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8話・ロゼッタ、買いモノをする3

 鍛冶屋にやってくる。

 今回は貴族を相手に商売してる所じゃなくて、冒険者が扱う武具を卸してる鍛冶屋だ。当然、平民街にあるお店である。ゆえに口調がかなり悪い荒くれ店主の可能性が高い。

 貴族相手は適当なナマクラ打って、煌びやかにしてる奴ばっかなんだよ。お父様の剣も見せて貰ったけど豪華なばかりで実用性皆無だったんだよ。

 王国兵団が扱ってる剣は冒険者が扱ってる武器作ってる所に発注掛けてるって聞いたからこの鍛冶屋を選んだのである。

 ふっ、やはり一番重要なのは実戦に使えるモノだよね? 飾りじゃないのよつるぎはぁ。


「親方ーっ!!」


 鍛冶屋の発注カウンターに向ったら、貴族来ちゃったって慌てて奥に引っ込む店員さん。

 ちょっと客だよ? 顔見て奥引っ込むのは店員としてなってないよ。違反だよ。イジメだよ。泣いちゃうよ?

 ちょっぴり涙目になっていると、奥の方からぴかっと光る頭の親父さんがやってきた。

 筋肉質でザッ鍛冶屋の親父って感じのおっちゃんだ。たぶん歌は音痴だ。インゴットはいりますか?


「おぅ、嬢ちゃん。何しに来たかは知らんが、ここは鍛冶屋だ。武器や防具作るとこだぞ? アクセサリー系は宝飾屋っつーとこに行っとくれ」


「ご安心を。私は鍛冶屋に依頼に来たのですわ。武器を打ってくださいな」


「はぁ? 嬢ちゃんが武器を?」


 さすがに驚いたおやっさん。そんな口調だと貴族様相手は無礼打ちだよ? 打つ前に打たれちゃうよ? 大丈夫?

 私はそんなことしないから安心だよ? 悪い悪役令嬢じゃないんだよ? やったね。

 とりあえず、このまま話をしても押し問答になりかねないので、昨日用意しておいた羊皮紙を取り出し、依頼受付用のカウンターに広げた。


「あん? こりゃ……」


「オーダーメイドをお願いしますわ。ちゃんと作り方も書きました。一週……七日後に経過を見るためまた伺いますわ。お金はその時に」


 多分、一度も作ったことないだろう。羊皮紙持って震えている親父さんを放置して私は踵を返す。

 さぁって、ここの鍛冶屋さんは上手く作ってくれるかな? できるだけ詳しく作り方書いたからよほどじゃなければ作れるはずだけど。ちゃんと作れたらいいなぁ。ダメなら普通の剣使わなきゃ。

 やることはやったし平民街から出るとしよう。


 後は貴族街の服屋でオーダーメイドだ。

 運動するなら体操服だ。ブルマーさんだ。ゼッケンもいっちゃう? 拙いひらがなでろぜった。って書いちゃう? ちょっとあざと過ぎかな? さすがにゼッケンはやめとこう。

 運動用の服は手に入れたけど冒険者服はダサ過ぎる。

 なので貴族御用達の服店でオーダーメイドして貰うことにした。

 一応、昨日のうちにこっちも書いといたけど、これ一枚しか書いてないからなぁ、出来るかなぁ。無理かも。素材書いてないし。


「いらっしゃいませお嬢様」


 私が店に入ると、店員全員が作業を止めてお辞儀を行う。

 さっきの平民の店とは段違いだ。

 幸いなことに他の貴族は居ないようなので適当に生地を見る。


 貴族用の服屋ではあらかじめ服を作っておくことはしない。基本オーダーメイドばっかりだ。

 なので見本が数点ある以外は生地を選んでメインはこれで、どこそこにこっちの布使って、と細かく告げることで職人が作り始める。

 なかなか面倒で時間はかかるが、貴族相手にやってるところなどだいたいそんな感じである。

 貴族が求める服は機能性じゃない。見栄えなのである。たとえ動き辛くとも見栄えが良ければそれでいいのだ。斬新さこそ正義なのだよ。


 羊皮紙を渡して注意点を告げる。

 青い顔も怪訝な顔も嫌そうな顔だって少しもせずに、親切対応してくれる店員さん。

 さすが貴族相手に手掛けて来た歴戦の猛者である。きっと後で蔭口だ。スタッフルームであの貴族はヤバいとかいろいろ噂しちゃうんだよ。


 出来るかどうかは分かりませんが、挑戦させてください、と言われたのでお願いすることにした。

 基本、出来ないものは出来ないとお断りなど出来ない店員さん達である。

 貴族ってのは無理難題のオーダー発注して来る癖に出来なければふざけんな、と斬り殺そうとしてきたりするのだ。

 しかも逆らったら平民など貴族法によって裁かれる。

 まさに不公平社会だ。貴族万歳だ。貴族でよかった。平民や奴隷だったら目も当てられない。……はて、奴隷は存在するんだろうか?


 まぁいいや。一応、オーダー発注の見積もりで数日かかるということなので、鍛冶屋と同じく、七日後に進捗状況を見に来ると告げて服屋を後にする。

 やっぱり、服は平民の店より貴族用の店の方が良さそうだ。

 次は……魔法店だな。

 リオネッタに聞いた話によると、この街に存在する店の種類は貴族街だけでもかなりある。平民街にもあるにはあるが、貴族街の劣化版が多いらしい。


 冒険者がいるので武器屋や防具屋については平民街の方が質が高いらしいのだが、魔法具や書物など高額なものは貴族街にしかないらしい。

 一応、平民街にもあるけど、かなり質が落ちるそうだ。

 他にも、日用品に関しては平民街。その質が高い高級品になると貴族街。用途によって扱われている店が違うそうだ。

 御蔭で魔道具店探しだけでも貴族街に数店舗あり、それぞれ独自の魔道具を取り扱っているらしい。


 全部の店を回ってみたいが、流石に今日だけで回り切るのは不可能に近い。なので今回は主要な大店である三店舗だけ見て、ほしい物を確認するつもりだ。

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