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62話・ロゼッタ、リオネルの様子がおかしいよ? でもデレちゃう

「設定資料っていうのはゲームを作るにあたって作られた資料ですわ。当然、その中にはゲーム本編に使われてなくとも存在した設定というのがありますの。たとえばボーエン先生。実際には兄弟が130人くらいいた筈ですわ」


「……ほぼ的確だな。確かに、俺の兄弟には132人いる」


 確かどっかの雑誌に載ってたのよ開発者インタビューで資料の話。

 少しだけ放出、みたいにいくつかの設定が記されてたんだよ。

 残念ながら重要情報って程じゃなかったので流し読みだったんだよ。


 御蔭で今告げたこと以外は全部忘れてるんだよ。

 どうしよう、今更ながら流し読みした寛子さんに恨みを送っちゃうんだよ。

 なんで必死に読まなかったんだ馬鹿ー。あんたなんて前世知識が無ければただのババァじゃないっ。

 あ、自分にブーメランだっ!?


「あの、お嬢様」


 あれ? リオネッタ。出禁じゃなかったの?


「リオネル様がいらっしゃいましたが、いかがしますか?」


「あ、リオネル様なら遠慮はいらないわ。こちらに通して頂戴」


「かしこまりました」


 リオネッタが去っていく。

 ふぅっと息を吐いたボーエン先生が羊皮紙等を片付け始める。


「どったの?」


「さすがに王子さんにこれを見られる訳にはいかないだろ?」


 あー、まぁ、確かに自分が死んじゃうかもしれないとか、知りたくないもんね?

 別にリオネルなら私の秘密教えちゃっても問題ない気はするんだよ。

 どうせその内結婚予定なのなら知っておいて貰った方がいいんだよ?


 でも、まぁ、別に急ぐ必要もないし、リオネル様が私に違和感感じたりした時に告げてみちゃおうかな。

 それまでは今まで通りで問題ないんだよ、きっと。

 あ、リオネル様来た。


「ごきげんよう」


「あ、ああ。ロゼッタ、遊びに来たんだけど、余裕はあるかい?」


「今日もボーエン先生と魔法の授業ですわ。今日はついに中級魔法に行きますのよ!」


「え? もう中級? 早くない?」


 普通の子供だと、初期魔法を知った後は何度もボールやランス作って試し打ちして経験を積むのが常道なのだけど、私は別に詠唱付きの魔法覚える必要無いんだよ。

 想像すればもっと凄いの創造できちゃうんだよ。


「そうなんだ。凄いなぁロゼッタは」


 別にそんなにすごくないよ? 前世知識だよりだもの、これが無ければ私なんてただの悪役令嬢んだよ。


「ところでロゼッタ。あの……僕との婚約、不満だったりしない?」


「え? なんでまた?」


 唐突だねリオネル様。でも私は満足なのですよ。むしろショタっ子と結婚の可能性が高いとかお得過ぎて顔が不審者になりかねないんだよ。でゅふふって女の子がしちゃいけない顔になっちゃうからだめぇ。


「いや、不満があるなら、解消はいつでも視野に入れておくから、その……」


「もしかして、リオネル様は私との婚約、お嫌、なのですか……?」


 そ、そうよね、私なんて精神年齢40以上のおばさまだし、ショタっ子とは合わないわよね?

 気落ちした私を見てリオネル様は慌てた様子で私をフォローし始めた。


「いや、違うよ、嫌じゃないよ。ロゼッタが嫌だったらってことだけで別に僕はロゼッタと婚約したの嫌じゃないんだよ、むしろ好きだからっ」


 好きだから、好きだから好きだからぁ……っ。

 ヤバい、今の言葉はクリティカルヒットですわー。ご飯三杯行ける最高の御言葉頂きました。

 リオネル様ったらぁ。そんなに私の事。そ・う・し・そ・う・あ・い、ですわね。

 思わず眼を瞑り片手を頬に当てていやんいやんしながら空いてる手の指先でリオネルの身体に何度も丸を書く。


「ちょ、ちょっとロゼッタ? どうしたの?」


「恥ずかしいですわリオネル様。そんな。面と向かって好きだなんてっ。いやん、先生が見てるのにぃ」


「へ? あ、いや、その、ち、ちが、違わないけど違うっ!」


 わたわたしだしたリオネル様に、思わず噴き出す。

 同時にボーエン先生も噴き出し大声挙げて笑いだしてしまった。


「む。し、失礼じゃないか君」


「くく、ああ、いえ、すみませ、ぶふっちょ、ちょっと待ってくださ、くふふ……」


 あー、ダメだ。ツボ入っちゃったからこれはもうしばらく無理なんだよ。


「それにしても今日はどうしたのですリオネル様。私が嫌なら婚約破棄しても構わない、なんて。まるで私が不満を持っているのを知ったような態度ですわ。ですが、それはきっと誤報ですわね。私、リオネル様に不満なんてありませんわよ。だってぇ、そ・う・し・そ・う・あ・い。ですものぉ。きゃっ、言っちゃったぁ」


「わわわ、ちょ、ロゼッタ。恥ずかしいから。なんかそれ人前で言うべきことじゃないからっ」


 それからしばらく、リオネル様は慌てふためき、ボーエン先生は腹抱えて笑い悶え、私は恥ずかしがりながらもショタっ子に愛される喜びに打ち震え。セバスは皆を優しく影から見守り続けるカオスな時間が続いた。

 結局、リオネル様の様子が変だった理由は教えてくれなかったんだよ。というか、私がふざけ過ぎたせいでリオネル様が理由を告げ忘れて帰っちゃったんだよ。失敗。どうも歯止め役のリオネッタが居ないとやり過ぎちゃうなぁ。

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