472話・ロゼッタ、不正、見付けちゃった♪
なんとか徹夜無しでこのまま無事に済みそうだ。
そしてこの分量ならちゃんと皆も休むことも可能だろう。
なぁんだ。宰相さんが全部まとめて管理しちゃってたから10徹とかしてたんであって皆にお任せするところを変えたら普通にできるんじゃん。むしろ宰相がやらなきゃいけないとこ殆どないし。
皆もこの状況に驚きを浮かべているらしい。
うん、まぁ、苦手克服は必要だけどずっと頑張らせてても速くできないなら苦手なのを振ってばかりじゃなく得意な方伸ばした方がいいんだよ。
多分私がやったことは宰相さんの真逆を行く方法なんだろう。
皆に自分の仕事を分散させてやらせてるから仕事が速い速い。
自分が余裕できるから周囲に的確な割り振りできるし、その御蔭で皆の進みも上がる上がる。
休みも行った御蔭で十分頭の回転も生まれていつもよりも数倍速く進んだようだ。
それでも山のように書類はあるし、次々にやって来るんだけども。
本日も一日書類仕事だ。
が、フラジャイルが持ち場を離れてこちらにやってくる。
アルケーニスに筒抜けになりそうだけど、彼にはしっかりと釘を刺しといたので多分大丈夫だろう。もしも今回の情報がアルケーニスに漏れてるようなら……チョンなんだよ。
「どしたの?」
「お嬢、これ、何度計算してもおかしいんです」
「どれどれ……」
それは国庫の資金使用と入金に関する報告書。いうなれば財務大臣管轄の書類内容だ。
「こっちと比べるとなぜか支出があわなくなりまして」
渡されたのは……王様の御后様たちがいらっしゃる後宮での売買記録。
なるほど、なるほ……ほっほぅ。凄い値段が飛び交ってるのに混じってわずかばかりずつ収入と支出がおかしくなってる。
わずかばかりのことなので端数を切り捨てたと言われれば納得もできるが、それでも数千万単位の金額だ、端数と呼ぶにはいささか多い。
「それで、端数切り捨てではあり得ない理由は?」
「買われた商品はすべてケロちゃん商店のものですのでアルケーニス経由で値段は把握済みです」
「なるほど。ではこちらの羊皮紙に合わない値段のモノを正確に記載して。それから書類を記載した人物を確認お願い」
「部下を使っても?」
「まかせるわ」
「お嬢、こっちもちょっと看過できないぞ」
「レコール君が看過できないのは頂けないわね」
次に齎されたのはメイドや執事の資金管理をしている部署ね。
どうやら辞めて行ったメイドや執事よりも入ってきたメイドや執事が多過ぎるらしい。
昨日帰る前にその辺りを自分たちで調べたそうで、現在城に在籍しているメンバー以上の人員が勤めていることになっているらしい。
これは看過できないけど、宰相さんが何もしてないってあるんだろうか?
とりあえず不正と思しきものは全て保留しておいて宰相さんの指示仰いだ方が良さそうだ。
というか、なんか、多くないかな不正?
宰相さん今までこれ放置してたのなんで?
いや、確かに巧妙に隠されてるような気がしなくもないけども、部署ごとにまとめた報告を処理してればこの位は分かる……
そうか、苦手な書類を皆がこなしてたせいだ。
別々の部署をやってたから見落とされてたのかも。
「あれ? この報告って前のと比べるとおかしいような?」
「あ、これ、不正じゃない?」
「うそ、あそこの部署でこんなことってあんのか!?」
士官たちが担当している書類からも次々と発覚して来てるようだ。
これ、なんかヤバいような?
あ、あれ? おかしいな。私自重してるつもりなのに、なんかどんどん城内の不正が発覚して行く気がするんだよ?
「マズいですな、なんか、凄く多いのですが……これ、私達がずっと見過ごしてきた不正、なのですか?」
「そ、そうなのかな? あ、あはは。ど、どんどん積み上がってる……」
これはヤバい、宰相さん、その、早く帰って来て、本気で、城傾くかも……
「ど、どうしましょう、これ?」
「と、とりあえず宰相さん待ちで、陛下に伝えるにもちょっと多過ぎるし……」
知ったらまた、倒れないよね?
それにしても、ちょっと多過ぎない?
不正というよりはもう日常茶飯事って感じだし。多分だけど最初は恐る恐るだったけど全然気付かれないから少しずつ増えて行って今では毎日毎回不正しちゃってるんだろう。
御蔭で財政破綻目前だ。
宰相さんがいろいろと抑えたりしてることでなんとか保たれてる現状だろう。
これは確かに早急に潰していった方が良さそうだ。
とりあえず概要自体は陛下にお話しして兵士達に捕縛させておいた方がいいかなぁ。
その日、仕事を終わらせ六時間程休憩時間を告げた後、陛下に面会をするようにエリオット王子に伝えておく。
陛下はなんか青い顔してたけど了承してくれたらしい。
うん、なんで青い顔になってるのか不明なんだよ?
さて、それじゃあ報告して、資料集めして、不正してる人物の特定入っちゃおうかな。宰相さんのゴーサインがあれば一斉検挙できるようにしとこう。
あ、でも一斉検挙しちゃうと人が少なくなるような?
んー。ま、いっか。その辺りは王様が何とかするでしょ、書類も少なくなるし、宰相さんも動けるだろうし。新人さん募集をするといいんだよ。
……あ、そうだ。いい事考えたー。