45話 ビュッフェレストラン
散策に向かった時と同じく、ノブ様に腕を引かれて集合場所のビュッフェレストランに向かうと、既にみんな揃っていたみたいだった。よかった、ヒデ様は間に合ったようだ。
「三成、こっちだ」
「えっ!?」
ヒデ様に声をかけに行こうとすると今度は吉継に腕を引かれる。どうやら、朝からずっとノブ様と家康達にベッタリしていた事が気に入らなかったらしい。それ自体は僕が悪いんだけど、みんなして急に腕を引くのはやめてほしいよ……。
「さて三成、夕食時は僕がお前を独占する。さあ、取りに行くぞ」
「え、あ、うん……?」
ど、独占って、そんな大げさな……でもまあ、大親友に独占されるのは悪い気がしない、かもね。
「ま、独占というのは冗談だ」
「え!? 冗談!?」
え!? えぇっ!? あんまり冗談に聞こえなかったよ!? 吉継はたまに真顔でびっくりする様な事を言うからなぁ……見極めが難しいよ。
「フフッ、三成は僕に独占されたかったのか?」
「そ、そんな訳ないよ!? 違うから! 断じて独占されたかった訳じゃないから! ね!?」
そう、僕にそんな趣味は無いから!
「さて、三成で遊ぶのはここまでにしておいて……真面目な話だ」
「……なんか、納得できないけど、まあいっか……それで、真面目な話?」
それにしても、真面目ってなんだ……? もしかして僕、また知らないうちに何かやらかしてた……!?
「そう、真面目な話。秀吉が拗ねていたぞ」
「は……? 拗ね……?」
「あァ、拗ねていた。お前と対等な友人関係になりたいんだと。そして、僕とお前の仲良し加減を語ったせいで、余計に拗ねた」
「おいコラ吉継。余計な事しないでよ」
うーん、対等な友人関係、か……確かに最近ではあだ名で呼ぶようになってきたけど、完全に主従意識が無くなった訳じゃ無いしなぁ……。
「ま、その辺は追々でいいんじゃないか? 今はこの美味そうなご飯に集中しようか」
「うん、そうする……」
悩んでいると吉継がポンポンと僕の頭を撫でてきた。うぅ、身長が縮むからちょっと嫌だ……でも、吉継は撫でるのが上手いし……。
悶々としていると、いつの間にか料理を前に涎が垂れそうな勢いの吉継が僕を呼んだ。
「三成! 柿のデザートがあるぞ!」
「え、もうデザート!? ご飯が最初じゃないの!? それと、柿は死に際を思い出すからヤダ」
「む、そうか……すまない、三成。先におかずだな」
僕の腹の虫も鳴いてるし、腹が減っては戦はできぬ! まずは腹痛にならない程度にお腹いっぱい食べて、ヒデ様関係の事はその後で考える!
……お酒、飲んじゃダメだよね? はぁ、なんで今は二十歳にならなきゃ飲めないんだよ……昔はとっくに飲んでたのになぁ……。




