96話・キーリクライク、手加減はしたんよ?
「おい、聞いたぜぇサテラぁ。ゴブリンキングの剣が持ちこまれたらしいじゃねぇか」
ウチがギルド長室からフロントへと戻ってくると、問題児のいるカウンターに問題ありそうなグループが詰め寄っていた。
話の内容はウチが持ちこんだゴブリンキングの剣に付いてらしい。
結構いい値で売れたなぁ。これ、焼き鳥何本買えるやろ?
「で、何処の誰だぁ? キングなんて狩ったソロプレイヤーってのは?」
「べ、ベゴンさん、その、あの、そういうのは守秘義務が……」
「あぁん? お前が守秘義務なんて守ったのぁみたことねぇぞ? なぁ、教えてくれや。パーティーに誘いたいだけだって。別にいいだろぉ?」
「ひぃぃ、あ、あちらの方ですぅ」
おい、普通に売りおったなあの小娘。
指差す先にウチが居たので男達がウチを見る。
「ぶはっ!? おいおい、幾ら魔族の娘だからってゴブリンキングなんざ狩れるかよ!」
「で、でもぉ、本当ですよぉ」
「本当だろぉなぁ? よぉー嬢ちゃん。喜べや。俺らのチームに入れてやる。実力者は俺のチームに入らなきゃなんねぇんだぜぇ」
なんだこの人間?
五人パーティーの、屈強で見るからに関わりたくない容姿らしい男達に囲まれる。
別にウチはええんやけど、周囲の人達が凄く関わりたくなさそうにしとるし、こいつ等ギルドの中でも爪弾き者やろなぁ。
「すまんなぁ、ウチ既にパーティー組んどるんよ。引き抜きは主様に言ってぇな」
適当に告げてギルドを後にする。
「おい、待てやっ!」
なんやぁ?
肩を強引に引こうとする男。
ウチに触れようなど不敬やろ?
すっと身体を逸らして身体を反転。腕を持ち投げ飛ばす。
おっと、このまま地面に叩きつけたら潰れたトマトみたいになってまうわ。
手加減手加減っと。
「ぐぁっ!?」
「アニキっ! テメェやりやがったな!」
なんやのん?
ギルドを出た途端に囲まれる。
パチンっと音を立ててナイフを取り出す男達。
「クソがァッ! 下手にでりゃ付け上がりやがって!!」
下手……何時誰が下手にでとったっけ?
ウチこれから食事するつもりやのに、なんやのん? 邪魔せんとってや。
「少し痛い目を見なきゃ分からねェようだなァ!! ぶっ殺せ!」
痛い目見せるだけなのに殺すのはどうなんやろ?
掛かって来るなら敵やから倒してしまってええんやろうけど、一応人間さんやから手加減はしたらなぁな。ちょろっと触れただけで穴空きよるから手加減難しいんよ。
あ、せや。折角やし、精気、もろてしもうてもええやろか? ええやんなぁ?
最近ご無沙汰やしぃ。ウチの身体使ってじゃなけりゃあ主様も問題にせぇへんやろ。
走り込んで来る男達。
ナイフを片手にしているので殺す気は確定やろ。ウチを殺せるかは疑問やけど。
ウチが反撃しても、ええんやね?
「オイ待て、早まるなお前らっ!」
話を聞いたらしく慌てて出て来たギルド長。
聞こえへん聞こえへん。ウチは聞いてへんから反撃するんや、なぁにちょっと吸うだけや、痛いのは全然無いから問題ないやろ。ちょぉっと萎びた身体になるだけやて。
ぶわり、ウチの影から飛び出す無数の触手。
気付いた男達だが、こちらに向かって走り込んでいたので勢いを止め切れない。
二人を拘束。あ、三人逃げだしおった。威張るだけあって高ランク冒険者なのは確からしい。
上に逃げだそうとしたから触手の規模を増やす。
家より高い位置まで触手が出てもうたけど、まぁ、問題無いやろ。
全部タコ足やし、切ったら食えるよこれ。主様たまにタコ焼き作るから足一本頂戴とか言ってくるし、触手切り取ってまうし。
あ、でも、ウチの身体の一部が主様の身体の一部になると思うと、それはそれでちょっと萌える。キュンキュンしてきたわぁ。夕方になったら早めに戻って主様にアプローチしたろ。
はい、これで最後の一人っと。
「ひぃ、なんだよこりゃぁ!? ちょ、待て、なんで服を脱がす!?」
「安心しぃ、ちょおっと貰うだけや。先っちょだけや。先っちょだけやから、ええやんなぁ?」
「ひぃぃぃぃっ!? やめろっ、来るなっ、来るなァッ!!」
ア゛――――――――――――――――ッ。
……
…………
………………
「で、こうなった、と」
どこかでウチの触手を見たらしい主様がすっとんできた。
やって来るなりウチ向けて指差し一言。正座! と命令されたので正座とやらを行っとる。
この座り方めちゃくちゃ足に来るんやけど、あの、さすがに道の真ん中でこれは酷くない? 身体洗わな汚ぁなってしまったやん。
あ、あかん。なんか足痺れて来た。
ギルド長さんがウチのこと止めてたみたいやけど、聞く耳持たずに夕方近くまで男達を無残に遊んでいたらしい。ウチそんなつもりなかってんよ? ほんとに、ちょっと遊ぶだけのつもりやってん。主様との情事思い描いとったらいつの間にか夕方なっててん。
「うり」
「に゛ゃあぁぁっ!?」
あ、足、足触ったらあかん、あかんのぉ、主様これはあかんのよぉ――――っ。




