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93話・ロゼッタ、ちょっと昇りたくなっただけなんだよ?

 フレデリカが滅茶苦茶食い付いた。

 結局なんやかんやで何日かに一度、こちらに来てボーエン先生の魔法習いたいと言って来たので明日にでもボーエン先生に伝えておくことにした。

 まさか魔法で友達関係になるとは予想外だったんだよ。


 あの娘、結構魔法好きみたいだし、その内無詠唱のやり方とか教えてあげよっかな。

 でもケリーアは全然興味無いみたいだった。

 脳筋タイプだし、剣術見せてあげれば仲良くなれるかもしれない、けどなんかあのままの方が扱いやすそうだし弄りがいがあるんだよ。

 可愛らしいからあのままにしとこっと。


 二人は午後三時頃になると、家に帰るために馬車に乗り込み去っていった。

 次に来る時は泊まりがけで来るらしいよ。

 朝に来て魔法の授業して、朝に帰るんだと。

 しかもフレデリカ一人で来るそうだ。ケリーアは泊まりがけ無理って言ったらじゃあ私だけでくる。とか普通に宣言しちゃってた。


 そんなフレデリカとはなんか凄く仲良くなれたようで、帰り際には凄く哀しそうに馬車から顔出して手を振って帰っていった。

 あそこまで惜しまれるとなんかこう、絶対仲良くなりたくなるね。

 よーし、私もデリーって呼べるようにがんばるぞー。


 さーって、今日はもう残り一時間ちょっとで夕食だから時間余っちゃうな。

 なにしよっかなー。あー、折角だし、何かに昇りたくなってきたんだよ。

 庭の木は昇り慣れてしまったし、壁はリオネッタが駄目って言うし……


 ふと、私の視界にそれは入った。

 視界の先にずっとある、超巨大建造物。

 そう、私の家だ。

 うん、今日はこれを、昇ってみるか。


「あ、あの、お嬢様? 何を?」


 今日はリオネッタではなくセバスが傍に居たので、笑顔でサムズアップしておくんだよ。


「お嬢様? お、お嬢様ぁ――――――――――――――ッ!!?」


 ていっと壁に飛び付いた私は、家の壁にあるでっぱりを伝って昇っていく。

 うーん。なんかこの世界来てからロッククライミングが楽しいんだよ。

 前世だとロッククライミング用の施設しか行かなかったから景色を楽しんだり、変なところの出っぱり掴んだりとかなかったからだね、やっぱ人工より自然物が良いんだよ。


 あ、でも屋敷は人工物に入っちゃうのか。

 ま、いいや、昇りがいがあるからそれだけで十分なんだよ。

 よいしょっと、屋根に到着ー。


 あー、夕焼け空が綺麗なんだよ。

 貴族街や平民街、街壁がここからだと見渡せるのがいいね。

 そして平民街でうねる無数の触手が彩りを……


 目をこすって二度見する。

 うん、まぁ、その、なんだ。私は何も見てないんだよ。

 キーリ、あんた一体何やらかした?


「う、おぉ? まず、落ち……」


「何してんのおっちゃん?」


 影のおっちゃんが落下しかけてたから手を取って引き上げてあげる。

 年も年なのにこんな高い場所登っちゃダメなんだよ。

 冷や水だよ冷や水。落ちたら大けがじゃすまないんだよ。


「あ、あのなぁお嬢、俺らはお館様にお嬢の危機を助けろって影から助ける役目を与えられてんだよ」


「ん? うん、ご苦労さん?」


「こんな場所昇るとか俺らが死ぬわっ! お嬢、頼むから危険なことしないでくれよっ」


「えー。でも私浮遊魔法覚えてるから落下しないんだよ?」


「あっ。確かに」


 忘れてたのかおっちゃん。


「いや、でも俺ら結局お嬢に危険が迫った時にフォローできるようにしなきゃいけねぇからな、頼むから俺らが動ける範囲の場所に居てほしいんだが、じゃねぇとお館様が俺ら全員処刑しかねねぇんだよ、たのんますお嬢っ」


 パンッと両手を合わせて祈るように頼んで来るおっちゃん。

 いや、でも……確かに浮遊出来る私についていくには影のおっちゃんたち大変か……

 私に付いていけなきゃお父様に怒られる訳だし、生活と命掛かってるから必死だな。

 でも私としてもやりたいことやりたい訳だし……


「あ、そうだ。影のおっちゃん達も浮遊魔法覚えればいいんじゃん」


「え゛?」


「そうと決まれば練習なんだよ。明日の午後からおっちゃんたちもボーエン先生の魔法授業受けるしかないんだよ。ついでに朝方は私と一緒に体力作りしてもいいんだよ?」


「嘘だろ……殺す気か?」


 なんで死ぬことになるのか意味不明なんだよ? か弱い御令嬢の運動訓練なんておっちゃんたちなら楽勝っしょ?

 某軍曹みたいな鍛え方はしないんだよ。狂戦士しか生まないから危険だもん。

 とりあえずは科学的に浮く方法を風魔法で出来るようにするべきだね。


「本来は影に徹しなきゃならねぇんだが、折角話したついでだ。お嬢、あそこのタコの足みてぇなのは、なんだ?」


「わ、私は何も知らないんだよ。はは。知る訳ないじゃなーい」


「いや、ぜってぇ知ってるだろ。あれ、絶対邪神だよな? お嬢が連れ帰った」


 バレてーら。

 え? お説教なの? いや、待って、キーリのことは私関与してないんだよ? お父様に怒られるの? 確定なの!? なんでさぁっ!?

 しかたない、回収に向かおう。とりあえず正座の刑だ。

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