47話 一夜明けて
昨日の話し合いから一夜明けて、僕らは清々しい気分で朝を迎えた。はずなんだけど……
「三成ぃ〜助けてぇ〜! 御館様がイジメるぅ〜!」
「おうコラ猿! テメェ、三成の事泣かしやがって!」
「えっと、僕はどうすれば……?」
「……気にしなくて、良い……」
何でだかわからないけど、前世で僕が泣いていた事が、秀吉様のせいとして伝わってしまったらしい。アレは、僕が勝手にガッカリして、勝手に泣いてただけなのに……。
「オイ、ヤス。オマエ、三成連れて先に朝メシ食って来い。オレはもうちょっとこの猿をシメてから行くからさ」
「……わかった……行ってくる……」
「え、えぇ……?」
秀吉様、大丈夫かな……? うーん、死にはしないから、いいかな!
「よし、それじゃあ、行ってきまぁす!」
「……行ってきます……」
「え!? 三成!? 三成ぃ〜っ! あ、ちょ、御館さ……ぎゃぁぁぁ!?」
秀吉様の悲鳴をBGMに部屋を出る。よく考えたら、背に魔王を背負ったノブ様はほぼ無敵だから、僕程度じゃすぐにボコボコにされちゃうよ。
「あーーっ! 石田っち! 徳川っちも! ちょうどよかった! 朝メシ、俺らと食おうぜ!」
昨晩のレストランに向かって歩いていると、宮笹と小越が手をブンブンと振りながら走ってきた。朝から元気だなぁ。
「宮笹に小越! 僕はいいけど……家康は、どう?」
「……大丈夫……」
「じゃあ行こうぜ! 俺、もう、お腹ペッコペコでさ!」
「そうなんだ? 僕はまだ……っ……!」
僕はまだお腹は空いてないって言おうとしたのに……! なんで僕の腹の虫は空気を読んでくれないんだ……! 恥ずかしさで顔が熱い。きっと、今の僕は顔が真っ赤になってそうだよ……。
「うぅっ……恥ずかしいっ!」
「……可愛いから……大丈夫……」
「かっ、かわ……!? 可愛い言うなぁ! 僕だって、男なんだよ!?」
家康に可愛いって言われるとか……確かに僕、前世で女装してバレなかった経験はあるけどさ……。
「知ってるけど、石田は弟っぽいからな。弟は可愛いモンだし」
「……うん、うん……」
「え、可愛いって、そっちの可愛いだった!?」
「え? そうに決まってんじゃん。どうしたんだよ、お前?」
なんでもない! なんでもないからね! 僕の勘違いだから!
僕が一人で悶々としているうちに、いつのまにかレストランに着いていた。ただ、みんなは朝に弱いのか、僕ら以外に、レストラン内には先生方しか居なかった。
「そういやさ、石田っち達って、朝はパン派?」
席を確保するなり、宮笹が質問してきた。いや、ホントいきなりだね!? 家康もキョトンとした顔になっている。
「朝? 僕は前世の名残もあるから、ごはん派だなぁ」
「……余も……ごはん……」
「ウチも、家が定食屋だから、ごはん派だな」
「マジで!? パン派、俺だけじゃん!」
宮笹が頭を抱えて「ウガーーッ!」と唸っている。でも、たまには朝からパンでもいいかもね。
「うーん、でも、今日はパンにしてみようかな」
「ホントか!? よしっ! 持つべきは友だ!」
宮笹が僕の手を取ってブンブンと振り回す。のだけれど、なんか、やけにテンションが高いな!? まあ、元気なのは良い事だし、別にいいかな。それよりも、今日からの合宿の内容が楽しみだ!




