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82話・ロゼッタ、違うんだよ、これは無双ゲームだから仕方無かったんだよ

 しばし息を殺して観察する。

 ゴブリン達は洞窟、ではなく森の中で集落を作っているようだ。

 基本洞窟は近くにあるのだが、その周辺に木で家を作ったりして生活拠点を作りだしていた。

 意外と器用だねゴブリン。


 知識的には人間も驚くほどだし、腕力は人間より強い。

 賢い上に多産で他種族の女性との混血でもゴブリンができる。

 つまり放置してるとゴブリン無双が始まってしまうのだ。


 だからゴブリンの巣を見付けたら駆除しなければ、地上から消え去るのは人類の方になってしまうらしい。

 ゴブリンってゲームだと雑魚キャラだけど、現実だと恐ろしい存在だったんだよ!?


「グキャ」


「ロゼッタさんっ!?」


 へ?


 ガキン、キキキキキキキキキキン


「グギャァッ!?」


 私が振り向いた瞬間、背後から奇襲を仕掛けていたらしいゴブリン君が光に変わっていった所だった。

 まさかのこの面子の警戒網を潜り抜けられるとは思ってなかったようで慌てて私に向かって走っていた三つのパーティー全員が想定外の結末を見せつけられてその場で急停止する。


 おかしい、時間停止したつもりはないんだよ?

 なんで皆走る姿で止まってるの?

 よっぽど想定外のことが起きたんだね。 


「皆どうしたの?」


「い、いや、どうしたのって、君、今、攻撃されて、あれ?」


「ふふ、主様の反射結界やぁ」


「へ? 反射結界?」


 リエナート君が驚愕した顔で小首を傾げる。

 なんでキーリがどや顔してるのかな?

 これは貴女のスキルじゃないんだよ。


「ウチも、知ってさえいれば攻略はできてんけどなぁ、不意打ちみたいなもんやし、もろに呼ばれてもうてんよぉ。すっごく痛いんぇ?」


「え? あ、そう、ですか?」


 キーリ、まだリエナート君よく理解できてないよ。

 というか、皆も、ここゴブリンの巣が近くに……


「グキャァ!!」


 さっきのゴブリンの断末魔で巣穴が騒がしくなる。


「マズい、ずらかるぞ!」


「待って、囲まれてるっ!」


 うわ、ホントだ。

 えー、索敵魔法使ってたのに。

 今まで全然反応無かったじゃん。


「ゴブリンアサシンじゃねぇか!? なんでこんなに!」


「アサシンがいるってことは、あそこの巣穴、かなりデカいぞ!?」


 あー、今思い出したんだよ。

 多分これ襲撃イベント用のゴブリンの巣穴なんだよ。

 ライリー関連のイベントでほら、ライリーの親友であるグレンデル、だっけ?

 がゴブリン大討伐戦に参加して大怪我負うイベント、それを行うためのゴブリンたちなんだよ。


 凄い大集団の襲撃で物凄い被害が出たらしいけどA級冒険者達の決死の闘いでゴブリンキングを討伐。なんとかゴブリン達を駆逐できたけど被害者が多数でてA級冒険者のパーティーが三つ程壊滅してた筈なんだよ。


 三つ……

 私は仲間を見回す。

 A級冒険者三パーティー。

 ここでゴブリンアサシンの襲撃を受け命からがら情報を持ち帰り、即座にギルドが動いて討伐戦を開始、そこにライリー君たちが参加して、って所か。

 となると、ここ、負けフラグだよね!?


 でもなんとかこの人たちを生還させたいな。

 だって知り合っちゃった訳だし、このまま死なれるのも目覚めが悪いしゴブリンの餌食になんてさせられない。


「キーリ、やるよ!」


「ふふ、ええよぉ主様。ほんなら、はんなり呼ばれよか」


 ぶわり、キーリの真下にあった影からタコ足と思われる物体が無数に出現する。

 うわー。邪神だよ。真正面から敵対すること無くってよかったぁ。

 SAN値チェックした方がいいかな?

 皆が背後から出現した謎のタコ足に恐れ慄いてるんだよ?


「な、な、ぁ?」


「アサシンは任せるわ」


「了解や」


 ゴブリンアサシンは索敵魔法を掻い潜るスキルを持ってるようだ。

 御蔭でかなり前から捕捉された私達はこちらが気付かないうちに包囲されてしまっていたらしい。

 ゴブリン、頭回り過ぎじゃない?


「統制が取れてやがる。王が、いるかもな」


「嘘だろ、ゴブリンキング!? だが、確かに俺らが気付かないゴブリンアサシンがこんなにいるとなると……」


「じゃあ時間が無いわね。ゴブリン達も私達に見付かったことは分かった訳だし、人間に隠れて繁殖することももう出来ないと判断すれば……」


「決戦の準備が必要だ。まぁ、まずはこの情報を誰か一人でも持ち帰ること、だがな」


 キーリがアサシン達を撃破しはじめてくれたので、余裕が出来た仲間たちは自分たちの目的を確認し合うと、武器を構えて突破に掛かる。

 いや、そこまで恐れる必要はないと思うんだよ。

 だってやってくるのはゴブリンだし?


 グキャァ! ガイン、ギギギギギギギギギギン、グギャァッ!?

 グキャァ! ガイン、ギギギギギギギギギギン、グギャァッ!?

 グキャァ! ガイン、ギギギギギギギギギギン、グギャァッ!?

 グキャァ! ガイン、ギギギギギギギギギギン、グギャァッ!?


 ……さっきから追い付いて来たゴブリンが私を狙って来るんだよ。

 皆気付いてないのは私が最後尾を付いて行ってるのと、ゴブリン達が勝手に自滅して行くから振り返っても誰も居ないんだよ。既に光に変わってるからね。

 アイテムはキーリが触手一つを動かして回収しているので放置です。

 あとキーリ、なんであの汚い布放置してるの? え? 腰布? じゃあいらないや。

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― 新着の感想 ―
だぁめだぁ~ 旧支配者のキャロルが鳴り止まないぃ~ SANc 1D10/1D100
[一言] 「あとキーリ、なんであの汚い布放置してるの? え? 腰布? じゃあいらないや。」 汚い布、何に使われていたにしろ、要らないでしょう。
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