715話、ロゼッタ、所用を済ませるんだよ
陛下達との話し合いが終わり、私達は平民街へ。
メテオラが平民街の惨状に辟易していたけど、これでも結構マシなのよ?
私が指摘したことで下水処理も工事進んでるし、冒険者ギルド経由で浮浪児たちの仕事で馬糞処理とかがあるから道も結構綺麗になってるし。
ちなみに拾われた馬糞は集積所に集められて肥料にされるらしい。
馬糞肥料は結構重宝するらしいので農家さんたちから感謝の声が冒険者ギルドに届いているんだとか。
まぁ、私にはどうでもいい話だ。
「おー、なんか久々にみたな嬢ちゃん」
「あれ? ジーニアスさんだっけ。買取所はいいの?」
冒険者ギルドにやってくると、ペレーラさんの夫である厳ついおっちゃんが依頼を張り出ししているところだった。
「俺だってその仕事ばっかしてるわけじゃねーぞ。ここの一員だからな」
そういえばこのおっちゃんもギルド職員だ。なら職員らしい仕事してても問題は無いのか。
バンッとクエストボードを叩いて主張したジーニアス。その衝撃でさっきくっつけた依頼書がばさばさっとめくれて地面へと舞い降りていった。
「……」
「……」
「じゃ、私達は用事があるので」
「待って! ソレはさすがに待ってくれ。せめて拾ってくれよっ!?」
ちょっと半泣きで可哀想だったので自業自得だとは思ったけど仕方なく手伝って上げた。
メテオラとアルケーだけはそのまま突っ立ってたけどね。キーリまで拾ってたのに。
おっと、なんか結構面倒そうな依頼も出てるわね。
「お、それに気付いたか。なんかドラゴンの目撃例があったらしくてなAランク冒険者に討伐依頼出そうかと……」
「却下。レベル差があり過ぎるから彼らじゃ敵わないし、むしろ私が頼んだのよ、この領地守っててって」
「……は?」
「ロゼッタさんっ! ああ、よかった。Sランク討伐依頼が沢山の領地から……ってどうしたのジーニアス?」
「ああ、ペレーラ、なんか未曾有の事態、じゃないっぽいぞあの件」
「……え?」
あ、あらぁ? なんか嫌な予感。
……
…………
………………
「えー、という訳で、各領地の警護を竜の谷に住まうドラゴンさんたちにお願いしました。平均レベルは800くらいの比較的若いドラゴンさんたちです」
ペレーラさんに連れられてギルド長室に辿りつくと、ライゼリュートさんは私を見るなり自分のデスクに歩いて行き、変な瓶詰めのお薬っぽいのを取り出した。
あれって教頭先生が使ってた胃薬と同じ奴じゃないかな?
どばっと一気飲みした彼は、ぐふっと汚いげっぷをしてふらつきながらソファに座る。
そして、私にドラゴンについての情報提供をお願いして来た。
真剣な眼つきなのにさっきの行動がちらついてちょっとこっちも真剣になれないんだよ?
「つまり、今冒険者ギルドに討伐依頼を出してきている領地は侵略を企てようとしている領地ばかりか」
「守られる方には事前に連絡は入れてるから討伐依頼なんて出さないはずよ。そもそも、アレを討伐出来る冒険者は今ライオネル王国には居ないと思うんだよ?」
「ま、そうだろうな。お前さんがドラゴン倒したのは知ってるし、その後無数のドラゴンが押し寄せドラゴンスレイヤーとして認められたと聞いていたから何かしら関係はあるだろうとは思っていたが、真犯人だったか」
「ちょっと!? 人聞きが悪いんだよ。私はむしろ王都動乱の危険を排除してるだけなんだよ?」
「しかし、ずっと居座らせる訳にはいかないのだろう?」
「今日、陛下や宰相閣下と話して来たから早急に対応策ができるんだよ。貴族家の反乱を鎮圧できる状況になればすぐにドラゴンさんも去るんだよ」
ちなみに、ドラゴン達には生活魔法を教えることになっている。
なんでもドラゴン達には人間の営みみたいな火起こしとか湯浴みとかないらしく、でもライオネル王国で私の記憶を見たらしいヴァイスヴァイテからドラゴン族全体に人間の営み模倣が最近流行りだしてブームに成りつつあるそうだ。そのうちグラサン掛けてアロハシャツ来てはしゃぐドラゴンとかが出てきそうだ。
そのため、生活魔法を使ってみたいドラゴンが増えたらしい。教えに行かなきゃいけないんだよ。
「……ふぅ、ペレーラ、至急依頼書を取り下げてくれ。ドラゴン討伐の依頼に関しては受付拒否でいい」
「かしこまりました」
「ロゼッタ嬢、できれば、魔物を使った行動をする時は事前連絡をしてくれ。こちらとしても対応が取れないでは困る」
「え? え、ええ。以後気を付けますわ」
おかしいな。今までのギルド長なら既に正気消失しててもおかしくないんだよ?
「さて、そうなるとギルドの取り得る行動は実際に依頼して来た人物が何者か、そして何処が何のために依頼を出したかを探る必要があるか」
なんか、凄くギルド長してるんだよ!? こいつ、本物か!?




