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7話・ロゼッタ、買いモノをする2

 お風呂と食事を終えて馬車に乗り込む。

 お風呂はすっごく広かったよ。ライオンさんっぽい石像の口からマーライオンだったんだよ。

 ついでに服はリオネッタに脱がされ、身体も別のメイドさんに丸洗いされたよ。お風呂専用メイドさんだって。贅沢だね。女同士でも恥ずかしいんだよ。イケナイ扉が開かれちゃうよ?

 一人で洗うようにしないと貞操の危機だ。誰のか分からないけど貞操の危機なんだ。だから私は一人で風呂に入らなきゃ。


 護衛の人は二人に増えていた。

 御者をやる人と、中で護衛する人だ。

 ゆえになんか無駄に豪奢な馬車には私とリオネッタとお父様の私兵さんが一人乗っている。

 なんか窮屈だ。そして兵士さんゴリマッチョで朝錬してたから汗臭い。

 馬車の中も汗臭い。男臭がお祭り騒ぎだ。リオネッタはなんで澄まし顔できるの? 好きなの? おっさん臭?


 しばし、ごとごと揺れている。

 車輪は木製、クッションは無し。小石を撥ねるとがたんと揺れるよ。

 たった数分でお尻が痛いの。これはダメだよ馬車ダメだ。

 せめてサスペンションを、ゴムタイヤを、安全な乗り心地をお願いします。


 貴族の馬車だから作りは良いんだって。でもめっさ揺れるの。ぶるんぶるんのばるんばるんなの。だからお尻が痛くなっちゃうの。

 兵士のおっちゃん金属鎧着て乗ってるの、全く痛そうにしてないの。この人デキる。と思わず尊敬してしまったの。

 やるようになった、おっちゃん。おっちゃんが馬車を一番うまく乗れるんだよきっと。


 最初にやって来たのは平民用の服屋。

 動きやすい服が欲しかったんだよ。

 御車の兵士に行きたい場所を説明したら、ここに来たの。

 貴族が平民街来て大丈夫?


 店主さんすっごい焦っているよ? 大丈夫じゃなかったよ。

 なんかもう何時手打ちになってもおかしくない怯えようだよ。

 無礼打ちされちゃう怯えようなんだよ?

 大丈夫、悪い悪役令嬢じゃないよ?


「と、当店に何かご用でしょうか?」


「動きやすい服が欲しいの。ありまして?」


「そ、その、貴族のお嬢様に似合うような素敵な服は私の店には……」


 青い顔で恰幅のいいおっちゃんが手揉みしながら言ってるよ? 両足ががっくがくに揺れてるよ。汗がすっごい溢れているよ?

 これはどう見ても営業妨害。

 貴族は来ちゃうだけで平民服屋の営業妨害になるらしい。なんでさーっ。


「別に綺麗な服を探している訳ではないわ。運動するのに問題がない服がいいの。もちろん、平民服でいいのよ」


「か、かしこまりましたっ!!」


 私の言葉にぴーんと直立不動になった店長さんだろうおデブさんは、慌てて服を探しに向かう。

 いくつかの服を持ってカウンターに戻って来た店長さん、気のせいかな、少し痩せた?

 気のせいだよね? こんな一瞬で痩せる訳ないもんね。


 もしも気のせいじゃなかったら女性たちの人気は激増だ。

 ダイエットしたい女子が詰めかけて来るよ。満員御礼だよ? やったねおっちゃん。

 そのダイエット法は夢と希望が詰まってるんだよ。おっちゃんのお腹には肉と脂肪が詰まってるんだよ。私に睨まれて怯えるだけでシェイプアップだよ。

 私のダイエットはどうすればいいんだろう?


 とりあえずおっちゃんが持って来た服を見てみよう。

 うん、私が今着てる服からすると微妙だね。滅茶苦茶薄い服だし、新品なのにボロボロに見える。

 いったい、どんな作り方したら、こうなるんだろう?

 というか、これが普通の平民服?


「まぁ、これが普通の平民の服、なのかしら?」


「ひっ、そ、それは……」


「あら? なぜ言葉を濁すの?」


「し、失礼しましたっ、こ、こちらは中型商人のもので、平民はこちらになりますっ!!」


 ボロ過ぎだろ。と思ったら、もっとボロいのが出て来たよ? 日本の服だと100円ショップですら見掛けない服だよ。でも100円ショップで服見たことないよ。

 平民服は、しいて言うならダンボールで作った服とか、新聞紙で作った服って感じ。すでにちょっと破けてるよ。

 これはさすがにびっくりだ。ちょっと想定の斜め下を潜ってる。


「今の平民服はこんな感じなのね」


「は、はいっ!」


「お、お嬢様。さすがにお嬢様が着るには、これは……」


「そうね……他に街を歩いていて、もう少し丈夫な服で目立たない物はあるかしら?」


「ぼ、冒険者の服でしたら、防御力が必要になりますので、こちらになります」


 あ、これだよこれ。この半ズボンとボタン付きYシャツみたいな服が欲しかったのよ。

 ボタンは付いてないけど。丸型ボタンではなく棒をボタン代りに結んでいるようだ。

 これを穴に通して服として機能させているようだ。ボタンはないんだよ。多分この世界にないんだろうね、アレはアレで結構な改革案だったみたいだし。四つ穴ボタンが恋しいんだよ、別に求めちゃいないけど。


 というかこれ、冒険者の服なんだ。

 冒険者の初期装備。せっかくだし冒険者登録もしに行っちゃう? さすがにまだ実力も足りないから止めとこう。

 もっと動けるようになって筋力付いてからだね。魔法も覚えてからが良いよね?


「次は鍛冶屋ね。行くわよ」


 リオネッタと共に再び馬車に乗り込む。

 折角、買い物したというのに商人さん、私達が去った後に塩撒いてたよ。

 おかしいなぁ、折角侯爵令嬢が買いに来たんだよ? お貴族様だよ? 貴族御用達と書いたって問題無い満員御礼への布石だよ?

 塩撒いて二度と来るなって酷くない? ぶぶ漬け案件だよ? 京都でもやらないよきっと。

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