494話・ロゼッタ、ちょっとやりすぎたかしら?
うん、ちょっと……やり過ぎたかしら?
影兵さん達の話を聞いた私はむむぅっと唸らざるをえなかった。
なんでもパルシェッラにコウチャノサイテン王国から使者が来たっぽい。
今の攻撃はライオネル軍からなのか真相を確かめろ、って。
うーむ、これはどっかの国が戦争仕掛けてきかねないかも?
さすがに四方向同時爆散はやりすぎだったか。
確かにライオネル王国疑ってくださいねって言ってるようなもんだもんね。
砦破壊しといたらその建設でしばらく動けなくなる、と安易に考え過ぎたなぁ。
これはちょっと視野狭窄、反省反省。
ということで、どっかが戦争仕掛けても兵士だけで対処出来るように、今いる面子もレベリングしとかないとだよね。
日帰りで四方向敵国砦爆破計画を成功させてきた私は、翌日の報告で訓練方針を一気に変えることにした。
本来だったら山籠りさせてレベリングだったんだけど、今は雪が積もってる山に置き去りはさすがにマズい。なので山籠りはやめてレベリングから始めるべきだろう。
「と、言う訳で、本日はレベリングの時間なんだよ」
「はい?」
「ああ、もうそんな時期ですか? 私達より早いですね?」
「それについては申し訳ないんだよ。ちょっと四方の敵砦同時爆破したら予想以上に他国が反応しちゃって。皆国際会議行ってると思いきや、今頃に行く用意整えてたらしくて全部の国に王様が存在してたんだよ、てへぺろ?」
「何しちゃってんですかお嬢!?」
「日帰りで他国の砦爆散させて来るようなもんじゃないですよね!?」
王様が居ない間なら戻ってくるまで戦争は無いだろうけど、今だと私達が王国空けた隙狙って軍を差し向けてくる国が無いとも言えないし、今すぐ向って来る奴がいるかもしれない。
一応影さんたちに変な動きがあればすぐに教えてもらうよう伝えてるけど、ちょっとやらかした気がするんだよ? おかしいな?
「つまり、近いうちに戦争が起こる可能性があるわけですね」
「さすがフェイル、どうしよう?」
「なんっつーかよぉ。立派な戦犯な気がするんだが」
「か、勝てばよかろう、なんだよ」
「そりゃまぁ、最悪お嬢が出張れば負けはないでしょうけども……」
「ま、まぁそういう訳で、戦争が起こっても対処出来て全員無事に帰って来れるように、早めにパワーレベリングしちゃうんだよ? キーリはもしもの場合に備えて留守番ね?」
「やと思ったわー。適当にやらせて貰うえー」
「頭の良い王様が居れば深く考察してこれはワザとライオネル王国に戦争を仕掛けさせようとしている誰かの罠だ、と勘違いしてくれる人もいるかもだけど、ゴルディアスみたいな思考回路してる国だと襲いかかってきそうだからね」
「ちょぉい! お嬢、さすがの俺もそんな直ぐに突撃はしねぇぞ?」
「朝起きて、さぁ仕事しようか、愛用の防具に落書きされてました。ミリスタシオン参上とかかれてました、さぁどうする?」
「よし、ミリスタシオン、一発殴らせろ」
「なんでだよ!?」
「と、まぁこんな感じで素直に受け取って軍を差し向けちゃう国もあるわけよ」
「つまり、それまでにここに居る兵士達を使える兵にするわけですね」
「使える、というよりは万一があっても死なずに生還できる、というべきね。使える兵士としてなら今でも十分過ぎだと思うわ」
既に皆基礎的な行動力と判断力を身につけてるし、魔法も上手くなってる。
あとは爆発的なレベル上げの後に手加減スキルを覚えればいいだけ。
ブラックリスト組が、特にカールたちお酒でやらかす組がちょっと不安だけど、前回で懲りたと思いたいわ。なので、敢行しましょう!
「あ、剣聖さん。パワレベ行きますけど一緒します?」
「絶対嫌だ。さっさと行って来い。私は人のまま死にたいのでな」
「ちょ、お父様っ」
「ふふ、折角ですから私はご一緒致しますね。お兄様、守ってくださいね」
「ミルク、正気か!?」
えーっと後は、あっそっか。近衛兵二人が残る事になっちゃうね。臨時でフェイルたちとキーリに交替しといて貰おう。一時間くらいだろうし問題にならないでしょ。
「じゃあフェイルたち四人とキーリで陛下の近衛兵をやっておいて。一時間程で戻るわ。向こうの近衛兵も連れて行きます」
「あれ? 主はん、近衛兵の皆さんはレベリング無しでよかったんじゃなかったっけ?」
あれ? そうだっけ?
まぁ、強い事に越したことは無いでしょ。問題無し無し。
「大丈夫でしょ。強くするだけなんだから」
「ええんかなぁ。まぁえーか、フェイルたちぃ、ウチら呼ばれよかー」
「了解ですキーリ嬢」
「んじゃ、兵士とミルクさんは全員で移動ね。付いて来て」
んではでは、邪神洞窟200レベルパワーレベリングツアーと行きますか。
あーっと、そうだった。そこの影のおっちゃん、暇してる影の人でまだレベリングしてないのが居たら連れて来てー。うん、前回と一緒の奴なんだよ。