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日ノ本高校のミツナリ君  作者: GOAT
大型連休編
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41話 安土高校と東洋高校

 さて、今日からESS部の合同合宿……つまりは、大型連休だ。安土高校のメンバーに、黙って転校してしまった事を謝らなければ、と気合を入れたのはいいんだけれど……


「さて殿、ハンカチとティッシュは持ちました? 胃薬は入れました?」

「もう、勘兵衛! 僕は子供じゃないんだから大丈夫だよ!」

「何を言います。殿くらいの年頃は皆、子供ですよ」


 空港で、勘兵衛の心配性が発動してしまった。本当に恥ずかしいから、やめてほしい。僕を見つけて驚いていた安土高校のみんなも、次第に生暖かい眼差しに変わったじゃないか!


「それでは治部殿、島殿。殿を頼みますぞ」

「……ああ……任せておけ……」

「もちろん、三成様はしっかりとお守りしますよ! この左近が!」


 なんか、ホントいたたまれない……。

 僕が頭を抱えていると、後ろから肩を軽く叩かれる感覚。振り返ってみると、そこに居たのは小学校の頃からずっと同じクラスだった悪友・宮笹だ。


「よ、石田っち! いきなり居なくなるからビックリしたじゃん! 心配したけど、楽しそうにやってるって知れてよかった」

「宮笹……ごめん。急に転校して」

「ま、決まりだもんな。転生者は転生者専用の学校にって」


 怒ってない。むしろ、心配してくれていた。僕、嫌われていなかったんだ……。


「うん。ありがとう」

「クラスの奴らも薄々感づいてたけど、石田っちが転生者かぁ。実感湧かねーねぁ……なあ、ホントに戦国武将なんだよな?」

「もちろん。近江の佐和山で、お殿様だったんだから!」


 だから、そんな「あの運動音痴の石田が戦国武将?」って顔しないで! 運動音痴なのは今世だけだし!


「オイ石田ァ! 大名だか何だか知らねェけどよォ、勝ち逃げは許さねェぞ!」

「げぇっ!? インテリゴリラ!」

「だァれがゴリラだ、コノヤロウ!」


 宮笹と話していると僕に掴みかかって来たのは、僕と成績で競い合っていたインテリヤンキーのゴリ……じゃない、小越だ。そういや小越、佐々木殿にどことなく似ているな……。

 僕、宮笹、小越の三人で話していると、今度はノブ様がこっちに来た。そういえば、宮笹は信長ファンだったな。


「おはよう、三成! ソイツらがこの前言ってた前の学校の奴らか?」

「ノブ様。うん、僕の友達!」

「そうか、また会えて良かったな。それと、オレも挨拶しねぇと。あー、ごほん! オレは織田信長。今回の合宿で日ノ本高校の代表者をやらせてもらっている」


 ノブ様が声をかけると、案の定と言うか、宮笹が興奮して叫んだ。


「おおお織田!? 織田信長!? ギャワーッ! サイン! サインくだ……ゲフッ!?」


 あ、宮笹が沈んだ。


「すまねェ。俺が安土高校の代表者、小越凛だ。安土高校は俺とコイツの二人だけだな」

「おう、了解だ。じゃあ、そこで沈んでる……宮笹? には、サインは合宿が終わってからだと伝えてくれ」

「あァ、ありがとな」


 どうやら、安土高校からは二人しか来ていなかったらしい。少し寂しいけど仕方ない。僕らESSからも来れなかった人がいるしね。

 小越と話が終わったノブ様は僕の方に振り返った。ノブ様は、僕がちゃんと宮笹達と話が出来たのが嬉しいみたいで、顔がニヤけている。


「よし。んじゃ、オレは東洋高校に挨拶へ行く。三成、オマエはついて来い」

「うん。それじゃあ、また後で。宮笹によろしく言っといて」

「オウ、行ってこいよ」


 ノブ様の後について東洋高校のメンバーが固まっている所へ向かう。とは言っても、東洋高校のESS部は出来たばかりで、部員も少ないらしい。


「おはよう! 東洋高校のメンバーは揃っているか?」

「おはようございます。東洋高校は全員揃っていますよ」


 ノブ様の声かけに応えたのは、いかにも「僧です」といった外見でチャイナ服の様な制服に身を包んだ男子生徒だ。


「で、コイツは今年度からウチの会計になった三成だ」

「えっと、はじめまして。石田三成です」

「ええ、はじめまして。私は東洋高校ESS部副部長の鑑真といいます」

「そして、私が部長のゴータマ・シッダッダです。釈迦と言えば伝わるでしょうか」

「えっ、すご……」


 鑑真もお釈迦様も、両方とも聞いた事のある人だ。えぇ……めっちゃスゴ……。

 僕が感激で震えていると、お釈迦様が苦笑して言った。


「すごくはありませんよ。私達は、今も昔も、自分の欲と戦い続けているのですから」


 さすが修行者、とてもストイックだな。


「んで、西洋高校の方も揃っているから……今回はこのメンツと現地合流の先生四人とで三泊四日の沖縄合宿だ」

「はーい。ふふっ、楽しみだなぁ」


 嗚呼、どんな合宿になるのか、とてもワクワクするよ。


「御館様ぁ〜、佐吉ぃ〜! もうすぐ飛行機の時間だよぉ!」

「へっ!? あっっ! ヤッバイ! 急ぐぞ、三成!」

「えっ、えぇっ!? あぁっ、ちょっ、待って!」


 ワクワクと同時に、不安も大きいけれど。……って、待って! 置いていかないでよーッ!




――



今回の初出人物


鑑真

奈良の唐招提寺を建てた人。正しい仏教を伝える為に来日した盲目の僧。

東洋高校ESS部の副部長。

今世は盲目ではなくド近眼。


ゴータマ・シッダッダ

仏教の開祖。お釈迦様、ブッダとも。

東洋高校ESS部の部長。

今世でも修行を続けている。

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