54話・ロゼッタ、薬草採取の邪魔なんだよ
「すげぇ、姉ちゃん、それ快癒草!?」
「依頼の品だからね。あ、こっちにも。これもかな? お、これもだ」
一個でいいんだけど取れるなら取っちゃった方が良いんだよ。どうせ一日経ったらまた生えて来るみたいだし。
「すげぇ、よくわかるなぁー。毒草とか一杯似たようなのあるのに」
何か知らないけど採取してたら人気者になりました。ロゼッタです。
子供たちは自分たちの技術以上の技術を見せられた顔でキラキラした瞳を向けて来る。
「すごーい、姉ちゃんすごーい」
鑑定魔法便利すぎ。
今はあんまし種類知らないから目的物だけがどんどん見付かる。
「すげー、即死草が隣にあるのに的確に快癒草だけ摘み取った!」
即死草!? なにその物騒な草は!?
「え? これだよこの葉っぱ。食べると一口でコロリと死ぬ草」
うぎゃー、認識したせいで視界一杯に即死草の文字が!?
どんだけ一杯生えてんのよ即死草!? 快癒草なんて極一部じゃない!?
「快癒草と間違えて即死草摘んで来る人多いんだよ。鑑定魔法をギルドで掛けると摘んだ殆どが即死草だった、なんてこともあるし」
「姉ちゃんすげーっ」
無知って怖い。
私は何つー場所で快癒草摘んでたんだ。
ここら一面即死畑だよ!?
暗殺する時はここで草摘んで来るのが良さそうだね。今の所予定は無いけど。
「パラライマッシュはないのね?」
「アレは森の中入らないとダメだぜ? 木の根っこに生えてんだ」
鼻がしらを人差し指の腹で擦りながら、少年が言う。
鼻水でてるよお兄さん。あ。ズボンで拭きやがった。きったなーい。
でも、森の中かー。
「そこの森、入ってすぐ辺りにあるよ? でもまも……」
こっち? がさがさっと叢揺らして森に入る。
微生物が付く気がするけど魔法で身体にひっつくことは無いので気にしない。
明日からも外出る時は絶対に魔法掛け忘れしないようにしなきゃ。
お、あったあった。
「グキャァっ」
なんか緑色の変なのが森の奥から私を見付けて飛びかかって来たので私の虎鉄丸が火を噴いた。
居合抜きなんだよ! 咄嗟に身体が動いた。
ずっぱりぶった切ってしまったんだけどこれは一体なんなの……うひぃ!?
「姉ちゃん、森の中は魔物が出るから……すげぇ!? ゴブリンじゃんこれ」
人型の子供くらいな緑のおっちゃんぶった斬ってしまったんだよ!? ど、どどど、どうしよう、ま、まさか人殺しちゃった? マズいんだよ。どうしよう、私、ついに人殺しをしてしまったの!?
あわわあわわわわわ、少年君どうしようっ、って何を!?
憔悴する私を放置して少年はゴブリンさんとやらに近づくと、腰に付けてた護身用のナイフを取り出し胸に突き刺す。
ぎゃーっ、トドメ!? トドメなの!?
しかも引き裂いてなんか手突っ込んでごそごそしてるんだよ。モザイク案件スプラッターっ!?
「おー、すげぇー。見て見て姉ちゃん。これが魔石だぜ!」
血塗れの手で小粒な石を取り出す少年。
どゆこと?
「ん? どったの姉ちゃん? 魔物の心臓には魔石があるんだぜ? もしかして知らない?」
「え? ええ、というか、魔物? 人じゃなく?」
「ゴブリンは魔物だぜ姉ちゃん? もしかしてゴブリンも見たことねぇの?」
ゴブリン……あ、ああ。ゴブリン。ゲームでよく最初の雑魚キャラとして出て来る魔物……そうだ。最初に魔法使った時も死んだのはゴブリンさんだったよ!?
人間のゴブリンさんという名前の人じゃなかったんだよ。
はーっ、驚いた。心臓無駄にバクバクしちゃったじゃん。
うあー、でも魔物切ったんだ私。手は……震えてない? 意外と大丈夫かも?
良心の呵責とかあるかと思ったけど魔物切ってもそこまで拒絶感は無いなぁ。
命のやりとりしたはずなのに、私、まさか人を殺しても気にもならないサイコパスだった……とか?
「どったの姉ちゃん?」
「な、なんでもないわ」
そうね、今はその辺りは考える時間じゃないわね。夜に落ち付いて考えましょう。
今は、無心でパラライマッシュを採取するのよロゼッタ。
「あ、あのさ姉ちゃん。これ、俺が抜き取った訳だし、その、分け前とか……」
ん? ゴブリンの魔石?
んー。そうだなぁ。まぁ、いっか。アレの心臓に手を突っ込んで採取とか私自身は無理だし。
抜き取り駄賃としていくらかあげるとしよう。
「よ、よし、今のうちにパラライマッシュ採取しよ」
「グキャァッ!」
「うわァっ!? まだいたぁ!!」
「邪魔ァッ!」
折角パラライマッシュ取ろうとした瞬間に茂みから飛び出し掛かってきたゴブリンを居合抜きでぶった切る。
「す、すげぇ……」
「悪いんだけど魔石の採取、お願いできる?」
「え? いいの!」
うーっわ、なんかすっごい笑顔で採取し始めた。
死体漁りとか狂気を感じるんだよ。
さすがに私はそこまでしたくはないんだよ。
魔物狩りするときはサポーター雇うことにしよう。




