425話・ロゼッタ、男装が問題なんじゃない、身バレしたとき相手がどう思うかだ。
総指令官室にやってきた。
おお、我ながら白い素材で作られた部屋は意外と綺麗に見えるぞ。これは、女の子らしい装飾で家作ったらファンシーハウスできちゃうな。
一度どこかに完全趣味に走った家作っちゃおうか。
「これが総指令官室……その、シンプルで素敵な部屋、ですね」
「気を使うのはいいが良く考えろ、先程造ったばかりの新築に内装が備わっている訳が無いだろう」
「え? さっき……?」
「言ってなかったっけ? この寮、新人たちが来る直前に建てたんだよ。いやー、意外とやれるものよね」
「……はい?」
さって、アイテムボックスに事前に作って貰ったベッドとかあるからさっさと配置しよっと。
とりあえず椅子を取り出してっと。
「はい、ちょっと配置済ませるからここに座っておいて」
「え? え?」
まずはこの辺りにベッド。鍛冶屋のおじさんに仲介頼んだらなんか王族が使いそうな天蓋付きベッド作られちゃったんだよね。まぁ、寝心地は良さそうだからこれでいいんだよ。
あとは衣装棚でしょ、鏡台に小物入れ用の棚も居るわね。電気スタンドっぽい魔道具をおいてっと。
んん? なんかどっかのホテルの一室みたいになった気が……ま、いっか。
こっちにはソファでしょ、執務用の机と、書類棚。筆記用具も用意してっと。
後は何かいるかしら? 部屋はこれぐらいで良いわね。
次はユニットバス。
魔法使えば普通に使える個人用のお風呂なんだけど、一応キーリと共同で入れるように二人分の広さを用意しました。
あの娘意外と甘えん坊だからなぁ邪神なのに。
お風呂に使う道具を全て詰め込み、脱衣所にタオルなどを置いて行く。
ユニットバスの一番の弱点はトイレ使った後になかなか風呂に入りづらい所なんだよね。
うーん、やっぱり別々に分けた方がよかったかな?
変に泡風呂西洋風を意識する必要なかったし。
次作る時はスパリゾートを意識しよっと。行ったことないけど。
「あ、あの……」
「おっと、ごめん、少し時間を掛け過ぎてしまったかしら? ソファも取り出したし、こちらに移動しましょう」
「は、はぁ……」
剣聖の娘さんにはソファに移動して貰い、私は対面に座る。
「あの、話があるとか?」
「まず最初に、なぜ女性で兵士になろうと思ったのかをお聞きしましょうか」
「っ!? な、なんのことです、わ、私は男です。誰がなんと言おうと剣聖ベルゼガリス・ラングスターの息子ラファーガ・ラングスターです」
「そう、私の鑑定にはラファーリア・ラングスターと出ているけど?」
うぐっと呻くラファーリア。一応ラファーガと呼んだ方がいいのかな?
まぁ、いいか、別に隠す必要性あるとも思えないし。
娘だろうと強ければ誰も文句言わないでしょ、ベルゼガリスさんがなんか言ってきたら私が論破してみよう。
親なら娘さんに期待を背負わすな、幸せを願ってやれ。ってね。
「じょ、女性だったら、問題なんですか……」
怒りを湛えた眼で私を威圧するように告げて来る。
男社会だもんねぇ、兵士って。
「ええ。問題ね」
「女性が兵士を、近衛兵を目指しちゃダメだって言うんですかッ!!」
思わず立ち上がるラファーリア。でも待って、なんか話が噛み合って無くない?
「いい? 勘違いしているようだから言っておくけど。男装が問題じゃないの、貴女が女性だと周囲が理解した時、どうかという話よ」
「そ、それは……」
「それと、さっきから女性が兵士を目指すなどうこう言ってるけど、見ての通り総司令官の私が女性なのに女性が兵士になるななんて言えるわけがないでしょう」
「……だ、だったら、なぜ私をここに? 女性だと分かったから、兵士に混じらせる訳にはいかないから、なんでしょっ」
「視野狭窄かな? ラファーリアさん、貴女がここに呼ばれた理由は何だと思っているのかしら?」
「なんだ、って……女は兵士になるな……じゃないから、えぇと……あれ?」
多分、彼女にとって女性であることはデメリットでしかないんだろう。
剣聖な訳だし跡取り問題で男であることを強要されてるとかかな。
確か江戸時代とかでは男が生まれなかった時は娘を息子と偽って育てるとかはざらだったらしいし。
「いいかしら? 新人は漏れなく東棟で四人部屋。分かる? 貴方は男三人と寝起きを共にするの。シャワーもお風呂も男達に混じって入る。貴女はそれでいいの?」
「えぅっ!? い、いや、あの、えっと……ほ、ほら、入浴時間はずらせば……バレませんし」
「四六時中一緒に居るのにバレないと本気で思ってる? 無理なんだよ。だから、残念だけど貴女を兵士達に混ぜる訳にはいかない。たとえ貴女が気にしなくとも、兵士達が暴走したらそれはこの軍団の汚点になるだけ。貴女の意図するところではないでしょう?」
「……はい」
「だから分けるべき所はきっちりと分ける。男女平等を求めてももともとの身体の作りが違うんだから完全に一緒は逆に大問題なんだよ。男が生理を理解出来ないように、女は男の大馬鹿野郎さを理解しきれないわ。私でも無理だし」
ほんと、男って頼りがいのある時もあればほんっとうに馬鹿じゃない? って思う時もあるんだよ、なんで美人の女の子が誘ってるのにドラ○エ新作に並びにいくかな? しかも一日前からって大馬鹿野郎なんだよ?