僕のおねぇはおねぇだけれど決しておねぇではない
なろうラジオ大賞2に向けて思いついたので、稚拙ですが。
僕のおねぇはおねぇだけれど決しておねぇではない。
思い返せば、物心つく頃には姉のことを「おねぇ」と呼んでいたし、なんなら「おねぇ」という造語を知ったのは、だいぶ後になってからだった。
「僕さ、おねぇのこと好きなんだよね」
「お前……そっち系か?」
「そっち系? (あぁ、シスコンのことか。確かにその通りだな) あぁ、そうだよ」
「マジかよ。おねぇのどこがいいの?」
「例えばすごく優しいところとか」
「苦労してきたから人の痛みに寄り添えるんだろうな」
「カラオケが上手なところとか」
「すごく盛り上がりそうだな」
「聞き上手なところとか」
「確かに」
「え。会ったことある?」
「いや、イメージ」
「休みの日に遊びに連れて行ってくれたり」
「おねぇと?」
「うん」
「すげぇ」
「ホラーを観たあとに一緒に眠ったり」
「その話がホラーではなくて?」
「なんのこと?」
「いや、分からないならいい」
「いつも困ったときには助けてくれるし」
「いい人だな」
「間違ったことを叱ってくれたのもおねぇだった」
「すげぇいい人だな」
「だから、本当におねぇには幸せになってほしい」
「……そんなに好きなら付き合ってみるのは?」
「いや、無理でしょ」
「なんで?」
「だっておかしいじゃん」
「お前好きなのにおねぇのこと差別するんだな」
「え?」
「俺さ、お前の話聞いて考えが変わったわ。好きなら貫き通すべきだと思う。お前が守ってやれよおねぇを」
「姉弟で恋愛はさすがにまずいって」
「……え?」
「だって家族だよ?」
「待って。お前の言ってるおねぇって誰のこと?」
「僕の姉のことだけど」
「それお姉ちゃんじゃねーか!!」
その後、僕はおねぇという造語の存在を知ることとなる。
それからというもの、僕はおねぇ好きとして周囲からかわれるようになった。
一体、本当の意味を理解している人がどれだけいるだろうか。
僕のおねぇはおねぇだけれど決しておねぇではない。
つまり何が言いたいかと言うと、はじめにおねぇのことをおねぇと言い出したやつをぶん殴ってやりたい。
評価をいただけたら嬉しいです。