレは小越だ! 小ゴリじゃねェよ!」


 小越の強烈なアタックが入る。うん、やっぱり、小越のパワーはすごいや……! これは勝てる。勝てるよ!


「くぅっ……まだまだなのじゃっ!」


 なんとか復帰したらしいロキ先生がボールが地面に着く前に、自身の手で拾い上げる……そして、コートの中に落ちた。



――


 今回の初出人物


 バルドル

オーディンの息子

光の神様

みんなに愛されるアイドル的存在




 グングニール

オーディンの持つ槍

めちゃくちゃ強い


 ミョルニル

オーディンの息子でロキの親友の雷神・トールが持つ槌

威力がヤバい


 菩提樹

釈迦が悟りを開いた場所にあった木


 唐招提寺

奈良県にある鑑真の寺


 ミスティルテイン

ヤドリギでできたアイテム

バルドル殺しに使われた

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