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466話・ロゼッタ、新年祭は既に終わった

 ついに新しい年がやってきた。

 といっても日本のように大晦日の御参りはないし、元旦の御参りもない。

 新年祭は各家で自分が信望する神々に祈りを捧げ祝福し、決まった食事を家族で食べる。

 ウチは七面鳥の丸焼きを主役になぜかイワシの頭を棒に突き刺して丸焼の中央に突き立て旗みたいにするという謎文化である。


 双子神に今年も良い一年でありますように、と祝辞を述べて食事。

 貴族の新年祭なんてこんなもんである。

 一方民間としては、盛大な御祭があるらしい。

 なんでも鷹の像を祭ってナス奉納して御参りするんだとか。


 しかも鷹の設置場所が山を模した台座の上って……一富士二鷹三茄子かな?

 なんでここで日本文化が根付いているのか、意味不明なんだよ。

 せっかくだからプライダル商会で門松売りだしてやるんだよ。広がれ日本文化っ。


 そういえば、普通に年越しに一緒にいたけど、ラファーリアは家で過ごさなくていいの? あ。忘れてたんだ。剣聖さん多分涙目だよ?

 折角の新年娘さんが帰ってこないって、父親の心情、御察しするんだよ。


 とはいえ、兵士さんたちは普通に訓練あるんだけどね。

 というわけで、私は馬車に乗って訓練場に。

 この世界、基本休日は自分でこの日休もうと思った時以外は普通に仕事してるらしい。


 と、思ったんだけど……メンバー、こんだけ?

 フェイルも居ないしバリーとゴルディアスとケリー、剣聖さんとラファーリアとミルク。

 うん、関係ないのが二人来てるし。


「新年早々どんな面子かな? かな?」


「皆この時期は家に帰ってますよ訓練兵は」


「その点遠征組は今も寒空の下、大変ですよね」


 なるほど、こういう日はやっぱり兵士たちも自分家でゆったりしちゃうのか。

 フェイル達まで居ないとなると訓練にならないなぁ。

 訓練対象者がゴルディアスとケリーだけだし。

 うーみゅ。これは個人レッスンするしかないかもなぁ。


 あ、そうだ。二人ともまだ大局観覚えてないんだろうし、ちょっとその辺り教えてやるか。

 剣聖さんもやる? いい? 見学してる? あ、そう?

 そういえば今日はリオネル様もいないなぁ。王族は全員で新年祭やるらしいよ。王族は今日はやる事多いんだって。


 でも宰相さん曰く。王様がいてくれてるだけ今年はマシなんだとか。

 何しろ本来はすっごく遠い、あの国の名前ってなんだっけ? まぁなんか覚えてないけどすぐ消えちゃうような国に行かなきゃいけなくて、行きだけで三カ月位掛かるらしい。食料調達も大変だそうだし、転移で一瞬ならその分の年貢を他の事に回せるから今年はかなり国庫に余裕があるらしい。

 3月に開催なのでこの1月からは既に出立しているはずで、王が不在の間宰相さんに負担が全部いくとか。


 代わりに、本来3月以降に纏めてやる王様決裁の処理を今することになるのでちょっと忙しいらしいけど。

 どっちがマシなんだろうね?

 過労死しないといいなぁ。かの有名な諸葛亮さんだって自分一人でいろんなこと回してたから過労死したって噂だし。


「よし、今日は半ドンで終わりましょうか。人数も居ないし、昼まで訓練して後は自由行動なんだよ」


「そりゃいいがよ、この面子でどーすんだお嬢?」


「バリーはラファーリアと対戦。ゴルディアスとケリーは私と大局観の訓練。その後キーリと対戦でどうかしら?」


「ならウチはしばらく休憩やね。主はんがいつもやっとるティータイムを剣聖さんと妹ちゃんとで茶ぁしばいとくわ」


 誰だキーリに変な言葉遣い教えたの。


 それからしばらく、二人に視界の把握の仕方を徹底的に叩き込む。

 やっぱり他の面子にも個人レッスンで教えないと駄目だなぁ。

 ある程度は出来てるけど基本を理解しきれてないから大局観になりきってないんだよ。これだとちょっとしたミスで大怪我したりしかねない。


 バリーとラファーリアの闘いは結構拮抗している。

 レベル的にはほぼ変わらなくなっているので実力同士での闘いなんだけど、ラファーリアにはすでに剣聖さんの剣術と舞踏術、大局観、本人の天性の勘が仕事して既に実力拮抗しちゃっているのである。

 ドレスが汚れるのを気にしなければ、あるいはバリーが負けるかもしんない。


「おかしいな、我が娘の動きが恐ろしい事になっている気が……」


「事実やで。主はんの指導受けたんやからしゃーないんや。諦め」


 何を諦めるのかなキーリは?

 っと、そろそろ大局観のやり方は分かっただろうから、キーリの触手を避ける訓練行きましょうか。


 キーリと交替。

 ティータイムに入ると剣聖さんが脂汗掻きまくっている事に気付く。

 あ、そっか。まだ対戦してないけど、ラファーリアと闘うみたいなこと言ってたっけ。

 どんどん強くなっていくラファーリアに勝てる見込みが無くなってきている事に焦ってるな。


「娘に負けるのは多分確定なんだよ?」


「わかっている。しかし負け方というものがあるだろう。仮にも親である私が、手も足も出ず敗北するとあっては沽券にかかわるだろう」


 あ、もう隠す気も無くなってる。ラファーリアの実力、自分超えてるって認めちゃってるよこの人。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 涙目剣聖さん、可愛い。 [一言] 剣聖強化フラグハヨ!щ(゜Д゜щ)
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