表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日ノ本高校のミツナリ君  作者: GOAT
転校編
15/69

14話 和歌同好会

 今まで会計の仕事で忙しかったから気づかなかったけれど、僕は転校してすぐにESS部に入ったから、この学校にどんな部活があるのかを、まったくわかっていない。そこで、信長様と生徒会長殿に相談すると、僕はもう部活に所属しているため、主要なものしか周れないけれど、部活見学の許可をいただけた。

 そして、今日は、その第一回目。和歌同好会に来ている。事前に聞いた話だと、和歌同好会は、部長以外は女性しかいないらしい。本来なら、男性も入部できるけれど、部長が怖くて、みんな逃げてしまうんだとか。――なんなら、佐々木殿と将門公も震え上がっていた――


 ESSの部室から三部屋離れたところにあるドアを開けると、うたが居た。僕はうたの入った部活を全然知らなかったけれど、同じ階にある部活なら、僕の部活を知っていたのも納得だ。

「みっちゃん! 卑弥呼ちゃんから話を聞いて、みっちゃんが来るの、待ってたよ!」

「うた! びっくりした。うたって和歌、興味あったっけ?」

「いんや、全く! 初芽ちゃんから誘われて入ったんだぁ」

「そうだったんだ」

 僕とうたが話をしていると、女子制服を着た、部長であろう男子生徒が来た。……んん? 女子制服を着た?

「アナタが見学のコ? とっても、うたちゃんに似ているわねん! アタシは和歌同好会の部長である紀貫之よん、ヨ、ロ、シ、ク、ネ!」

「ひゃいっ! 石田三成ですっ!」

 紀貫之? この人が? 驚いた。現れ方もそうだけど、紀貫之の性別に。あの人、男だったんだ。そして、僕は、昔からよく本を読んでいた。その中には当然、『源氏物語』や『太平記』、『土佐日記』があった。特に、『土佐日記』は僕のお気に入りだ。だからこそ、僕は、紀貫之のサインが欲しい! 前世なら無理だけど、今世ならできる! こういう時、転生してよかったと思う。

「あのっ、僕、貴方のファンです! サインしてください!」

「あっらぁーー! カワイイじゃなぁい! サインくらい、いくらでもしてあげるわよん! それに、そんな堅苦しくしなくてもいいわ! 『きぃちゃん』って呼んで頂戴!」

「うん、きぃちゃん! ありがとう!」

「うふふ、みっちゃんなら、きぃちゃん先輩と仲良くなれるって思ってた。サイン、よかったね」

「うん。ありがとう、うた」

 とても変わった人だけど、周りが言うほど怖くはなかった。人生経験の豊富そうな、面倒見のいいタイプの人だ。本人は、あだ名で呼んでほしいみたいだけど、個人的には『きぃちゃん』より『姐御』って感じだなぁ。ついうっかり、口を滑らせないように気をつけないと。


 その後、また遊びに行く事を約束してESSの部室に戻って信長様に報告すると、ひどく驚いた顔をしていた。何でだ?



――


今回の初出人物


 紀貫之

『土佐日記』の筆者で(おそらく)日本最古のネカマ。

和歌同好会の部長。

『圧が強い』と怖がられがち。


 初芽局

元は徳川方だったけど石田方に寝返った忍者。三成の側室とも言われている。が、後年の創作である可能性が高い。

和歌同好会の部員。

うたの親友。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ