61話・ロゼッタ、おかしいな。これじゃ魔法の勉強じゃないんだよ?
「……と、言う訳で、そのうちお友達なる者が家にやって来るそうなのです」
セバス監視の元、本日もボーエン先生と会話する。
最近は最初にちょろっと新しい呪文詠唱を勉強。
その後は一時間ほどボーエン先生と私のゲーム知識についてのご相談だ。
今日はテイミングの魔法を習ったんだよ。これで魔物を自由にテイムするのさぁ♪ え? 後悔するから使わないように? なんでさぁ!?
セバス見てるからボーエン先生の誓い云々はどうなるのかと心配してあげたんだけど、本人が私は前世知識待ってやがるんだぜヒャッハー。とか暴露しなければ問題無いらしい。
実は結構緩いんじゃないかな魔神契約。
だってセバス絶対私達の会話から私の秘密に辿りつきそうだもん。
まぁ、バレても問題はないんだよ。私は寛子さんだけどそれは前世で今はロゼッタであることに違いなど一ミリたりともないんだから。
秘密は秘密だけどもバレたってなんら不安はないんだよ。
お父様とお母様ならきっと笑って……受け入れてくれるよね?
あ、なんかちょっと不安になってきたな。
「ふーむ。未だに信じられん、これが8年後になぁ」
「ボーエン先生はヒロインちゃんが誰選ぶと思います?」
「俺は止めてほしいな。魔族領に帰って結婚報告とか反吐がでる。なぜあの親父に頭を下げねばならんのか?」
そう、ボーエン先生を選んだ場合、魔王陛下に許可貰わないとダメなんだよ。
その無理難題が酷いの。しかも喧嘩別れで人間領に来てるボーエン先生が恥を忍んで頭下げに行くんだよ。
別に婿養子な訳じゃないんだけど、魔族の王族であるボーエン先生が人間の平民のしかも光魔法使える巫女様と結婚だからややこしくなってたんだよ。
受け入れてもらうためにいろいろ苦心して……
あれ? そう言えばこのルートって他国からの侵略発生しなかったよねライオネル王国。
あ、そっか、発生前に魔族領に行っちゃったんだ。
あれ? それって王国見殺し?
ボーエン先生エンドだとライオネル王国無くなっちゃうんだよ!?
「え? 俺とそのヒロインが結婚したらこの国滅ぶの? さすがに嘘だろ?」
そのエンドの場合はぜひとも向こうに行くのを遅らせて他国からの侵略イベントでヒロインちゃんと無双ゲーして勝っちゃってください。
「いや、君が居れば充分だと思うよ、うん。なんだよレベル400って。もはや人間じゃねーよ」
酷いなっ!?
切っ掛け作ったのボーエン先生じゃん。あそこ狙えっていったの覚えてんだからね。
激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームなんだよ!
いいもん、ライオネル王国攻めて来る奴らが来たらレインボースクリューなんとかボールを打ち込んでやるんだよっ。
「それをやったら確実に魔王呼ばわりでしょうね」
残念でしたー。戦争モードでは何人殺しても殺人者にはならんのですよ。
むしろ沢山倒せば英雄さっ! どやぁ?
「なぜそこで自分を親指で差しながらポーズを取るんですか?」
これが噂のどや顔なんだよ。
「ふむ。ところで、君の婚約者はなぜ第一王子になってるんだい?」
あ、そこ気付いちゃったか。
「それ、私も疑問なんですよね。一応、ゲームの中では、最後に出て来るエリオット殿下の過去シーンで婚約者のマルチーナさんが第二王子と悪役令嬢の共謀により暗殺されて、悪役令嬢が婚約者になったってことまではわかってるんです。でも第三王子、出て来ないんですよね」
「なるほど」
「可能性としては、その過去シーンまでの間。に第三王子が暗殺されている可能性です」
「ああ。なるほど。既に死んだ人間なら出て来ないね」
「そうなるとリオネル様は数年以内に暗殺される可能性がでてくるんですよね」
「それは確かにありそうだが、悪役令嬢も王族の食事に居たんだよな? 基本そこは王族以外は婚約者しか居ないはずだ。リオネル王子がそれまでに暗殺されていた場合は、君がその場にいるはずがないと思うんだが」
「あーなるほど。では、単に話に関係が無かったから話が出なかっただけ?」
「ふむ。それはそうだが、続編にでてくる可能性は無いか?」
「続編?」
ああ、そっか。私が知らないだけで私が死んだ後とかに続編が発売されてる可能性もあるのか?
でも、あそこの会社って作ったの三作か四作でジャンル全然違ったよね?
女性用恋愛ゲームと錬金術のパクッたみたいな奴。あとは確かシミュレーションの国盗り系だっけ? 確か魔王倒すRPGもどきもあったなぁ。恋愛要素付けたせいでレベル上げメンドイ、なぜRPGにしたし、と大炎上したのを覚えてる。RPG好きと恋愛シミュレーション好きを取り込む作戦だったみたいだけどただただ長くてレベル上げしないと進まない面倒臭いゲームが出来あがっちゃったんだよ。
あれのせいで負債が凄すぎて潰れたんじゃなかったっけ?
リオネルのゲームデータなんかあっても世に出ないんじゃ……待て。ゲームデータ?
「そうか、設定資料集なんだよ!」
「ん?」
「リオネル様は設定資料集に出てたかもしれないんだよ。あそこならプレイヤーが知らなくても出て来て不思議じゃないんだよ」
「うん、俺にも分かるように言ってくれないかな?」
突然叫びだした私に困った顔をするボーエン先生。
なんでそんな残念な娘を見るような目をするのかな?