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853話、ペルグリッド、魔竜島のデッドポイント5

SIDE:ペルグリッド


 欲しい物はいつでも手に入った。

 手に入らないモノは何をしてでも手に入れた。

 アレが欲しい、これが欲しい。

 お金が無いから買えない? 手に入れた物を売れば金になるでしょう?

 妹に男が出来て幸せそうなのが気に入らない? ならば奪ってしまえばいいじゃない。

 その幸せ、私が貰うわ。


 そうやって、欲しいモノは手に入れた。

 欲しいモノを手に入れるために前に手に入れた物を無くす事になっても気にもならない。

 手に入れたらそれまで、欲しいと思えばまた手に入れればいいのだから。

 だから手に入ったモノは次に手に入れたいモノを手に入れるために捨てることだって躊躇わない。

 欲しい何かを手に入れるためなら自分が不幸になろうが体が穢されようがどうでもいい。

 どんな状況になろうとも、欲しいと思った何かが手に入ればいいのだから。


 だから、こんなことは初めてだった。

 初めてだったが手に入らない訳がないと知っていた。

 だって、今まで私に手に入らなかったモノはなかったのだから。


 妹が欲しかった。だから妹が出来た。

 女の子は綺麗になるべきと母に言われた。だから綺麗になるために国庫を削ってでも服を買い揃えた。なのにお母様に無駄遣いはダメだと言われ怒られるのが我慢ならなかった。

 スグニマケイルの暗殺者を招き入れてお母様には死んでもらった。

 ついでに妹も殺されかけたけどあの娘意外としぶといわよね。

 まぁ私の邪魔にならないからそのまま放置しているわ。


 服や化粧品を買い続けていると、国庫が無くなりだした。

 仕方ないので側仕えを解雇した。それでもダメだったから父に言って使用人を削って貰ったが、お母様みたいに浪費グセを直すよう説教してきた。私の邪魔をするからお父様には毒で死んでもらうことにした。


 お父様が寝たきりになったので私が国を運営することになったのだが、国の運営など良く分からない。

 まぁいいや、と放置していると妹が率先してやり始めた。

 勝手にやってくれるのならいいか、と放置して好き勝手し続けた。

 金がないから国王代理の権限使って民から金を巻き上げた。そしたら国ごと干上がったらしく食事が薄いスープになった。

 それだけだとお腹が空くので土を食べてお腹を満たした。

 水で何度かすすげば意外と食べられるわよね、土。


 結局綺麗になっても母の言っていた良い男なんて来なかったし、そろそろ着飾るのも飽きたな、と思っていると、ロゼッタに拾われ妹共々ライオネル王国に連れて行かれた。

 この国だといろいろと制約があって面倒だわ。

 出来ればもっと自由な国が良い。


 それでもロゼッタが意外と強いせいで逃げるに逃げられない。本気で逃げたい、って訳でもないから欲しいモノが出来るまではここに居るつもり。

 そうこうしてるうちに妹とジームベルクがくっつきだして、人目憚らずいちゃつきだした。

 私はこれだけ着飾ったのに男の一人もできなかったのに、なんで着飾りもしていない妹に……と思うと少し怒りを覚えた。だから男を手に入れたいなら奪ってしまおう、と思ったわけである。


 ジームベルクは女性免疫などなかったから楽に堕とせた。

 一度抱かれてしまえばそれだけで妹との仲は粉砕された。良い気味だ。

 でも、これ以上ジームベルクと付き合う意味もないのよね。

 また寄りを戻しそうなら寝取ってみるのも面白いけれど。


「ん? どうしたんですペルグリッドさん、だ、ダメですよ。僕なんかにそういうことは」


 チッ、身持ちが硬いというか、このナッシュとかいう小デブ、童貞の癖に何でこんなに私を拒むのよ!?

 まさか男好き? でも妹の新しい彼氏なんでしょ、だったら女が好きよね。

 アレかしら? 女を抱いた事ないから私を抱く意味を理解できてないのかしら。


 仕方ないわね。どうせ二人きりだし、ここは強引に……


「うわ、ゴーレムだ!」


「へ?」


「ペルグリッドさん僕の後ろに。必ず守りますから」


 え? え? ちょ、なんでゴーレムなんて出てくるの!? 今まで何も出てこなかったのに!?

 ナッシュは私を守るようにゴーレムと対峙し、素早くゴーレムを撃破する。


「大丈夫ですか? 怪我してませんか?」


「え、ええ……」


 私を抱くのを断って置きながら私の心配はするのね。

 じゃあ、今のうちに……カチッ?

 え、今の音なに?


 ナッシュを引き込むために彼の背後に回ろうと壁際に寄った私のお尻に、何かが振れた。

 慌てて飛び退き見てみれば、不自然に盛り上がった岩の出っ張り。


「これは……」


「ッ!? トラップ!?」


 ドン、と体が押された。ナッシュに体当たりされて吹っ飛ばされた。

 地面をごろごろと転がり、元来た道へと戻される。

 何が起こったのか理解する前に、目の前に降り注ぐ土砂が彼の姿を覆い隠す。


「ペルグリッドさん、貴女だけでも逃げ……」


 土の壁に阻まれて、ナッシュの姿が見えなくなった。

 さらに声まで途切れてしまう。

 ち、違う。私、私悪くない。


「私のせいじゃない。私悪くない。私を見捨てなかったあいつが勝手に死んだだけよ」


 ああ、でも……どうしよう?

 これじゃナッシュを私の男にすることが出来なくなった。

 私が望めば手に入るはずの全てが、全てじゃ、なくなって……

 あ。あれ? 欲しいモノって全て望めば手に入るモノじゃ、ない……の?

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― 新着の感想 ―
これは少し極端かもしれないが、なぜ彼らはその王女とヤンデレの両方を殺さないのか。レベル2000が普通の女の子に脅かされるというのは意味が分からない。 そしてその王女は精神的に病んでいる。物語に登場する…
[良い点] 悲報wマリアネージュのママを殺したのはペル姉w 悲報w闘病していたペル姉のパパは実は服毒だったw マリアネージュさんが原作で暗殺される理由ってあんたのせいかい!です!w ペル姉は天然狂…
[一言] うわぁ・・・想像以上に”ビッチ”でござった・・・ 影とかアルケー、宰相あたりはこの裏事情把握してるのかしら?
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