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471話・モートン、宰相の再来か!?

SIDE:モートン


 二時間の休息、正直今の状況で寝ろといわれてもなかなか眠ることはできなかった。

 脳内が徹夜モードに入っているので仕事している方が疲れも感じないのだ。

 おそらく宰相閣下もそのせいで体力を使い切り、強制睡眠に入ったのだろう。


 宰相閣下が強制睡眠に入ることは初めてだったので驚いたが、私達士官では割りとよく起こる現象なのでそこまで不安はなかった。数日寝込めば完全復活するので宰相も同じだろうと寝ている事を確認した後は幾分落ち付けたのだ。


 問題は、宰相閣下が抱え込んでいた仕事量だ。

 自分たちだけでやり切るには不可能な量、何時宰相閣下が起きるかも分からない現状ではどうしたらいいのか分からず戸惑ってしまった。

 その時間が余分だったと分かっていても、書類だけが増えて行く現状ではどうにもならなかったのだ。


 国が終わってしまうかもしれない。

 その重圧に皆が押しつぶされそうになった時だった。

 ロゼッタ嬢が助っ人としてやってきた。


 正直、宰相の代わりなど出来るとも思えなかったし、国政のこの字も知らない彼女ではむしろ仕事の邪魔になりかねない。

 そう思ったのだが、一瞬で彼女は空気を変えた。


 二時間休めと言われたのだ。その間は任せろと。

 あの、宰相閣下の机に溜まった書類を見て気押されることもなく、任せろと。

 そこまで強く言われた以上、私達はしっかりと休息を取ることにした。


 既に限界が近かったのも理由だし、もしかすれば彼女なら出来うるのかもしれないと思えたからでもある。それ程に、頼もしい視線で休めと言って来たのだ。

 そして二時間、なんとか眠って体力を回復させた。

 この感覚ならあと二徹くらいなら持ちそうだ。

 おそらくその間にまた休むことになるだろう。ぎりぎりの体力になるだろうが、宰相閣下が戻ってくるまでなら持たせられるだろうと思った。


 リフレッシュした私や他の士官たちが急いで執務室へと辿りつくと、そこは想定外の戦場となっていた。

 タコの触手に似た何かが宙空を舞っている。

 書類の束を拘束して各士官たちに届けているのだ。


 そしてロゼッタ嬢が呼んだ助っ人だろう、少年少女が必死に書類を見て作業をしている。

 しかも、その作業内容は的確。数字の計算ミスも一つもない。

 むしろ他の新人士官たちの方がミスを出しているくらいだ。


 頼れる助っ人も現れ、書類の仕分けも完璧。触手は気になるが、今は指摘する時間も惜しい。

 ロゼッタ嬢を見れば宰相もかくやと思える残像を残しながら書類を仕分けし、合間に自分がやるしかない書類を仕上げている。

 仕分け自体は触手を操る魔族の少女に任せているようだ。指示出しだけはしているが、基本彼女の動きを見てはいない。そんな余裕はないのだろう。


 全ては秒単位、いや、もっと短い時間で判断されこの二人で回しているため、士官たちが苦を感じたりはしていない。

 そればかりか私達がやって来たのと入れ替わりで中級士官たちが休息に入るらしい。

 それでも処理速度は我々が宰相と全力を尽くしているときより速い。

 この速度ならあと10徹は掛かると思われた書類整理も8徹、いや、もっと早く終わるかもしれない。


 いや、待て。この配られた書類、判断が付きやすいものばかりじゃないか? 皆に得意な書類を振り分けているのか!? 宰相閣下でも出来なかったぞそんな細かな仕分けは!?


「キーリ、こっち終わった!」


「キーリちゃん、次来てないよ」


「キーリ、早く早く」


「あぁん許してぇ、ウチの速度もう限界やのぉ、こいつら皆バケモノやぁ!?」


「ほらキーリ、ここ溜まってるよ、がんばって」


「主はぁん!? 既に限界ゆーてるやん!?」


「私と同じようにブースト掛けなさいブースト。魔法使えば十分対応できるでしょ」


「うぅ、ウチがブーストせな対応できんって、それどーなん? 兵士達の訓練よりキツくない?」


 速度が上がった? ブースト魔法。そんなものがあるのか?

 なるほど、魔法で実力を底上げするのか。宰相の動き並だと思ったロゼッタ嬢の動きはそのせいか。


「そこの士官、手が止まってるんだよ」


「っ!? 失礼、ロゼッタ嬢、先程魔法を使っていると聞いたが、それは我々も使えるのか?」


「覚えればね、まずはこの書類を全部終わらせましょう。その後で皆にもフィジカルアップとマインドアップ、あと並列処理スキルと同時進行スキルは覚えてもらうんだよ。ここでも大局観は必要そうだからそれもかな?」


 なるほど、我々にもアレを教えてもらえるのか。

 つまり、その魔法さえ手に入れれば私も宰相閣下と同じくらいの速度で仕事が出来るという訳か……

 ようやく、ようやく我が念願がかなうのか。

 宰相閣下の負担を減らし、あの人の役に立つという念願が!


「よし、やるぞ! 宰相閣下が来られる前に全て終わらせてくれるっ!!」


「その意気だ、宰相閣下に楽をさせるぞ!」


「恩義を返す好機だ! 気合入れろ皆ッ!!」


 皆の動きが速くなった気がする。

 休憩時間が利いている。頭が冴えわたるようだ。この状態なら、やれる、10徹の書類など半分以下で終わらせてくれるわっ!!

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― 新着の感想 ―
[一言] っぱこうゆう無双のが好きやな…そして宰相様みんなに慕われてて最高(*`ω´)b そして王様はずっとロゼッタ嬢に悩まされればいいんだよ'-')
[一言] ひぃいい・・・超ブラックな戦場(職場)なんだよ。
[一言] うわー外は寒いなぁー(白目
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