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741話、ロゼッタ、お父さん、お婿さんをください!・4

 マクレガー城(勝手に命名)にやってきた私達。

 ボーエン先生がいるので顔パスである。

 とはいえ、王様に連絡入れる必要があるので登城理由を門番さんに教えて門入った後にある待合室に入って時間を潰す。


 しばし時間を置くと、兵士さんが戻ってきてどうぞ。と案内を買って出た。

 なぁんだ残念。ボーエン先生と険悪だって聞いたから兵士に囲まれて包囲攻撃されるかと思ってたのに。肩透かしなんだよ。


「君はなんでそんなに残念そうなのかな?」


「……なんでもないんだよ?」


 兵士さんに案内されて私達三人は廊下を進む。

 ふむ。城の作りはライオネル城とほぼ変わらないなぁ。

 あ、でも窓がほぼないからかなり薄暗い。

 等間隔に燭台が設置されてるからまだなんとかなるけど、蝋燭使うなら魔法で光作った方が楽なんだよ? 魔力食うけど。


 やって来たのは大きな扉の前。

 やっぱり謁見の間っていうとこういう扉だよね?

 内側と外側に二人ずつ配置させて人力で動かすんだよ。大変だ。


 ウチの近衛共は指先一つで開いちゃうけど、この鉄扉はどう考えても大の大人数人がかりで動かさないと無理だと思う。

 あ、なるほど、ドワーフさんやオーガなら一人でも開け閉めできるのかぁ。


「父の国は結構多様な種族を採用してるんだ。一部の魔王国は特定種族の排除を行っていたりするけど、父はその辺りは分け隔てないからね」


 意外と良性統治してる王様なのだろうか?

 でも、国民の結婚をいちいち採決するとか、僻みにしか思えないんだけど?


「来たか……不肖の息子」


「父さん……」


 ついにボーエン先生と魔王が対面した。

 玉座に座った魔王は片足を組んで肘掛けに肘を付いて片手の甲で頬杖を付いている。

 こちらを睥睨する視線は羽虫を見る程度のどうでもいいという思いがにじみ出ている気がする。


「私は結婚したい女性ができました。こちらのセーリアです」


「ふん、人間か」


 大して面白くもなさそうに鼻を鳴らす魔王さん。

 気のせいだろうけどなんかちらちら私の事見てる?


「人間など脆弱だろう。そのような小娘を嫁にしたところですぐに死ぬぞ? 我らの寿命は長い。人間と結婚して悲しみを負うなど愚の骨頂。我が馬鹿息子が不幸を選ぶことを父として背中を押すと、本気で思っているのか?」


 言ってることは正論なんだなぁ。


「あんたのことは聞いてない。私はこのセーリアと結婚する。その報告に来ただけだ。許可はいらない。事実を告げに来ただけだ」


 あぁ、これはダメだわ。

 セーリアはがっちがちになってるし、ボーエン先生はもはや父と会話する気がないと宣言しちゃってる。

 父親は普通に親心だしてるのに……あ、また目があった。

 なんか、一緒に来てるこいつはなんだ? っていう疑惑の視線がたびたび来るんだよ?

 気にしないで、私は空気、空気なんだよー。


「父として、息子が愚かな行為をするならば止めねばならんな」


 そう告げて、魔王が立ち上がる。

 おー、角が御立派、背丈も180ぐらい。

 魔族は年取りにくいってことらしいから容姿は20代後半くらいのイケメン若づくりオジサマだ。

 それが黒いマントと黒い鎧着て厳かな雰囲気でガッチャガッチャ音鳴らしながら歩くのだ。

 ちょっと厨二病患者にしか見えなくて笑いそうになる。


 おっと、ボーエン先生も魔族化しちゃった。

 まぁこの状況で人の皮被っている意味はないもんなぁ。

 双方臨戦態勢。

 いきなり始まりそうな親子対決に驚き目を白黒させるセーリア。


「父さん、あんたを倒して俺はセーリアと添い遂げるッ」


 一人称変わった!?


「馬鹿息子め。痛い目を見なければ分からんらしい」 

 

 おお、なんか凄い魔法連打だ。赤黒く光る炎の球みたいなのがボーエン先生に十連発ほど飛んで行く。

 しかし、ボーエン先生も300レベル越えの猛者。

 片手で弾き飛ばし、父王向けて飛翔する。

 そういえばボーエン先生の背中、蝙蝠みたいな羽付いてたな。


「あ、あの、やめ……」


 ボーエン先生が突撃してから二人揃って肉弾戦。

 おお、意外と父王善戦してる。

 ボーエン先生の攻撃の威力にこそ驚いているが、ボーエン先生の攻撃は結構単調で読みやすい。

 そういえば戦い方とかは教えてなかったなぁプライダル商店組。


「くっ、まさかこれほどの力を手に入れていたとは」


「あんたが国でふんぞり返っていた間、俺は強くなったんだっ」


 強くなるのは一瞬でしたよ。邪神洞窟最下層の一つ上でミノタウロスさんに一撃入れるだけでレベルアップです。


「ろ、ロゼッタお姉ちゃん、ど、どどど、どうしたら」


 案の定、どうしたらいいかわからなくなったセーリアが私に頼る。

 でもこの位なら問題は無いんだよ。


「とりあえず二人の間に入ってビンタ一発づつやれば丸く収まるんだよ?」


「む、無理だよぉ!?」


 えー、ちょっとは頑張れ、ボーエン先生の妻になりたいんでしょ?


「そうだけど、そうなんだけど……」


 私がやってもいいんだけど、それだと彼女は何のためにここに来たのかって話しになるんだよ? 対等の関係を望むなら、行きなさい、セーリア。

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― 新着の感想 ―
[一言]  ……そして、セーリアが次の”魔王”になる、と思うんだよ(笑)
[良い点] 私・ロゼ『なぁんだ残念。』 ロゼと思いが通じあえて嬉しい。なお私はロゼの100倍過激です。 [一言] ぐっはっはっはwって魔王みたいな笑声を出しながら読めました。
[一言] お父さん魔王が予想外にまともでしたね。お嬢のビンタとかやったら首が三回転半くらいしそうですねw
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