79話・ロゼッタ、ご紹介と依頼内容確認1
「さて、準備は整ったな」
とりあえず各々必要な道具を揃えて街門前に集合、ということで一旦解散した私達は、
街門の前で再びあつまったのである。
私とキーリは何もする必要は無いんだよ。
必要なのは全部手に入れてあるし、防御壁の準備も万端。敵対者は、全員纏めてぇ、10倍返しだぁ!! なんだよ。
キーリはキーリで暇そうにしてたから屋台でお菓子を買っておいたんだよ。
ポップコーンが売られてるの見た時は驚いたよ。
この世界にもポップコーンはあるんだね。
まぁ基本平民の食事がコーン主食だからその派生があるのは当然か。
でも芋は無かったんだよ。
悪魔の食物と恐れられて毒物指定されてるんだよ。
ジャガイモ美味しいのに。
あ、でもサツマイモは普通に売られてました。
石焼き芋買っちゃった。懐かしさ覚えてつい買っちゃった。
甘くてほくほく美味しいな。
あ、でもオナラは致しません。人前じゃ恥ずかしいんだよ。
「人間食美味しいなぁ。主様、ウチこれ気に入ってん。なんでやろ、食べ始めたら止まらへん」
絶妙な塩味だよね。
容量も多いのが魅力なんだよ。
私も帰りにもっかい買おうっと。せっかくだからお母様とお父様にお土産してあげるんだよ。
なにさ冒険者さんがた。そのピクニック気分かよ、みたいな顔は。
「んじゃ、早速偵察任務に向かう訳だが、嬢ちゃんたちは俺らの名前も知らんだろう?」
「あ、それは申し訳ございませんわ。何分つい先ほどまでFランクでしたもの」
「ああ。だからゴブリン共と闘う前にここで軽く自己紹介しとこうかと思ってな」
確かに、おっちゃんだらけで仇名もなかなか付けづらいから自己紹介があると嬉しいんだよ。
「んじゃ、まずは俺らのチームから行こうか」
そう告げたのは、おっちゃんだった。
基本この三チームはおっちゃん率が高いから殆どの表現がおっちゃんになるんだよ。
一応、お爺ちゃんのいるチームだ。
「俺のチームは銀狼旅団。チームリーダーやってるクロスエンドだ」
めちゃくちゃ厨二心をくすぐる名前だった。
クロスとかだけならともかく、クロスエンド!?
「俺がミック、隣の無口野郎はラシェルドだ。困ったことがあったら言いな。いつでも相談に乗るぜ?」
「俺はバリアノール。気軽にバリーさんとでも呼んでくれや」
「僕は僧侶のレイテールです。依頼を受けている時以外は教会に居ますので禊の際などではまたお会いすることになるかもしれませんね」
「儂はケリークじゃ。銀狼旅団の魔法使いをやっとる。そっちの嬢ちゃんよりも巧みな魔法を使えるぞい」
「ちょっと、さりげなく私より上に立とうとしないでよ耄碌爺。むしろ私の方が火力は高いからね。危険な魔物は任せなさいな」
うん、なんやかんやで魔法使いのお爺さんケリークは別パーティーのお姉さんと張り合い中のようだ。
険悪、というよりはいつもの光景といった様子なので互いに信頼はしているのだろう。
だから放っておいても問題なさそうだ。
銀狼旅団は斧使いのおっちゃんを主軸にしたパーティーだ。
クロスエンドのおっちゃんはタコ頭で巨漢でムッキムキの海坊主って感じの人だった。
大剣を片手に持ってるガチムチ系やらないかヒロインっぽい見た目のミック。なんやかんやで襲われる役な気がするんだよ。
盾役のガッチガチに甲冑で固めたラシェルド。
ちょっと軽薄そうな野盗といった姿のバリアノール。
糸目の優男で何時か裏切りそうな怪しい人にしか見えないレイテール。
そして魔法使いのケリーク爺ちゃん。
これがAランクパーティの一つ、銀狼旅団の六人であった。
うん、ミックさんが一番危険そうなんだよ。
怪しくてイケないガチムチ系か髭の濃いイタリア系ガチムチ系お兄さんにやらないか? って言われたら普通に付いてっちゃいそうな顔してるんだよ。
これは、脳内補間が捗りそうな気がしますわ。
ああ、ダメよロゼッタ。見知った男の人を別の男の人と掛け合わせようなんて、悪い子だわ。
「俺らは基本邪神の洞窟潜るか護衛依頼で別の国まで商人を護送してる。護衛依頼やる時は声掛けてくれりゃいろいろ教えてやんぜ?」
護衛依頼かぁー、多分やらないね。お父様が寂しがっちゃう。
他国までとかになると日帰りはまず無理だし。
お父様が子離れ出来た後になるだろうなぁ。
あと、レイテールさん。禊ってなに?
「え? 禊を知りませんか? 10歳になると成人したという証明のため、教会で禊を受けるんですよ」
「平民なら皆知ってて当然の筈だぞ嬢ちゃん。孤児だって知ってる筈なんだが」
「へー。平民の行事じゃ仕方ありませんわね」
「ん?」
「ん?」
あれ? 話がかみ合ってないんだよ?
もしかして、皆さん私の事貴族と思ってない?
あ、そっか。ギルド長は普通に知ってたけど皆さんは私のことについては全く知らない状態なのか。
「平民じゃ、ねーのか?」
「あー、えー。その、秘密、で。あと教会には後々行く予定なので多分会うことになるのは確定なんだよ」
「そ、そうですか。その時は、その、よろしくお願いしますね」
レイテールさんが急によそよそしくなった!? ひどいな!




