756話、ロゼッタ、ダンジョンには意思があるらしい
―― ダンジョン核・メイズが仲間になりたそうにしている ――
ワッツ?
―― テイムしますか? ――
「どしたん主はん?」
「えーと、なんかテイムできるっぽい?」
「ダンジョンって、テイム出来るんだぁ……へー、そっかぁ」
キーリが目からハイライト消して考えるのを諦めた。
あるがままを受け入れるのはいいけど、実質何も考えてない間抜け顔になってるんだよ?
「まぁテイムしちゃった方が安全ではあるか。じゃあYESっと。会話は念話でよろしくなんだよ」
さて、会話はできるかなぁーっと。
―― ああ、本当にテイムされてしまった…… ――
おー、念話届いた。
ダンジョンさんチッス。
とりあえず危険なダンジョンなので駆除しようかと思ったけどテイムされたなら命令で生徒や学校に手出しできないようにしちゃおうか。
あとダンジョンがたまにモンスターパレードして来る件に関して聞いてみよう。
ダンジョン内の事を知ることが出来れば冒険者ギルドにとっても有益なはずなんだよ?
「うぅ。ダンジョンアタック、結局ロゼッタがボス倒したからこれって負け?」
「えーっと、イレギュラーだったんだし、仕方ないんじゃない?」
「ミリアさん、今のケルベロス戦見ても勝てると思うんだ……ある意味凄いな」
おちつけギリード君。どう見てもヒロインちゃん戦力差とか考えてないよ。
下手したら今の光景、彼女の中ではなかったことになってる可能性だって捨てきれない。
恐らくヒロインちゃんは構ってちゃん系の人物だ。
自分が優位な事以外は脳が受け付けてない可能性が高い。
だからたまに話が通じなくなるのだ。本人は普通に過ごしてるつもりだけど話の一部を脳が理解しようとしないから周囲と齟齬を産んでいる。
なんて感じの精神になってるんじゃないかなぁって思うんだけど。
「ともかく、ダンジョンに関していろいろ調べることになりそうだから、メイズだっけ、出来れば外でいろいろ聞きたいんだけど、人型になったり出来ない?」
―― アバターであれば、出せますが ――
おお、スライム出て来た。
せっかくなので、はい。
ウルスハの頭の上に乗せておく。
なんで私? と困惑してるウルスハ。理由は無いわよ。なんとなく目についたのがウルスハだっただけだし。
「んじゃ、アバターを通じて意思疎通と情報抜粋。命令も行わせて貰うんだよ?」
―― 不本意ではありますが、テイムされてしまった以上は従いましょうマスター。はぁ、生きたいという意思だけで相手にテイムされることになろうとは…… ――
ダンジョンにも意思があるのは確定ね。
邪神洞窟の方にもあるんだろうか?
その辺り確認しといたほうが良さそうだなぁ。
何よりダンジョンをテイムしたこと自体が初めての事だ。
ダンジョンがテイムできるという事実からして恐らくこの世界の常識が粉砕されることだろう。
「冒険者ギルドのギルド長さん、この事実知ったら死ぬんとちゃうやろか?」
「なんで事実知った程度で死ぬんだよ? 大丈夫でしょ」
知識増やしただけで死ぬとか意味不明なんだよ。
「結局、何のためにダンジョンに入ったんだったか?」
エレインが不意に洩らす台詞に、私達は考える。
うん、当初の予定だったダンジョンの異変調査が無事終わったんだよ。
これでゲームイベントのモンスターパレードは起こらなくなるはずだ。
ダンジョンのモンパレが起こった場合はそのダンジョンを完全破壊しなければ延々と魔物が湧きでてくるはず。
その理由も、ダンジョン自身に教えて貰う事にしよう。
今は、情報をえるよりも、薄暗いダンジョンからでてゆったりできる場所で話を聞きたいだけなので、さっさと出て自室で情報共有しなきゃなんだよ。
ダンジョン内でとか気が滅入るし気がするし。
ヒロインちゃんがぶつぶつと煩いけど、もはや勝負どころじゃないので放置だ。
ダンジョンアタックはしたんだし、私としてはやることやったからもう付き合いきれないんだよ。
あれだよね。これ以上構ってくるなら私を倒したければキーリを倒してからにしな。とか言っちゃうしか無いかなぁ。
キーリならなんか上手くあしらってくれそうな気がするし。
ちょっとキーリの負担が増えるだろうけど、その分甘えさせておけばキーリなら大丈夫なはず。
先生達についても手を打たないとだし、ヒロインちゃんの相手とかいちいちしてられないんだよ。
対応可能な人材がいるならそっちにお任せしちゃおう。
「はうぅっ!? なんや、今背筋がぞくぞくっと」
「キーリ様?」
「あ、なんでもあらへんよウルスハ。それより、頭のスライムよぉ似合うとるよ」
「えぇ、このでっぷり太った生物がですか?」
―― 失敬な。スリムなボディに対してなんという言い草。そもそもスライムは不定形で…… ――
意外と知識ひけらかし系の秀才タイプかなこのダンジョン?




