887話、ロゼッタ、午後の部は王子も参戦するんだよ
午後になった。
すでに兵士さんたちは訓練場に全員集合してお勉強で習った事を実戦している最中だった。
お爺ちゃんもゼルディス王子もすでに来て待っている。
いや、ゼルディス王子は仕事とかあるんじゃないの?
なんか参加しそうな雰囲気だしてるし、なんで準備体操して服装も汚れても良さそうな服に変わってるのかな?
「パルボラさん、あれ、いいの?」
「ご本人が御所望ですので」
「そう、後悔しても知らないんだよ? 傷とか付いても回復するから、問題ないですよね?」
「一応、ゼルディス王子に確認は取っておいてください。王族からの許可があったか無かったで周囲の反応もだいぶ変わりますので」
「ご忠告どうも、なんだよ」
私達がやって来たのに気付き、兵士達が隊列を組み始める。
しかもちゃっかりそこに混ざるゼルディス王子。
なんか凄くわくわくしてやがる。
「あー、始める前にまずゼルディス王子」
「む、見付かったか?」
「バレバレです。で? 怪我をしたり血だらけになったりするかもしれませんが、よろしいので?」
「どうせ回復させるんだろう? ならば構わん! 俺も強くなることには興味があるからな」
ただし、護国の想い無しで付いて来れるかは別問題なんだよ?
「では、これより午後の部を始める。最初に行うのは武器種別訓練だ」
皆小首を傾げているようだけど、今日は簡単だ。
「全員、配られた武器を使え。竹で作った竹刀という武器と木の端材で作った盾だ。これからやることは簡単だ。まずは竹刀。持ち方はこう。剣と同じと思ってくれればいい。そのまま素振り。パンダフ、トラヴィス、バリー、頼むわよ」
ここからは彼らが見回ってフォームのチェックと誰が剣や盾の扱いに特化しているかを判断する。
ここ数年見回ってきた三人だから、目視確認しただけで誰が得意か分かるようになっているのだ。
なので、しばし皆さんには素振りをして貰う事にする。
ただまぁ、さすがに二百人いるから三人でもちょっと時間がかかる。
その分兵士達の素振りの時間が増えるのだ。
「次、盾構え! シールドバッシュの素振り」
盾を前に押し出す動作を見せ、同じ行動を繰り返して貰う。
やはり盾使いはさすがに少ないようだ。
逆に剣と盾装備の部隊と、剣のみの部隊はしっかりと出来あがった。
「次、槍」
槍を人数分、パンダフたちが配って回る。
槍と言っても棒に麻布を先端に巻き付けただけの訓練用だけど。ちょっとだけ麻布の下に金属入れてるので槍と同じ重心を持っているのだ。
「次、斧」
同じように、竹刀や盾、槍を回収しつつ斧の訓練用武器を渡して素振りさせていく。
「次、弓」
一通りの武器を扱わせ、いくつか特殊な武器も扱わせてみる。
テリーって兵士さんとベルゼットって兵士さんがちょっと変わった武器を訓練することになった。
あとゼルディス王子、なんで貴方の得意武器が盾なのか、かなり謎なんだよ?
「全員、指定された武器がお前達の得意武器だ。明日よりこの時間は各種得意武器の訓練に当てる。他の武器が良いと思うモノもいるだろうが、それは訓練終了後にでも各武器担当者にレクチャーして貰え」
たっぷりと素振りしたから腕が辛そうだ。
なので次は物理的な訓練を避けて回復時間。
「丁度鐘もなったな。ではここで5分の小休止だ」
5分ってなんだ? と皆困惑しているようだが、私は気にせずその場に白いテーブルと椅子を取り出し、優雅にティータイムを行う。
ライオネルだったらメイドさんとか呼んで給仕お願いするんだけど、さすがに他国のメイドさんを……パルボラさんいるけど毒入れられそうで恐いし。
そして5分後、テーブルや椅子をアイテムボックスに仕舞いこんで再び彼らの前に立つ。
この5分は恐らく休憩すら出来なかっただろうが、各自5分がどのくらいかを理解したようだ。
「ではこれより、魔法の訓練を行う」
兵士達がどよめく。
それはそうだろう。魔法が使えるなら宮廷魔術師や別の魔法職を選んでいるはずだ。わざわざ体を張る兵士など選ばなかったはずである。
「魔法、といってもお前達の知る魔法とは少々異なる。分かりやすく言えば、ライオネル式無詠唱魔法、と言ったところか」
メルクナードに教えるべきかはちょっと迷ったんだけど、別に魔法くらいは使えても大丈夫だろう、と陛下や宰相閣下と相談して広める許可は貰っておいた。
なので、私が行っている外の魔力を使った、自身の魔力を極力消費しない無詠唱魔法を教えて行くこととなる。
「この魔法を扱えるように成れば、あのような事も可能になる」
指差し、兵士達の視線をパンダフに向けさせる。
パンダフはその場でゴーレム馬を作りだし騎乗していた。
さらに近くに居たトラヴィスが右手に火球、左手に水球を作って見せていた。
バリーに至っては自分が空に放った矢を風魔法で操って操作し始める。
うん、皆の度肝が抜かれたんだよ?




