21話 同盟
義経公との協力を約束を約束して、僕は早速、信長様達に報告に向かった。公には協力するとは言ったものの、ただの会計係でしか無い僕には、そこまでの権限が無いのだ。
一旦、部室に戻ると言った僕に、それなら自分もと言って付いてきてくれた義経公を伴ってESS部に戻る。部室に戻ると、信長様は義経公と一緒にいる僕に驚いていた。初めは義経公を警戒していたみんなだけど、事情を話せば、ある程度は警戒を解いて提案をしてくれた。
「それじゃあさ、『同盟』組もうぜ!」
「同盟?」
「佐吉は初めてだから知らないんだっけねぇ。同盟は、部長同士が書き合った書類を生徒会に提出する事で成立するんだよ」
「……同盟……成立……裏切れない……」
なるほど、そんな制度があったのか。一度、同盟が成立すると裏切りが許されないのは、僕の精神状態的にも嬉しい。でも、そういった制度があるなら、そうだな……。
「あの、信長様。チアリーディング部以外にも、同盟を結んで欲しい所があるのです!」
その後、将門公、きぃちゃん、キヨ、伊達殿、利休殿も呼んで、互いに同盟を結び合う事になった。流石に、校内ナンバーツーとナンバースリーの部活がいるから、体育祭が終わるまでの期間限定になってしまったけれど。
そして、体育祭本番で連携が取れるように、とチームワークが重要なミニゲームをやってみた。……見事に全員バラバラな動きで、心配になって来た。それでも、体育祭本番まであと二週間。気合を入れていかないと!
――
部員達が帰った後、部室にはワッシと御館様が残っている。今回は、流石にワッシらも驚いた。まさか、あの佐吉が源義経を味方につけてくるなんて。御館様は将門公や紀貫之と仲良くなった事に驚いているが、ワッシとしては、ソレは想定内だ。前世の頃から佐吉は、ああ言った様々な噂の付き纏う人を絆すのがやけに上手かったからね。
「いやあ、佐吉には驚いたぜ! まさか、自分から同盟を取り付けてくるなんてな!」
「そうだねえ。そうだ。クッキング同好会と伊達政宗がいるなら、佐吉を兵站にまわせそうだけど、どうする?」
「んー、そうだな。基本は兵站で、余裕があれば、相手の妨害を頼もうか」
「うん。そうしようか」
佐吉もワッシらも、これから忙殺されるだろうけれど、ココからが正念場。我らがESS部に勝利をもたらし、必ずや、部室拡張の権利をもぎ取らねば……!




