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66話・ロゼッタ、初めてのテイムは事案だったんだよ

「い、嫌やっ、死にたくっ」


 なんか勝手に自滅しちゃった邪神ちゃん。これ、ホントに邪神ちゃん?

 ただのお馬鹿な魔族っ娘にしか見えないんだよ。

 しわしわし始めたし、急激にお年を召されたのかね?


 さすが人間一人の生命力吸収10倍返し。封印されて弱ってた魔神ちゃんも生命力が尽きるようだ。

 必死に懇願して来る邪神ちゃんだが、封印されたままなので満足に動けない。

 これは、ちょっと可哀想な気もしてきたな。


「た、頼む、後生や。ああ、そや。契約、契約しよう! ウチと契約すればウチの力が使えるようになるんや! な、お得やで! 邪神の力使えんのよ?」


「うんうん。そだねー。んじゃー、介錯いる?」


 すらり、引き抜く虎鉄丸。

 どんなに可哀想でも邪神なんだよ。

 つまり、隙を見せれば絶対裏切るんだよ。

 だったらここで後顧の憂いは断っておくんだよ。


「ま、待って! 何故武器を取る? う、ウチは動けへんのよ? なぁ、可哀想やろ?」


「どんどんしおしおになっていくので放っておいても干からびて死んじゃう気もするけど、それはさすがに可哀想だから介錯してあげようと思って」


「死にたくないいうてるやんっ!? 待って、わ、分かった。盟友になろ、ウチあんたは絶対に殺そうとはせぇへんよ。他にも知り合いがいるならそいつ見逃す。殺したい奴も殺したる。やから……」


 私は無言で刀を上段に構える。

 精神統一。

 確実に、一刀の元に命を奪う。その覚悟を……


「嫌や嫌や嫌やぁっ! わかった、もうウチが下や! それでええ! 殺さんとってぇっ!!」


 ―― 邪神キーリクライク・プライダルが仲間になりたそうにしている。テイムしますか? ――


 うわっ、斬ろうとしたらなんか変な文字が視界に出た!?

 邪神ってテイムできちゃうの?

 テイムって契約やら盟友やらと何が違うの?

 しかも邪神ちゃんが涙目で私に訴えながら両手合わせて神様に祈りだしたんだよ。


 おかしいな? 邪神ってぐらい凶悪な生物の筈なのに、人間の私相手に神頼みし始めたんだよ?

 まるでこっちの方が悪いみたいじゃない?

 絵面は命乞いするいたいけな女の子を無慈悲に斬り殺そうとしている悪役令嬢にしか見えないんだよ。うぅ、良心の呵責が……


「ああもう、わかったんだよ。テイムしますっ! これでいい? 信用するのは一回だけだからね!」


 信用というか、一度だけ信じてみる。

 一応ボーエン先生からテイム魔法は教わってるからテイム自体は可能なんだよ。魔法を唱えてぇはい、テイム。

 ダメだったら改めて介錯するしかないんだよ。

 隙が見せられないな。

 あと魔族なボーエン先生にテイムについて聞いておかないとなんだよ。これって本当に信用できるの? テイムしたからって好き勝手暴走しちゃわない?


 でも、おかしいなぁ、ライオネル王国の姫巫女に邪神なんて存在出て来なかったんだけど。

 ここ、明らかにラスダン。ラストダンジョンの略ね? のさらに後にある隠しダンジョン的な存在だよね?

 まともにやったら400レベルな私でも即死案件な気がするんだよ。


 あ、魔法使ってテイム宣言したら邪神ちゃんを封印していた何かが光り輝いて溶け消えた。

 えーっと、ほい。ポーションで回復できるかな?

 どさり、封印物が無くなって力無く倒れた邪神ちゃんにポーションを振りかける。

 おお、みるみるつややかな肌に戻っていく。

 さすがハイポーション。一つだけもしもの時用に買っといたんだよ。


 ギルドの売店で簡単なモノは買いそろえられるようになっていたのでポーション三つとハイポーション一つを買っておいたのさ。

 備えあれば憂いなしってね。まさかこんなとこで役立つとは思わなかったけど。


「あ……助かった? ああ、自由、ウチは自由や!」


 起き上がった邪神ちゃんはなんかさっきまでが嘘みたいに両手を上げて空中見上げて雄叫び上げ始めた。


「くふふ。自由を得た以上あんたに用は無い。死ねぇ」


 あー、アウトなんだよ。


「なぁんて、嘘や」


 攻撃する、と見せかけてなぜか私に抱きついて来た邪神ちゃん。

 攻撃じゃないから物理防御も跳ね返さなかったようだ。

 物理結界に任せて倒れたところを介錯、と思っていただけにこれは予想外なんだよ?


「えーっと、なんでさ?」


「ウチをテイムしたん、あんさんやん」


 ちょ、頬ずりしないで!? あんたはご主人様にじゃれつく犬かっ!?


「ウチ、邪神なってから誰かに忠誠誓うことになるなんて思ってもみんかったわぁ。ちゃぁんと、責任とってなぁ」


 なんでこうなった?

 え? いいの? この娘邪神だよね?

 テイムって本気で従えちゃう感じなの?


 今の口調で洞窟最下層で強力な存在味方に引き入れるとかどっかの小説であった気がするんだよ。

 従えちゃっていいのかな?

 いいよね? あっちは邪神じゃないもんね?


「あ、そっちに転移魔法陣あるから外戻れるえ」


「その喋り方どうにかならない?」


「これプライダル領特有の方言や。どうにもならへんよ」


 いいのかなぁ、ある意味邪神ちゃんが封印解かれて外に出ちゃってるんだけど。

 ……よし、ボーエン先生に丸投げしちゃおう。


「とりあえず、むやみやたらに力を使わない。それと、私の言うことちゃんと聞く。あと人は殺さない。ただし悪人は除く、おっけー?」


 とりあえずはこんなとこかなぁ。守ってほしい事柄は。

 了解了解っと、さっきまでと打って変わって楽しそうな邪神ちゃんが腕に絡みついてくる。

 そんな邪神ちゃんを引き連れながら、転移魔法陣とやらで地上に戻る私だった。

 あ、この魔法陣解析して転移使えるかもだからとりあえず模写してから帰ろうっと。

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