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65話・ロゼッタ、わ、私は何もしてないんだよ?

「「「ギャイーン」」」


 三つの首が揃って悲鳴を上げながら炎塗れでのたうち回るケルベロス。

 うん。私は悪くないんだよ?

 扉開けたら2秒でファイヤーブレスして来たケルベロスが悪いんだよ?

 だから私は介錯するだけなんだよ?


「うん、なんか、思ってたダンジョン攻略と違う」


 ボス部屋に入ってトドメを刺す。

 ケルベロスは死闘な闘いなんて経験すらさせてくれず、なんか吐息吐いて悶え泣いて死んでいった。

 そして、ボスが倒れたのでさらなる深い場所への道が開かれる。


 まぁ、今の所安全安心の結界みたいだし、折角なんで下層も探索してみるんだよ。

 広さはあんましないみたいだからもう一つくらい下層に降りてから戻って来るかな。

 ボス部屋の奥には階段が一つ。

 降りて行くとさらなる暗いダンジョンなんだよ。


 せっかくだから最下層まで行きたいんだけど、さすがに時間がそこまでないんだよ。

 どうしよう。

 近づいて来たパイソンとかガゼルとか二足歩行のクロコダイルとかが反射結界で自滅して行くのを見続けるだけだからさすがに飽きて来たんだよ。


 そーおだ。どうせ最下層ってこの下にあるんだよね。

 魔法でシューターを作っちゃおう。

 そう、最下層まで直通の縦穴作っちゃうんだよ。

 そこに浮遊魔法でゆっくり落下しちゃえば時間短縮ばっちこいなんだよ。


 と、いうわけで、地面に向かってレーザー系魔法で地面に穴をあける。

 サーチで事前に把握したので階層分ぶっこ抜いたら消えるように指定してぶっぱ。

 きこー○ーっ! なんだよ。三つ目の坊主さんが会場丸ごとぶっぱしちゃうんだぜぃ。


 んでは、とりゃー。

 自分から穴に飛び込むのはちょっと躊躇したけど、浮いてから落下を行えばなんとか入れたんだよ。

 おそらく100階層くらいあったんだろう。

 99階層分を省略しちゃったんだよ。


 そして目の前に現れる一際危険しか見当たらない扉が一つ。

 そーっと開いてみれば、おお、ボスが居ない。

 居ないというか、なんか封印されてるっぽい。


「あらぁ、こぉんな場所に来客とは珍しなぁ」


 なんだ? 可愛らしい声が聞こえたぞ?

 咄嗟に刀に手を掛け周囲を見回す。


「ふふ、そない怖い顔せんとってもええて。ウチ動けへんさかい」


 京都弁? いや、私の知ってる京都弁じゃない。

 これは。エセ京都弁っ!!

 私はエセ京都弁の相手を探してゆっくりと中に入る。

 お、いた。


 壁一面に巨大なSAN値直葬モノのタコ足というか触手のレリーフが描かれて、というか、なぁんかこれ、邪神ちゃんが蘇った瞬間使用して来る触手攻撃に変化しそうな気がする。

 んで、半裸で触手さんが身体を隠している囚われの女の子、みたいな状態で邪神ちゃんが待っていた。


「ん? まさか一人でこのダンジョンをクリアしたん!?」


 驚くように眼を見開いた邪神ちゃん。

 おお、人外娘だ。

 全身黒色で眼が赤い女の子。髪もロングヘアの黒髪に左右からちょこんと突き出た角一対。


「ブラックだ。全体的に黒だよ。犯人なんだよ!」


「驚きやぁ、そんな強いんなぁ、お嬢さん」


「年齢的には分からないけど見た目的にはほぼ変わらないんだよ。私も貴女もどーがんずんどー。あれ? おかしいな。眼から涙が零れるんだよ?」


「よくわからんけど、お嬢ちゃん、ウチにちょいと触れてくれんか? ちょっとでええんよ?」


「触れればいいの?」


 うん、多分触れたら魔神ちゃん復活なんだよ。

 だから遠慮なく、触れないんだよ。


「あれ? どうしたん? ちょっと触れるだけなんえ?」


「触れたら邪神ちゃんが復活しちゃう気がするんだよ。邪神ちゃんは邪神っていうから悪いんだよ。危ないな」


「チィッ……そんなことあらへんてー。ほら、ちょっと触れるだけでええんよ? あ。ほら、ウチほっぺやーかいんやで? 触ってみーへん?」


 んー、あ、そうだ。

 えーっとボーエン先生が座学で教えてくれてた魔法の詠唱はー。


祖は愈帝に属すクライェーロ最上位なる精霊ルルカリーラル我願うは吸収ミガ・ホック我が敵を食すビリアレン命を望むピラルルゲリンデッ、アブソプリキュアっと」


 彼女に聞こえないよう小声で告げる。

 応用魔法の一つで相手の魔力を吸い取る魔法らしいんだよ。

 もしも気のせいなら後で謝って補充してあげればいいんだよ。


「んじゃ、これでいーい?」


 ぽんっと魔神ちゃんに触れてみる。

 刹那、自分の身体から何かがすぅっと……


 キキキキキキキキキキンッ


「あははははっ、騙されたなぁ人間ッあんたの生気全部吸い取ってウチは華麗に復活し、ぎゃぁ―――――――――――――っ!?」


 ん? なんか保険が効いたってより何の変化も無いんだよ?

 あ、むしろなんか暖かいのが流れ込んで来たんだよ? 大量に?

 私の吸い取り魔法は仕事しなかった。

 代わりに魔法結界が全反射しちゃったんだよ。


 私の生気? を根こそぎ吸い取ろうとした邪神ちゃん。

 魔法結界が全反射して吸収魔法が10倍で跳ね返ったんだよ。

 魔神の生気とやらが私に流れ込んできたんだよ。


「な、何が……? ま、まず……死……た、頼む、ウチを助けてっ」


 なんか干からび始めた魔神ちゃんが懇願して来たんだよ? どうしよう?

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