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日ノ本高校のミツナリ君  作者: GOAT
大型連休編
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49話 BBQとカヌー

「うぅむ……もうこんな時間か……よし、お主ら! 昼時であるぞ!」

「やったぁ! 休憩なのじゃ〜!」

「いや、なんでロキ先生が喜ぶんです?」


 腕時計を見て唸ってからオーディン先生が声を上げる。そして、その後ろでは根来先生とロキ先生がコントをしていた。

 それにしても、そうか……もうお昼なんだね。随分と練習に熱が入ってしまったよ。僕も含め、みんな、もうヘトヘトで動けない! といった様子だ。


「ぶるるるっヒヒィィンッッ! (今日の昼食はバーベキューですよ! ニンジン! ニンジンも食べましょう!)」

「清正、正則、麒麟先生は、なんて?」

「ぐるる、がおがお! (昼メシはバーベキューだとよ!)」

「……! お、お前ら! 今日の昼メシ、バーベキューだ!」


 清正と正則の通訳を聞いた瞬間、喝采が巻き起こる。疲れなんて関係ない! 僕らは食べ盛りの高校生で、今は腹ペコで、そんな時にバーベキュー! 最高じゃないか!


「今回は馬肉と虎肉を用意してみたのじゃ〜」

「は……?」


 ロキ先生の一言で日ノ本高校の面々と麒麟先生が凍りつく。一呼吸置いて、みんなでロキ先生の近くからズザザァァッ! と音を立てて離れた。


「あー、ウソウソ、冗談なのじゃ! 用意したのは牛肉じゃ!」


 ホント、この先生は……イタズラに関しては容赦がないな……。みんなも少し、引き気味でロキ先生を見ている。

 そういえば結局、練習試合は出来なかったなぁ……でもまあ、美味しいご飯が食べられるならいいや。


――


 生徒達から少し離れた所で昼食をとる。うん、流石はかのオオトモ・コーポレーション系列から取り寄せた食材。値が張っただけあって、美味しさも一級品だ。

 生徒達もみんな、ワイワイとはしゃぎながらバーベキューを楽しんでいる。かつては歴史に名を刻むほどに活躍した彼らだけど、今は育ち盛りの子どもなんだと思い知らされるなぁ。


「それで、お主らから見て、要注意なのは誰なのだ?」


 そして俺達は、食べながらビーチバレーの作戦会議だ。はぁ……話すならせめて、可愛い女の子が……と、いけない。彼女探しは程々にしなくては。


「そうじゃの……ワシの視点で言えば、ワシらと同じ、神仏の次元に居る信長、秀吉、家康、シッダッダ。それと、呪い持ちの吉継に、加護持ちの三成じゃな」

「俺としては、パワータイプの凛と道誉が要注意ですね」

「ヒヒィィンッッ!(三成さんは要注意ですよ! 彼の作るニンジンは最高ですからね!)」


 麒麟先生の言葉はわからないけれど、話が噛み合っていないことはわかった。それにしても、ロキ先生の言うこともよくわからない。神仏の次元、は想像がつくけれど、加護と呪い……?


「ぬ? 石田は加護持ちだったか? 以前は、ただ、植物を操るだけの能力と聞いていたぞ?」

「それが、先の体育祭で、加護持ちと再診断が出たのじゃ」

「なるほど……」

「それに、あやつは勉強熱心での。最近だと、よく神話を調べておったから、ワシらの弱点を突いてきそうじゃ」


 そういえば三成は、俺が担任だった頃から勉強熱心だったな……その上、弱点を突いてくる、となると……なるほど、厄介だ。


「ま、今の所の作戦会議はこれくらいでいいじゃろ? ワシ、お昼寝したぁ〜い!」



――



 お昼ごはんも食べ終えて、午後の時間はカヌーを漕いで筋力の特訓をするらしい。もしかして先生方、僕らにこれ以上、ビーチバレーの練習時間を与える気がないな? でも、それもそうか。先生方だって、負けたくないもんね。

 話を戻して、カヌーの事だ。今回のカヌーは二人乗り、できるだけ体格の近い人同士で乗る様に、との指定だ。そして、僕のペアは……。


「ミツナリ! 私と組みなさい!」

「うん、よろしく。マリー!」


 男子の中で一番体が小さい僕は、今回の紅一点のマリーがペアだ。体格の近い人同士だと、どうしても、僕はマリーしか、マリーは僕しか居ないってだけなんだけどね。

 船体に乗り込んで、ゆったりと海へ漕ぎだす。カヌー自体は初めてだけど、懐かしいな。昔は度々、小舟で琵琶湖に出ていたんだ。


「ミツナリ、随分と手慣れているのね。カヌーの経験があったの?」

「いや、カヌーは初めてだよ。でも、前世は湖の近くに領地を持っていたからね。舟に乗る機会が多かったんだ」

「そう、良いわね……私も今度、セバスチャンに頼んで、湖に連れて行って貰おうかしら?」


 セバスチャン……? セバスチャンって誰だろう? マリーの話し方的に、僕で言う勘兵衛みたいな人なのかな?


「ねえミツナリ、もっと沖の方へ行かないの?」

「うーん、今回はやめておくよ。舟の扱いは四百年のブランクがあるし、何かあった時に、僕じゃ対応できないかもしれない」


 僕は、今世では寿命を全うしたいから、水難事故で死にました、は絶対に嫌だ!


「ウフフ、「水難事故は嫌」って、顔に出ていてよ」

「はぅっ!? うぅ……顔に出るの、治んないかなぁ……」

「いいじゃない、顔に出るの。私はミツナリのそういう素直な所、好感が持てるわ」


 うーん、マリーはそう言っているし、今は平和な世の中だから、治さなくてもいいのかな? いやでも、顔に出過ぎるのは嫌だな……ホント、どうすればいいんだろう?

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