22話 体育祭実行委員
あれから、僕は自分に殺される夢を見続けて、寝不足気味になっていた。とはいえ、どれだけ僕が寝不足でフラフラしていても、時が止まってくれる訳ではない。むしろ、時間に置いていかれない様に必死だ。具体的に言うと、授業中の居眠りとか。
そんな中でも、いい事もあった。部活間、部員間での連携が取れるようになってきた。各部活の会計係になんとか休憩を取らせようとしていると、自然と連携を身に付けたらしい。
そうしている内に、体育祭の実行委員が立ち上がって、僕も委員に参加する事になった。副会長殿のたっての希望らしい。初対面で手酷くフったのに、どうして懐いたのかが本当に分からない。
「いや〜〜、石田君が居てくれて助かるよぉ〜。ボク達だけだと今年こそ書類が間に合わないと思ってたんだぁ!」
「そうそう☆みんな、現代の計算法が体に合わなくって、ね☆」
そう言って僕をおだてるのは、生徒会の会計殿と文芸部の木戸だ。そんなにおだてたって、何も出ないよ。あと、文芸部は普通にムカつく。
「三成どん、今、怒っていても何も変わらないでごわすよ。体育祭本番まで我慢でごわす」
「……うん。ありがとう。落ち着いたよ、隆盛」
いけない。今、怒れば、それこそ関ヶ原での失敗を無駄にしてしまう。クッキング同好会の隆盛が、それとなく諌めてくれたおかげで落ち着きを取り戻す。僕、自分で思っているより短気だな?
「ねー、三成ぃー! コレ、あってるかしら?」
「ちょっと待って、徳子さん。……うーん、一桁違ってるよ」
「ありがとー!」
「コレは大丈夫だよね?」
「確認して欲しいなら、呪術で誤魔化さないでよ、晴明殿!」
「ぼっ僕は、だっ大丈夫でしょ、おっお犬様」
「あー、あー、あー! 聞こえない、聞こえないなー! 動物を愛する会の徳川家重の声なんて聞こえないよー!」
みんな、何で僕に確認取ろうとするんだよ! さっきから確認作業ばかりで、僕の仕事がちっとも進まない。こうなったら、最終手段だな……。
「左近! さこーん! 軽介も! 来て!」
「呼びました!?」
「どうなさいました、三成様!?」
相変わらず、呼んでから来るまでが早い。ただ単に叫んで呼んでいるだけなのに、この早さは一体何なんだ。
「左近、軽介。お前たちには、他の人の計算が会っているかのチェックをして欲しい。僕は僕の仕事をするから」
「わかりました!」
「了解です!」
左近と軽介に礼を言って僕の作業に入る。仕事が優秀な足軽達で僕もだいぶ楽ができる。さあ、頑張ろう!
――
今回の初出人物
西郷隆盛
維新三傑の一番有名な人。西南戦争の首謀者。
クッキング同好会の会計。
おおらかな性格。
安倍晴明
日本一有名な陰陽師。
オカルト研究部の会計。
かなり愉快犯な人。
平徳子
平清盛の娘で安徳天皇の母。
マンガ研究部の会計。
肝っ玉かあちゃん的な性格。
徳川家重
江戸幕府の九代将軍。障がいで、うまく言葉を発することが出来なかったらしい。
動物を愛する会の会計。
今生では、障がいは無いがオドオドとした態度が特徴。
 




